管理人はつらいよ   
マンション管理最前線

管理員の昼休みは、「理事長」の昼休みでもあるんです





 前回、眉唾物の社会保険労務士が書いた本を評論しました。メチャクチャ酷評しましたが、中身がひどいんだからしょうがないです。この人、本当に社労士なのか?と不思議に思うほどひどいです。

 たとえば、この人が自画自賛した「管理人の就業規則」のところの「昼休み」の時間。この人は、ごくごく当たり前に、「昼の12時〜13時の1時間」と書いてありますが、本当に管理人業務のことをわかっているのであれば、違う時間を提案してくるはずです。
 もし、私が、社労士だったら、「12時半から13時半」とか、とにかく、普通の昼休みの時間から、前後どちらかにずらします。
 その理由をご説明します。

 マンション管理人というのは、管理組合理事長さんとの連絡業務がかなりあります。「業務日誌」のような書面でのやりとりもありますが、口頭で直接話して連絡を取り合う場合もあります。理事長というのは毎年変わりますから、「この年は、書類だけ。話すのが苦手な理事長だった」という場合もあれば、「この年の理事長は書類が苦手。何事も話して連絡を取り合う」という人もいます。

 この「話す」という場合、定年退職後、ずっと家の中にいるという「高齢者理事長」であれば、問題ないですが、「仕事バリバリの現役世代の理事長」の場合、仕事をしていますから、当然、「管理室に来て話す」というのは無理で、「電話で連絡を取り合う」というケースが多くなります。

 その「仕事場から、管理室に、電話をかけてくるタイミング」というのが・・・・・

 「昼休み」が多いんです。まあ、仕事中に、管理組合の用事で私用電話するのは難しいですから、フリータイムである、昼休み(一般の会社であれば、12時〜13時)に電話をかけるのは当然です。
 でも、管理人の昼休みも、12時〜13時だったら、管理人は「休憩時間に仕事を強要される」ということになります。

 実際のところ、「昼休みになると理事長から電話がかかってきて、用を押し付けられるから、昼は必ず外に出て食事をする」という管理人も多いです。私もなるべく外に出るようにしています。でも、民主党政権のバカどもが加速した、この不況で、毎日外食するのは経済的に無理で、最近は、100円均一店で買ったカップ麺で昼食を済ませることも少なくないです。となると、管理室の中で食事をするわけでして、その間に電話がかかってきたら、(ここの電話は、ナンバーディスプレーではないため)もしかして、緊急の用件だったら怖いので、やっぱり、電話に出ます。
それが、理事長であることはよくあることです。(1週間毎日連続で理事長からの電話を受けたこともあります)

 理事長からの電話を受けて、「すいません、今、昼休みなので仕事はしません」とは、なかなか言えません。しょうがなく、電話の内容を聞き、返答します。このために、カップ麺の麺が延びたことも何回もあります。

 というわけで、本当にマンション管理の現場のことを知っている社労士であれば、管理人の昼休みは、ずらすはずです。(というか、そういう選択肢を用意する) そうして、理事長に対しては、「電話をかけてくるのであれば、12時〜12時30分までの間にかけてください」とお願いをしておきます。理事長としては、「ちょっと昼飯の時間を遅くして」、その前に、管理組合の用件を済ませます。管理人は、その電話を「就業時間内」に受けます。そうすれば、「貴重な休憩時間に、仕事をさせないで欲しい」という管理人側の要望にもこたえることができます。

社労士っていうのは、こういう、「現場の実情に即した就業規則を提案」すべき仕事なのです。でも、この社労士はど素人だから、そういうことがわかりません。アホやね。三村正夫君。


 


2013/1