管理人は超つらいよ   
マンション管理最前線

うちのフロントマンは謝るだけ
これじゃ不良住民がつけあがる




 
 管理人が持つ不満の中で、けっこう大きな比重を占めるのが「担当するフロントの仕事振り」です。他の「管理人サイト&ブログ」でも、よく見かけます。
 
 私の場合、もとから、フロントに期待していないので、他の管理人さんほど、担当フロントに対する不満はないほうですが、今のフロントに対して「ふざけるな」と思うことがあります。

 学校の現場では、「先生がモンスターピアレントにおびえている」ということが、しばしば報道されています。モンスターペアレントは、「税金を使って、教育を受けさせている公立学校でさえ、えばりまくる」のですから、まして、管理費を払って、「自分は客だ」と思っている、マンションにおいては、「モンスター住民」でもあるわけです。

 
管理人の仕事の中で、大きな比重を占めるのは、「規則を守らない住民に対する注意」です。
うちのような特に「住民レベルが低い」マンションでは、この仕事ばかりやってます。本当は、管理組合がすべきものですが、「管理人さん、やっておいてよ」と無責任に丸投げされています。今回も、人が頻繁に出入りする通路上に自転車を置く住民に注意をしたのですが、自分が悪いことをしているのを自覚しているため、その現場では「すいません」とかいいながら、すぐそのあとに、管理会社に電話をして苦情を言います。「私は何も悪いことをしていないのに、管理人が私を叱った。ふざけるな。管理費を払っているのはこっちだぞ。客に対してあの態度はなんだ」と、担当フロントに文句を言います。
 担当フロントは、当然、事の詳細を知りませんから、的確な返答はできないという事情はわかります。であれば、「詳細を調べてから、のちほどお返事します」という対応をとればいいんですが、今のフロントは、とにかく、住民から苦情が来ると、内容に関係なく、謝ります。そして、「管理人には、きつく注意をしておきますから・・・・」と電話を切ります。

 私のほうから担当フロントに「会社側でそういう対応をとられるとこっちは困るんですよ」と苦情を言うと、「ああいう人たちは、言いたいことを言わせるだけ言わせれば気が晴れて、矛先を納めるんだよ。だから、なんでもかんでもこっちが謝っていればいいんだよ」(発泡酒のCMか!)とか弁解します。たしかに、クレーマーというのは、「誰かに文句を言いたい。言えばすっきりする」という精神的な面はあります。ガス抜きのようなものです。しかし、管理会社に直接電話をかけて文句を言う人たちは、ほぼ100%が「自分が規則違反を起こしている不良住民」です。「管理人に言っても、しょうがないから、会社に言う」のです。こういう連中に対して、「すいません。管理人が悪いです」と謝るのは、盗人に追い銭みたいなもので、困ります。これでは、彼らはまったく反省などせずに、また同じ悪行を繰り返します。また、「会社に電話すれば、むこうは必ず謝る」ということを学習すると、なにかにつけてすぐに会社に電話をかける人が出てきます。これじゃ、会社だって大変です。マンションのフロントマンはたいていは外出していますから、最初に直接応対するのは、電話受付の女性です。彼女たちも災難ですし、「あの管理人がろくでもない仕事をしているから、私たちに、とばっちりがくる」と思って、管理人を恨むようになります。彼女たちは、詳しい事情を知りませんから、苦情を言ってくる住民の言葉を鵜呑みにするしかありません。となると、完全に、管理人が悪者です。

 たまに、「なんか言いたいことを全部言ったら、すっきりしたよ。よく考えると、あんな場所に自転車を放置した自分も悪かったんだよな。今度から気をつけるよ」と殊勝なことを言って、受付の女性の機嫌をとろうとする苦情住民もいます。しかし、その人の自転車は今日も、通路をふさぐように放置されています。こういう人たちは、そのばしのぎのええかっこしいの言葉を吐きますが、絶対にそれを実行しません。「廊下に置いた物置は来週には撤去するよ」といいながら、3年以上そのままの人もいます。



2008/2