管理人は超つらいよ   
マンション管理最前線  管理棟

 デジカメ 




 
 「デジカメは便利」とよく言われますが、マンション管理人にとっても、すごい便利なんです。

 一番いいことは、経費。最初に記録メディアを買えば、その後フィルム代や現像代などの費用がかからないこと。私のように、会社に指示されたわけでもなく、組合さんにお願いされたわけでもなく、自前のデジカメを仕事に生かしている「自腹」のケースでは、ランニングコストゼロが最高です。ですから、バシバシ枚数を気にせず撮れます。

 このサイトでは、プライバシー保護のため、残念ながら写真の類はほとんど掲載していませんが、実際の業務では、なんでもかんでも写真に撮って記録を残しています。

「植栽の剪定作業」・・ 写真で撮れば、切る前と切る後の比較は一目瞭然。工事類には大活躍。「なんていう名前の業者が来たの?」と聞かれることもあるので、名刺をくれない業者の場合は、乗ってきた車の横腹の会社名を撮影しておき、記録。
「各種点検作業」・・ きちんとやっているか? どんなふうにやっているか? 証拠はバッチリ。何か問題点があれば、そこを写真に撮って、会社や組合に見せれば話は簡単。特に、屋上のタンクとか、普通の人が現場に行くには危険な場所の不具合などは、写真で説明するしかない。
「違法駐車」・・ナンバーをメモするより写真に撮ったほうが楽。特にデジカメの場合、時間も記録されるから、「○時から○時まで停めていたでしょう。困りますよ」と証拠は明らか。
「犯罪の記録」・・窓をどう破られたか? 口で言うより写真。「こんなゴミの出し方はだめですよ」と警告掲示を出すときも写真は有効。

 デジカメのいいところは、その場で見られるところ。たとえば、住民の飼い猫が悪さをした時に、それを写真に撮っておけば、その住民に画面を見せながら、「だめですよ。しっかりしつけて下さい」と証拠を突きつけながら文句が言えます。また、「ねえ、押し売りの工事業者に、お宅の浴室は水が漏ってるかもしれないから、浴室を丸ごと交換しなければならない、って言われたんだけど本当かなあ」「じゃあ、ちょっと点検してみますか?」 現場に行き、浴室の天井穴から顔を出し、壁の隙間にカメラを入れ、床面に向けて撮影。ファインダーを覗かなくても、撮影可能。「この画面見てください。下は乾いてますよ。漏れてませんよ」と教えて安心させてあげることができます。

 こんな感じでなんでも撮影しています。こうすると健忘症の私でも大丈夫。「前回はどんなふうにやったっけ」という時も、写真で確認して思い出します。
 
 最近は、管理員報告書も写真入りです。こうすると他人が見る場合もわかりやすいし、自分のための記録としても非常にわかりやすいです。
 盲点は、電池。消費量が意外に多く、電池代がかかります。単三4本が1ケ月でなくなるので、自腹はちょっとつらい。あと、プリントする場合のインク代。写真は文字より遥かにインクの減りが早い。

 管理会社との間も電子メールが使用でき、写真を送受信できると最高です。「この写真に写っているような害虫が突然大量発生しました。至急消毒をお願いします」などのようにも使えるでしょう。紙やインク代もかからないし。(まあ、こういったハードを揃えてもらうのは、永遠に無理だろうけど)

     これからはきれいなアジサイが咲きます。花の写真でも撮ろうかな。


 <読者へアドバイス> 管理組合の役員が、仕事が忙しく、日常のマンション管理業務を見ることができない場合、管理人さんに安いデジカメでも買い与えて、なんでも撮影しておいてもらうと、実際の姿がよくわかっていいと思います。本当は、管理人室にパソコン一式があればいいけど、無い場合でもデジカメだけ預けて、中のデータは時々理事長が自分のパソコンに移して残していけばいいのです。うまく使うと本当に便利です。

 
 あと、変わった使い方。役所や裁判所の人が来て、住民のプライバシーを尋ねることがありますが、身分証の提示だけでは信用がおけないので、「悪いけど顔写真撮らせてもらう」と言ってから教えています。過去に一回、「それじゃあ、いいです」と逃げた奴がいましたが、何者?


2003/5