管理人はつらいよ
マンション管理最前線
始業時間 |
昔、新卒の頃、「新入社員は始業時間の30分前には出勤して、先輩の机を拭いておくものだ」などと騙されて、毎日早出していたことがあります。
今は、始業15分前にはこのマンションにつくように出勤します。これだと、もし電車に1本遅れてもなんとかなります。15分前に到着して、着替えて、お湯を沸かして、始業の準備をして、時間ちょうどに管理人室の窓のカーテンをあけて業務開始です。勤務時間・曜日・昼休みは、きちんと表にして、管理人室の前に貼ってあります。もちろん、始業前でも「コンコン」とノックされれば、応対はします。また、何かの工事がある時は、職人さんが早めに来ることもあるため、もっと早く出勤します。(残念ながらサービス残業です。つらいねえ)
終業時は、時間になるとカーテンを閉め、着替えてから帰ります。だいたい10分程度かかります。急ぐ用でもなければ、けっこうアバウトで、事務仕事している時は「きりのいいところまで」と30分程度残っていることもよくあります。
これが私のパターンです。
でも、他の管理人さんの様子を見ると、ちょっと私と違います。私が居住するマンションの管理人さんの話も混ぜて述べます。
朝はけっこうみんな早いのです。始業10分前には掃除業務を開始しています。中には、1時間前には出勤して、30分前には掃除をしている人もいます。私には理解できません。
住民が出勤する時間帯(7:30〜8:00頃)ですから、「私はこうやって、早出して、皆さんのために掃除をしています」とデモンストレーションしているのでしょうか? だいたいこういう目立ちたがり屋の人は、マンション内よりも、エントランス周りや、マンション周辺の道路上など、多くの住民の目に触れるような場所を、この時間帯に掃除します。でも、一生懸命掃除しているように見えても、路上の放置自転車はそのまま何ヶ月もほったらかしだったり、エントランス前に置かれた原付バイクには警告書も貼りません。エレベーター内の換気扇にはホコリがべったり固まっていたりします。まあ、より多くの住民と挨拶することによっての利点も、理解できないわけでもありません。
加えてよくわからないのは、こういう人ほど、早く帰ることです。終業15分前には着替え始め、5分前には帰ってしまいます。「早く出てるんだから、いいだろう」ということなんでしょうか? 私は、「早く出なくていいから、終業時間は守れば」と思ってしまいます。
だいたい、1時間前に出勤する管理人なんて、住民から見たら、「偉いわねえ」よりも、「何やってるの?」「気持ち悪い」と思うのではないでしょうか?(ゴミの出し方の悪い住民は、「管理人が来る1時間前だから平気だわ」と思ってマナー違反のゴミを出しに行ったら、管理人がゴミ置き場にいて、「やばい、見られた」と思うんじゃないかな)
私のように異業種参入管理人には理解できません。
なお、労働基準法の判例によると、「制服を着て勤務する仕事」の場合、「私服から制服へ更衣する時間」というのも、労働時間にカウントされます。ですから、8時始業の現場では、「8時に管理室に入り、5分かけて、着替えて、8時5分から仕事を始める」というのも、けして、「遅刻」ではなく、「正常な業務形態」です。