管理人はつらいよ   
マンション管理最前線

高齢者しかできないのか


 私、月に1回程度、市の中心部へでかけ、大きな図書館に行きます。そこには、マンション管理の業界新聞があるからです。

 その業界紙に、「H社、積極的に高齢者を雇用する姿勢が評価され表彰を受ける・・・」という記事が載っていました。最高齢は73歳だそうです。高齢者の雇用が厳しい時代です。積極的に採用する企業があるのは、非常に喜ばしいことなんですけど、なんで、マンション管理人とかビルメンテナンスとかに偏るんでしょうか? それが不満です。

 「ご老人でもなんとかやっていける仕事」であることは、認めます。でも、他にもそんな仕事はたくさんあります。政治家だって個人商店だって、70歳以上の人が精力的に働いています。実際のところ、「マンション管理人=老人」という固定概念ができあがってしまったのは、「年金で生活の基礎は賄える者で、こづかい程度の収入があればいい」という人しか、できないからです。それだけの超低賃金しか払えないから、そういう人しか仕事ができないのです。そのへんが情けないです。週2日とか、パートならまだしも、「日曜しか休みがない」「祭日も出勤」などという、ハードな勤務日程をさせています。最近はどこの自治体もゴミの分別収集が細かくて、管理人の仕事はハードになっています。また、頭も使います。管理費滞納も増えています。治安も悪くなっています。楽な仕事じゃないです。
 
 それなのに、もともと超低賃金のところから、まだカットしようとしています。蟹工船のような待遇を強いる会社がなんで表彰されるのか?私には理解できません。まともな給料を払う会社が、「年齢無関係に」採用するなら表彰する価値があります。しかし、実際はわざわざ高齢者を選んで採用しているのです。給料を安くしたいからです。最低賃金も守れない土建屋がもぐりで外国人労働者を雇い、それが「国際交流に貢献したので表彰します」なんてことになりますか? おかしいですよね。

 それでも、今は、昔の好景気だったころの人が高額な年金をもらっているからなんとかやっていけますが、今後は年金支給額も大幅に下がります。そういう人ばかりになったら、「年金がっぽりもらってるんだから、これだけでいいだろ」とは言えなくなると思います。

 マンション管理人をとりまく、労働環境、これからどうなることやら・・・。闇雲に管理委託費を下げる傾向も続いているし、前途は暗いです。


 


2004/11