管理人はつらいよ　　　
マンション管理最前線

　最新のマンション管理新聞に面白い記事が載っていました。大阪豊中市のマンションで管理員をしていた７０歳の男性が「不当解雇された」「名誉を傷つけけられた」と管理会社を訴えたそうです。裁判では「退職は合意のうえ」「原告の社会的評価を下げるものではない」と全面的に負けました。

　この事件、少ない紙面だけで評論するのは難しいですが、興味のある項目だけ述べます。

�@「７０歳で、”辞めたくない”と裁判起こすバイタリティはすごい」
�A「私なんか、管理員に就任した段階で名誉も地位もすべて捨てたつもりだったが、この人は自尊心を持っているのがすごい」
�B「臨時総会召集通知など、大事な書類の郵送を管理人にやらせるのは間違い」
�C「”住民に回覧する資料に電話番号記載の名簿を添付した”ことを非難されているが、こういったことは組合ごとにきちんと明確な基準を作っておかなければダメであり、基準がなかったとしたら、管理人を責めるべきではない」
�D「この管理人が就業時間１０分前に管理人室から出て行ったのを住民に見られ、それもクビの原因となった」

　�Bに関してですが、こういった重要書類は管理人に任せてはだめです。なぜなら、「管理人は高齢者が多く、頭がボケている可能性が高い。ボケまでいかなくても、忘れやすいことは事実。また、管理人は一人勤務のため、チェックする第三者がおらず、間違いを起こしても気づかない」からです。
　これは当サイトを読めばわかりますが、私もしょっちゅう「忘れもの」をしています。会社組織であれば、上司が確認する工程が必ずあります。でも、管理室にはひとりしかいません。そういう人にすべてを任せてはいけないのです。切手を貼り忘れることなんて、当然ありますよ。（開き直っちゃいます）　チェック体制がないんですから。
　「一人に任せる」「給料の安い高齢者を雇う」ということは、そういうリスクのあることだと、理解して欲しいです。コストを切り詰めるということは危険も伴うんです。（日本航空なんて、危険だらけじゃないですか）　大事なことは管理会社のほうですべきです。任せる時点でその会社はアウトです。

　�Cですが、個人情報に関することというのは、そのマンションの住民の意識の差によるので、組合主導で基準を作っておくべきです。こういう難しいことは管理人はわかりませんよ。「自治会の名簿を作るんで、このマンションの住民名簿下さい」「はい、どうぞ」という管理人もいるんですから。「下さい」っていう、自治会もすごいですけどね。個人情報をすべて秘匿するのであれば、表札も出せません。難しい問題なんです。

　�Dですが、こういう管理人って多いですよ。「俺は朝、２０分早く出勤して、ゴミ置き場の整理をしている。１０分くらい早上がりして何が悪い」って、みんないってます。勤務時間の設定自体が適切じゃないことが多いんです。「朝早く来て、一生懸命掃除している風景を住民に見せたい」という人もいます。

　しかし、住民側から、れっきとした証拠が出されて、組合から管理会社に「あの管理人やめさせてくれ」と要望が出たら、どうしようもないですね。年齢からしても、やめさせるべきでしょう。組合の対応は正しいです。でも、管理人のミスの原因は管理会社にもありますから、訴えた気持ちをわからないでもないです。

　まあ、とにかく、月給１５万円しか払ってないのに、能力を欲張ってはいけません。大変な仕事やらせるほうがおかしいです。

2005/3