管理人はつらいよ   
マンション管理最前線

 防犯カメラ@ 
怪しい奴発見



  当マンションには今のところ「防犯カメラ」がありません。そのためいろいろ不便なことが多いです。この近辺でも「ひったくり」「窃盗」「痴漢」などの犯罪がすごい勢いで増加してきたため、時々所轄の警察(地域防犯係)へ相談に行くのですが、さすが警察、公務員ですねえ。親身に相談になんかのってくれません。いつも、「まず防犯カメラつけるのが先。つければ随分違うよ。今時防犯カメラないなんて遅れてるよ」と、怒られます。たしかに新しいマンションでは100%つけてます。
 そんな情勢のためか、理事会役員の中にも、「そろそろ、うちも防犯カメラ設置したほうがいいんじゃないの?」という意見が増え、「とりあえず、株ム加減さんのほうでちょっとどんなものか調べてくれない」という依頼がありました。

 「実際にどんな物なのか見たい」という役員もいるため、私のほうで昼休みに近隣マンションを探してみて、カメラが設置されているマンションいくつかと交渉し、時々、役員と一緒に見学に行っています。(これは勤務時間。「業務のため外出中」という掲示を出して外出。念のため私の携帯番号を書いておきます) そこでいろいろなことがわかりました。ちょっと紹介します。(そのマンションでそういうことになっているだけで、すべてにあてはまることではありません)


★今までのVHSビデオを使った古い型のものには、いろいろと不便な点がありました。

「録画時間が最大1週間」・・・VHSの規格ではあるものの、防犯カメラ専用の特殊なデッキになっており、3秒に1コマずつ撮影して、120テープに録画していきます。1本に1週間分入ります。1本録画しきると、自動的に巻き戻しされて、また、頭から録画されます。ですから、巻き戻しの時間(わずか3分程度)は録画できません。「この時間にちょうどぶつかって証拠画像が撮れなかった」ということが実際にあるそうです。また、繰り返し何度も録画し、痛むため、定期的にテープの交換が必要です。


「細かく録画されない」・・・「3秒に1コマ」の撮影だと、被写体の動きが早いと録画されないことがあります。例えば、エレベーター内のカメラ。たいていは、エレベーターの奥の壁上方に設置されています。ここが、カゴの中を全体的に写せるからです。しかし、実際にエレベーターに乗る人というのは、入り込む際は奥の壁の方を向いて入ってきますが、すぐに反対方向(操作盤・ドア)に向きを変えます。そしてそのまま出て行きます。ですから、実際に写る姿というのは後姿ばかりなのです。急いで乗り込んできてすぐに向きを変えると、防犯カメラがあっても、人物の顔はまったく写っていないこともあるそうです。役に立ちません。それに、これはエレベーター内カメラに限ったことではありませんが、上方から撮影するということは、人がうつむいて入ってきたり、帽子をかぶっていればアウトです。顔はわかりません。私個人としては行き先階ボタンの部分にカメラがあるほうがいいのでは? と思います。オフィスビルなどでは、そうしているところも多いようです。でも、ドアがガラスはめ込みになっているエレベーターでは、奥の壁に設置したほうが、ガラス越しに外も写せるそうで、そのほうがいいそうです。

「見るのが大変」・・・テープということで頭出しが大変です。画像には時刻が細かく記録されているので、「昨日の何時何分に事件が発生した。その場面を調べてくれ」というのは比較的楽なんですが、「昨日の夜のうちにあったみたいだ」みたいな漠然とした時間帯を調べるのは大変です。また、管理人室内にあるモニターは画面が小さく、分割されていっそう小さくなり、見にくいです。「じゃあ、理事長の家の大画面プラズマで見よう」と理事長宅のVHSデッキに装填して見ても、今度は画像の動きが早すぎてなんだかわかりません。防犯ビデオを、専用デッキではなく普通のデッキで見るということは、90倍速で見ていることになるので、人の動きなど早すぎて認識できないのです。スロー再生やコマ送りが充実しているデッキでないと見られません。

「画質がイマイチ」・・・これはカメラの性能にもよります。でも、「これじゃ誰の顔だかよくわからない」と思うような写りでした。また、逆光にも弱く、例えば玄関ホールに入ってくる人を写した画像では、ホール内よりも屋外のほうがずっと明るいため、昼間は逆光になり、顔がまっくろにつぶれてしまいます。これも実用上は無意味な画像です。

 こうやって考えると、旧式の防犯カメラというのは、実用性能はイマイチで「あくまでも、防犯カメラがあるぞ、という抑止効果のために設置したようなもの」という感じでした。実際に事件が起きて、警察に証拠テープを渡した際も、「顔がわからない。使えない」と返却されたそうです。けっこう高い金額がかかったはずなのにもったいないです。


