管理人はつらいよ   
マンション管理最前線

 免許取得 役人が儲かる構造 天下り 


「まず最初はボイラーだよ」

 
 株ム加減はマンション管理もやってますが、建物の設備管理もやっている、手広く商売をしている会社です。今勤務している管理人職も、”一部の住民から嫌われている”ため、いつまでいられるかわかりません。(もちろん、いい転職先が見つかればすぐに辞めますが)

 ところで、この「設備管理業界」でものをいうのは資格です。毎月来る設備管理のおじいさんと話をするのですが、「電気工事士だけじゃなあ。たいして稼げないしなあ。冷凍機でも取るかなあ。でも今からじゃなあ」とか言ってます。会社の中でトップクラスの資格を持っている人でも、市役所の職員の足元にも及ばないような低賃金ですが、やはり、資格手当てがあるのとないのでは違います。管理人職も、資格というものが関係ないために、資格手当がゼロで、そのために激安なんです。

 実は私、前職をクビになった際に、「うちの会社の保養所の管理人がやめちゃって、困ってるんだけど、やらない?」と誘われたことがあり、「それじゃ、やってみるかなあ」と考えたことがありました。ただ、その時、「必須資格=二級ボイラー」と言われたので、あわてて勉強して、資格を取りました。(あわてて取れるところがすごい) でも、いざ就職しようと思ったら、その会社、業績不良で保養所が閉鎖されました。そんなわけで、今、マンションで働いています。

 ここのところ、厚生労働省の天下り体質について、マスコミでよく取り上げられていますが、ボイラー免許を取った際にも、それを実感しました。

 その当時、不況のためかボイラー技師免許の人気が高かったです。新聞には「設備管理員募集。ボイラー免許ある方。未経験者でも親切に指導します」という広告がたくさんありました。でも、これはウソ。企業が欲しいのは実務経験豊富な即戦力人材です。免許にしても、ボイラー2級だけでは、相手にされません。なにしろ、毎年ボイラー2級を取得する人は、全国で年間3万人以上。1年間でですよ。しかし、日本国内のボイラーの台数は急激に減少しています。設備の種類が変わってきているのです。

 なんでこんなに多くの人がボイラー免許を取ろうとするのかというと、それは、
天下り官僚のワナにはまっているからです。
 ボイラー免許試験は易しい試験です。(易しいといっても、文系の人間には難しかった) 受験資格は、「実務経験が3年以上」と厳しいのですが、「ボイラー協会の主催する講習会に参加すれば、実務経験不要」という抜け道があります。3年が「たった3日間の講習でOK」とは、不思議な話です。ボイラー免許を受験する人のほとんどが、この講習を受けます。
 ボイラー協会は全都道府県にあります。すごい職員数です。そして、
その職員は、ほとんどが元労働省からの天下り。講習費用は16,000円。加えて教科書もすべてその協会のお手製ですから、高価な教材費も自分の懐へ。「天下り、ぼろ儲け」です。免許試験を行なう団体も労働省の外郭団体です。つまり同じ穴のムジナ。ボイラー協会発行の問題集は、「本試験の4割はここから出題される」と豪語していますが、当然です。元は同じなんですから。そのため、テキスト類はボイラー協会発行のものだけ売れます。そして、このテキストは一般の書店では販売されておらず、直売方式がとられ、卸会社などの中間マージンが一切入らないため、利益は莫大。(内容も昔からずっと同じだから、制作費はゼロに近いはず) 受験費用も安くない。おまけに、試験会場は町から大きく離れた不便な場所。受験者の交通の便など考えていません。バス代も高く、交通費もバカになりません。地元タクシー会社にとっては、重要なお得意様。
 ボイラー2級の試験は、なんと毎月2回行なわれています。毎年ではありません。つまり、
ボイラー試験自体が一種の産業なのです。そして、その利益の大部分は、元役人の懐へいくわけです。
 おまけに試験に合格してもすぐに免許証をもらえるわけではありません。合格証明書を、厚生労働省に提出して、また手数料を払って、初めて免許証がもらえるのです。手続きの煩雑さ、郵送料もばかになりません。同じ穴のムジナでも、縦割りで分割し、各々手数料で儲けます。

 それにしても、世間の多くの資格が、その資格に関係する天下り組織の運営のために存在しているというのが、日本の現実です。運転免許の更新も、「交通安全協会」(警察の天下り組織)の運営のために、なかなか期間延長になりません。車検もしかりです。

 国家試験のほとんどは、現行の半額以下で実施できるはずですヨ。小泉君。

 「マンション管理士」も「管理業務主任者」も、受験料高いし、合格発表は遅いし、これも資格産業で、天下り役人が太るばかり。

 大阪市役所もすごいけど、やはり、日本は役人天国。そのために、赤字国債バンバン出してます。



2005/3



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