マンション管理最前線
管理人は超つらいよ
マンション管理最前線
| 新築挨拶 |
近所の知り合いの管理人さん。久しぶりにいっしょに昼食をとったところ、ずいぶん怒っています。その原因は・・・・
実は、こちらさんのマンションのすぐ隣に、別のマンションが新築されたばかりなんです。それなのに、「隣のマンションの管理組合も管理会社も管理人も誰も挨拶に来ない。プンプン！」とお冠です。「組合はまだできてないから、誰が理事長とか決まっていないでしょう。それは無理です」と私はいいましたが、管理会社や管理人、というか分譲主が挨拶にきてもいいと思います。
このマンションが建設に取り掛かったとき、分譲主がやってきて挨拶をしていったそうです。ただし、それは法律や近隣協定にもとづいての「周知事項」を伝えるためのもので、一般的にいう挨拶ではなかったそうです。（タオルも菓子折りもなかった）
さて、工事が始まりました。そうしたら大変です。とにかくうるさい。騒音公害です。マンション住民から、「管理人さん、うるさいよ。なんとかしてよ。文句言ってきてよ」とせっつかれ、文句を言いに行きましたが、「工事だからしょうがないじゃないですか。ガマンしてくださいよ。お互い様でしょう。お宅のマンションを建設する時も近所に迷惑かけたでしょう」と言いくるめられました。むこうは謝りもしません。基礎工事の時は振動もすごいです。常時地震が起きています。
しばらくすると、ちょうど風向きが悪く、粉塵がマンションに吹き込んでくることがありました。どうやら、外側の囲い方が不十分だったそうです。これも文句を言いにいきました。ビニールシートが増え、少しは改善されました。マンション新築に伴う「ガス管工事」が行なわれました。3日間、前の道路が通行止めになりました。この時もガス会社からは事前予告はありましたが、分譲会社や工事会社からの「御迷惑をおかけします。すいません」という挨拶はなかったそうです。電力会社の電柱工事の際も、片側車線が通行止めになるなどの不便を被りましたが、これは「片側だけ」ということか、分譲主はもちろん、電力会社からも予告もなしに行なわれたそうです。こういう不便・被害があると、文句はほとんどが管理人に来ます。苦情処理係ですから、フラストレーションがたまります。
こういった直接的なことだけでなく、「工事の職人が自分の車やバイクで仕事に来て、うちのマンションの前に車を置くんだよ」とか「職人がタバコを道路にポイ捨てするんだ。空き缶を投げ捨てるんだ」といった、バッドマナーの被害もあったそうです。
ある程度、躯体部分が出来上がってくると、今度は内装工事が始まります。となると、様々な業者が訪れるようになります。みんな車で来ますが駐車スペースがありません。近隣の御宅の前の道路に違法駐車しまくりです。それもほとんどが無断。「すいません、ちょっとの間だけ置かして下さい」なんて断りを入れる奴なんて皆無です。こうなると、交通事故の心配があるわけで、マンション住民の中で子供を持つ親などは気にします。「管理人さん、あの車、あんなとこの置いて危ないわよ。警察に通報してよ」とせっつかれます。自分で１１０番すればいいのにしません。（うちのマンションといっしょ） それで管理人さんが１１０番をする→警官が来ると、すぐに逃げる（すぐ近くで工事をしているし、現場前にいる警備員が、警察が来たことをみなに教えるから、捕まることなどないんです）、の繰り返しです。分譲会社に電話して文句を言っても、謝らないそうです。（不動産会社なんてヤクザですからね）
ある朝、気がつくと、マンション前の植栽部分の囲いがペンキで汚れていることがあったそうです。よく考えると、その前日、マンション前に塗装業者の車がとめてあったんです。そういうことです。でも、証拠がありません。管理人さんが清掃したそうです。
やっと、マンションができあがりました。「これで無礼な職人たちともおさらばだ」と思ったそうですが、ところがギッチョンチョン。今度は新入居者の引越ラッシュです。一人ずつならともかく、土曜日などはいっぺんに数軒の引越がかちあってしまい、「うちのマンションの前にまで引越トラックを置くんだよ。それも無断で。迷惑だよな」とのこと。おまけに、その数日後、「うちのマンションのゴミ集積場にダンボールの山ができてたんだよ。古紙回収の日じゃないのにさ」、その新しいマンションのゴミ置き場がとても小さいそうで、ゴミがあふれて、お隣に置いたみたいです。
これで終わりじゃありません。この新しいマンション、ワンルームが半数近くを占める「単身者の多いマンション」であるため、「路上のタバコの吸殻が増える」「コンビニゴミみたいなのが路上に捨てられる」「小さな子供が怪しい男に声を掛けられる事件が増えた」・・・・と、ろくなもんじゃないそうです。
加えて、この新築マンションの管理人がいい加減なようで、毎日日勤で働いているにもかかわらず、ゴミ置き場が荒れ放題で、重量の軽いプラスティックゴミなどが、風に舞い、近所に散らかっているそうです。
そんなわけでして、この「被害者管理人さん」が「挨拶にも来ないなんて」と憤慨するのには十分すぎる理由があるのです。
個々人のレベルでは「引越の挨拶」というのがあるのに、なんで棟単位の挨拶はないんでしょうかねえ？
マンション分譲主の皆さん（ヒューザーもよく聞いておきなさい）へ。マンション建設というのは御近所に多大な迷惑をかけて建設するものです。着工予告の挨拶だけでなく、竣工後の挨拶は必須事項です。特にマンション管理人には、ものすごい迷惑をかけていますから、菓子折りの1個なんてケチなこと言わずに、商品券の一束でも持っていくべきです。
また、新築マンションの管理を請け負う管理会社も当然、周辺一帯への挨拶が必要です。担当フロントと管理人の最低二人連れでまわらなくてはいけません。手ぶらは厳禁です。おそらく、丁重に挨拶に出向いたのにもかかわらず、「これはどうもようこそ」などとは言われずに、「なんだ、おまえんところは！ プンプン」といきなり怒られるかもしれませんが、そういう事情があることをあらかじめ予想して行って下さい。
管理人というのは個人プレーのように思えて、実際は近隣の皆さんとの連携が大事ですから、特に「新人管理人がいきなり新築マンションで働く」というケースでは、わからないことだらけで苦労するはずです。近くに役立つ友人管理人を確保しておいたほうがいいです。そのためには、最初の挨拶が肝心です。
2006/4
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