★ 最新型ハードディスクレコーダーはテープ交換は不要だし、長時間録画できるし、便利な機能もある一方、良くない点もありました。

「画質が良さそうで悪い」・・・「画質がいい」とメーカーがうたっているものの、ビデオよりはいいかもしれませんが、映画のDVDなんかと比べれば、全然ひどいです。(レンズの性能にもよるんだけけど) これは、デジタル映像の弱点ですが、静止している時とか、動きが遅く静かな場合の映像はまあまあなんですが、動きが早い被写体は、ブロックノイズと言われる、格子状のノイズが目立ち、あまり良くありません。車がビュンビュン通るような状況では、ひどい画像になります。

「操作が簡単そうで難しい」・・・カメラ設置業者側は「簡単です。便利です」というものの、パソコンとかに慣れていないと難しいようです。実際、ハードディスクレコーダーはコンピューターですからね。機能がいろいろありすぎて、逆に難しくなってしまったようです。もちろん、使いこなせるようになれば、すごく便利なようですが。

「早送りがあまり良くない」・・・大容量ハードディスクだと、「3秒に1コマ」などという粗い映像ではなく、もっと細かな「1秒5コマ」みたいな普通のビデオと同じような間隔で録画できます。これは良いことです。しかし、ハードディスク画像を早送りで再生する時は、途中のコマを飛び飛びして再生します。ビデオテープの場合は、どんなに早送りしても、コマを飛ばすことはありません。ひたすら早く動くだけです。これは、デジタル画像の弱点で、あまり早く再生すると、「本当は写っているのに、早送り画像では飛ばされて、見えない」ということが往々にしてあるそうです。このため、早送りであっても、2〜3倍程度のスピードに抑えて、ゆっくりと見ないと、大事な場面を見逃してしまうことがあるそうです。犯人がカメラの前を瞬間的に走って通り過ぎた、というような場面では、細かく探さないと発見できません。ですから、ビデオテープの時よりも面倒だそうです。

「証拠として提出する時に面倒」・・・VHSテープの場合、テープをそのまま警察に提出すればOKです。しかし、ハードディスクレコーダーの場合は、メディアへのダビングが必要になります。管理人室にパソコンがあれば、そこにデータ転送して、CD-Rなどに焼くことができます(ただし、作業は面倒)。PCがない場合は、ビデオデッキにダビングすることになるそうで、マンションによっては、ダビング用に別にVHSのビデオデッキを用意しているところもあるそうです。これでは、「VHSデッキを使用しない」というハードディスクレコーダーの特長の意味がないんじゃないでしょうか? 場所もとるし。

「万一クラッシュしたらおしまい」・・・ビデオテープであれば、機械がこわれてもテープが残り、画像を見ることができます。しかし、ハードディスクの場合、それがクラッシュしたら何にもできなくなります。画像も消えるかもしれません。


 まあ、ただ、これからはハードディスクレコーダーが主流になるのは間違いなく、価格も性能もだいぶこなれてきて、設置しやすい状況になってきています。とにかく、防犯カメラがあったほうがいいのは間違いないので、私からも設置を組合さんに勧めるつもりです。


 なんかいろいろ調べてみると、防犯カメラがあったほうがいいのは間違いないのですが、野球帽をかぶって顔を隠して侵入してくる物には無力だし、「カメラが入ったから何でも解決する」というような過度の期待はしないほうがいいようです。「カメラ監視中」と書いてあっても、平気で立ちションする悪い奴もいます。まあ、予防策としてある一定の効果があるというレベルなのかもしれません。

 それから、管理人サイドとしてカメラ導入を考えると、面倒なことも発生するようです。まず、「管理人室が荒らされる可能性がある」とのことです。というのは、何か犯罪を犯した犯人が、記録画像が残っている管理人室の鍵を壊して侵入して、録画機械を丸ごと盗んでいくことがあるそうです。証拠隠滅のためです。こうなると無力です。「導入の時は、管理人室のセキュリティをアップさせないと怖い」とアドバイスされました。

 また、今までなら「しょうがないね」とあきらめていたことでも、「カメラに写ってるはずでしょ。管理人さん調べてよ。画像を印刷しておいて・・・」など、カメラがあるために、今までにはなかった仕事が増えてしまうそうです。「安全になったけど、管理人は忙しくなった」と言ってる人もいました。もちろん、「管理人室にいるだけで、大事なポイントの場所をすべてチェックできるようになって、楽になった」という長所もあります。


2004/11