管理人は超つらいよ   
マンション管理最前線

休日&残業&有給休暇



 
 土曜日も出勤のこの現場。当社株ム下弦メンテナンスの抱える現場は、どこも休日が少ないです。そして驚くことに、夏休みも一日もありません。日本人の習慣である「お盆休み」、これがまったくないのです。一般的なマンション管理会社なら会社も管理人も、8月13〜15日は休みです。住民の皆さんも当然のことと考え、なんの文句もないでしょう。逆に「3日間だけでいいのか?」と思うでしょう。夏休みは一切ないでのです。ひどい会社です。8月は祭日もないですから、きついです。

 「だったら有給休暇をとれば?」とお思いでしょう。でも、これがとれないのです。もちろん違法行為なのですが、この会社は有給休暇をなかなかとらせてくれません。皆さんのマンションでも、管理人さんはなかなか休まないと思います。普通、管理組合と管理会社との契約では、「管理人が病気や休暇で休む場合は、代理スタッフを手配する」となっています。これを「代番」といいますが、コストがかかるため、代番要員を確保しておくことは会社の経営上は負担となります。そのため、この会社では代番要員がいません。そして有給休暇がとれないのです。国土交通省が出している「管理委託契約書」の雛形の中には、「有給休暇をとる時はお休み」などと、現実とは程遠いことが書かれていますが、この不況の中、代番を手配せずに「管理人が休暇を取った日は管理人業務は休みにする」という条件をOKする管理組合はないでしょう。(急病で代わりが手配できない場合はしかたないとしても)

 つまり日祝日しか休めません。これでは旅行も行けません。年末年始も30日まで働かされ、4日から出勤です。里帰りもできません。人間らしい暮らしはできません。「管理人は年寄りばかりだからいいんだよ」という声もありますが、年寄りの場合、病気発生率は高くなりますから、病院に行くことが多くなります。しかし、通院のために休むことすらできませんから、病気を治そうとすると、仕方なく辞めざるをえません。本当に健康でない人でないと勤まらないのです。そのために、「十何年も変わらない」管理人がいる一方、「すぐに辞めてしまう」管理人もいるのです。ですから、求人数が多いのです。

 有給休暇は2年で消滅しますから、もったいない話ですが、どんどん捨てていくことになります。買取制度などありません。辞める時に2年分まとめて取得するだけです。

 残業代も出ません。普通の業務では残業になることはまずないのですが、検査点検の立会いなどで遅くなる時があります。こういう場合でも、「残業は出せないから、時間になったら、途中でも構わないから帰れ」と会社はいいます。といっても、最後の施錠などをしないわけにはいきませんから、結局サービス残業です。もともと激安給料なのに、ただ働きとは言語道断です。

う〜ん、やはり
管理人はつらいよ


<追記>
  知り合いの管理人さんの現場では、「勤務時間 朝8時〜夕方6時 休憩2時間  日祝のみ休み」だそうです。過酷ですね。おまけに、住み込みということで、勤務時間外でも仕事をさせられるケースが多いそうです。死にそうですね。(私も昼休みでも仕事を言いつけられます) 
 休憩2時間というのはミソです。こうすると、「10時間拘束」が可能ですから、雇う側としてはいいシステムです。私も、学生時代にバイトした温泉旅館では、「昼休みが4時間ある」という勤務体系で、早朝から夜遅くまで働きました。それにしても、いまだにどこの管理人も、「休みは日祝だけ」なんですねえ。うちの場合、それに加えて、「夏休みもゼロ」「年末年始も31〜3日しか休めない」というひどい有様です。ゴミの分別が厳しく細分化され、日曜以外はすべてなんらかのゴミ収集がありますから、「週休2日制」にはどうしてもできないようです。(もっとも、住民がちゃんと分別して出せば、管理人は何もする必要はないんです。ルールを守らない人が大勢いるから、ゴミの始末を我々がやらなくてはならなくなるのです)

