管理人は超つらいよ   
マンション管理最前線

同業者の住民がいました  が・・・・




 
 
私より10歳くらい年上の人で、「月水金は見ないけど火木土は見かける」という住民がいます。ある土曜日、その人が「地上デジタル放送って何?」と、質問に来たため、少し、いろいろと他のことも話すと、なんと、この人、どこかよそのマンションで管理人をやっている人だということがわかりました。つまり、同業者だったのです。勤務場所は小さなマンションで、月水金だけの隔日勤務をしているそうです。定年後のパート勤務とのこと。

 「ふ〜ん、そうか。この人管理人なんだ〜。」と、しばし感嘆。

 しかし、よく考えると、「この人、本当に管理人なの?」と思うことがいっぱい思い出されてきました。


○掲示物を読まない
 以前、貯水タンク清掃をした時に、「管理人さん、うちの水道、水が出ない!」と大騒ぎしたのがこの人でした。そこらじゅうに、「断水しますよ」と掲示物が貼ってあり、もちろん全世帯のポストにもお知らせを配布してあります。普通ならわかっているはずです。「いや、あの、気がつかなかった」と言いました。

○専有部分内の用事を押し付ける
 「部屋の蛍光灯の具合が悪いんだけど、見てくれない?」と言ってきたのがこの人です。「各お部屋の中の備品のことは管理人は関係ないです」とお断りしました。

○昼休みに来る
 昼休み中というプレートが出ているのに用件を言いつけてきました。

○メーターボックスの開け方を知らない
 「水道の元栓って、どうやって止めるんだっけ?」とか私に聞きます。

○悪徳訪問販売にひっかかった
 「布団を変えないと、不幸が訪れる」といった、怪しい訪問販売が横行した頃、マンション内でも騒ぎになり、「こういうのに騙されないで下さい」と掲示物もたくさん貼り、注意を促したのにもかかわらず、「高級羽毛布団を160万円で買ったんだけど・・・・。まだ、お金は払ってないんだけど、これって高いかなあ?」と言って来たのがこの人でした。「あんなに、マンション中で騒いでいたのに、何にも気がつかなかったんですか? 詐欺に決まってるじゃないですか! なんでそんなのに契約しちゃうんですか?!」と私はびっくりしました。それに、私に相談に来たのが、クーリングオフ期間を過ぎてから。仕方なく国民生活センターなどに相談をして、いろいろと対処方法を教えてもらい、それを伝えましたが。
「内容証明郵便を送るって、どういうふうにやればいいのかな?」「解約願いの手紙って、なんて書けばいいのかなあ。管理人さん、代わりに書いてよ・・・・」と、やたら私にしがみついてくるため、「自分のことは自分でやってください。なんでもかんでも私に押し付けないで下さい。私があれだけ迅速に注意書きを書いたのに、読まないほうが悪いです!」と私もキレてしまいました。
 その後、「解約願い書いてみたけど、これでいいかな? ちょっと見てよ」「どれどれ、じゃあ、見ましょうか。     え? 何これ? ”国民生活センターの人に言われたから解約したい”って何ですか? そうじゃなくて、”不要なものだから解約したい”とか、”恐怖心をあおられて無理矢理買わされてしまった”とか、向こうの悪い点をつかないと意味ないでしょ。もう一度センターの人によく相談して聞いてください」・・・ 
 翌日、「なんか手紙書くのとか、面倒だから、もういいよ。請求どおりのお金を払うことにする」とあきらめてしまいました。となると、こちらも何もしようがありません。センターへの被害届も取り下げました。私も相手してるのがバカバカしくなりました。まあ、こういう気弱で無知な人だから騙されるんでしょう。(小泉流に言えば、「自己責任」という奴です。でも、そういう人に付け込む詐欺師を許せません)



 それにしても、こんな頼りない人がよそで管理人をやっているなんて、同業者として恥ずかしくなりました。悪徳業者のことだって、住民に注意を喚起すべき立場の人間が、自ら騙されるなんて論外です。以前、「オレオレ詐欺」に騙された警察官がいましたが、それと同じレベルの話です。情けない。




2006/4



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