管理人はつらいよ   
マンション管理最前線

 管理人は嫌われ者でなければ 




  管理会社が発行する広報誌にはよく、「誰からも好かれるやさしい管理人さん・・・」なんていう言葉が出ていることもありますが、これはウソだと思います。もし、いたとしても、その人は仕事をきっちりやっている人ではありません。絶対に手抜きしています。

 管理人業務の何分の一かは、マナーの悪い住民に注意をすることです。管理人だって、他人を叱ることは好きではありません。しかし、仕事です。一部のマナー違反住民のために、他の多くの住民が迷惑を受けているのですから、注意しないわけにはいきません。実際に注意をする時は、「恐れ入りますが、ここに自動車を止めないでいただけますか?」などと、なるべく丁寧に対応しますが、それでも注意される側は、「うざったい管理人だ! うるせえ」などと不快に思います。
 もちろん住民のレベルにもよりますが、どこのマンションにも多かれ少なかれマナー違反の住民はいます。(もしいなければ、管理人を雇う必要はありません) 

 ですから、100%好かれる管理人は存在しないのです。

 住民同士のトラブルの際も、間に入ることが多いです。「上の階の子供の足音がうるさいの。管理人さんから注意してくれない?」などという依頼も多いです。現代人は、個人vs個人の争いごとを避けようとしますから、自分の口から直接注意することはなく、管理人をあてにします。たしかに、当事者同士1対1で論争になると、ラチがあかないことが多いです。第三者が間に立ったほうが、冷静かつ客観的に判断できますから、私自身もなるべく相談に乗るようにしています(※本来の委託業務範囲外ですから、他の管理人の皆さんに、こういうふうにしろ、とは言いません)。といっても、いくら自分が100%悪いとしても、他人から文句を言われることを喜ぶ人はいません。素直に謝る人なら最初から迷惑をかけません。

 結局、真面目に仕事をすればするほど、管理人は嫌われ、敵が増えていくのです。

 つらい立場です。私の目標は「住民の90%から好かれる管理人になろう」ということです。100%は望みません。