 私の場合、休日もバイト(セルフ式ガソリンスタンド。おかげさまで居心地がよく、続いています)してますので、実際はほとんど働きづめです。その代わり、時々有給休暇をとって、骨休めをします。(以前と方針転換して、「有給をどんどんとってやる」ことにしたのです) また、遠くの親戚の法事や、知人の結婚式に行くこともあります。有給休暇をとるときは代務員が私の代わりに勤務するのですが、それ専用の人員を用意しているような、まともな会社ではないので、会社側としては、管理人の有給休暇申請はすごく嫌な顔をします。今、世の中では「育児休暇」とか「リフレッシュ休暇」などがあるそうですが、この業界ではそれ以前の問題です。

 住民の中には、「管理人さん、なんで土曜日、休みじゃないの?」「なんで、お盆休みがないの?」「12月30日なのに、なんでいるの?」と質問してくる人も大勢います。普通の日本人であれば、当然の神経です。しかし、逆に、「なんで管理人が有給休暇を取るんだ」と会社に文句を言ってくる住民もいるそうです。我々には基本的人権はないんでしょうか? うちの会社の代務員というのは、その都度職安で紹介してもらってアルバイトしてもらう人なので、はっきりいって仕事は何もできません。掃除をちょこちょこっとやれるだけです。管理員というのは豊富な経験と資質がないとなかなかできない仕事ですから、アルバイトにできるような仕事ではありません。でも、いないよりはましで、「伝言預かり係」としては機能できます。また、私が有給休暇を取る日というのは、清掃パートさんが出勤する日に合わせるように努力していますから、彼女がいれば、たいていのことはこなせるのです。そんなに、居住者に迷惑をかけることはないんですが、私がいないと「駄目だ」という住民がいるのです。(それだけ、私が頼りにされているということなのかなあ? それはそれで名誉だけど)

 大手管理会社の場合、有給休暇でなくて、「定期的な研修」のために管理員が休むことがあります。これは、管理委託契約を締結する際に、「○ケ月に1回、研修のために休む」と明記されていますので、なんら問題はありません。しかし、住民の中には、「研修なんかいいんだよ。それよりちゃんと出勤しろ」と苦情を言ってくる人がいるそうです。でもね、、研修をちゃんとやってくれる会社というのは良心的な会社ですよ。うちなんかゼロなんだから。勉強することも大事だし、他の管理員との情報交換も非常に有益です。会社に直接文句を言ったり、管理人同士の愚痴の言い合いも必要なことです。ストレス解消にもなります。会社側も現場の意見を聞ける貴重な機会です。住民としたら、むしろ、「この会社はきちんと研修をする、いい会社だ」と思うべきです。(公務員の場合は、「研修=サボリ=遊び=税金横領」ですけどね)

 とにかく、住民の皆さん。自分だって、週休2日制で土日は休んでいるんでしょう? それなのに、我々は日祝しか休みがないんです。年間休日数でいうと、一般社会人の半分ですよ、きっと。そして、給料は皆さんの半分以下です。そこまで働いているのに、有給休暇ちょっと取ったくらいで文句言わないで下さいよ。

 毎年、管理委託費の内訳を全居住者に配布するべきだと思います。「金払ってるんだから・・・しろ」と皆さんはよくいいますが、いくら払ってるのか、認識してから文句を言って欲しいです。わが社の委託費はほんと安いんだから。(でも、他の管理会社のほとんどは、「管理員人件費 年間500万円」とか計上して半分をピンハネしてるんですよね。こういう会社はむしろ公表できないだろうなあ。やはり、管理員の給与明細を管理員室の窓に貼っておいて、「これしかもらってません。ですから、この程度の仕事しかしません。休暇もたくさん取らせてもらいます。もっと働かせたいのなら、委託費を倍払ってください」と書いておけばいいかもしれません。冗談じゃなくて、半分本気です)

 
 


2006