管理人はつらいよ
マンション管理最前線
緊急指令 非常事態宣言 リプレイス?? |
この業界、たまに、きな臭い話が出てきます。「管理会社と理事長がグルになって、会社変更をさせる」みたいな話です。けっこう高額な金が動くそうです。
当マンションの場合、「もともとの管理委託費がとても安く、他の一流管理会社が太刀打ちできない」ということもあって、「うちは大丈夫だろう」と安閑としていたのですが、そうもいかなくなりました。きな臭い争いが、このマンションでも起き始めました。
定期総会の場で、「その他、何か質問意見はありますか?」という中、今までは特にそういうことを言う人じゃなかった、住民Cさん(奥さん)が突然、「このマンションは建築以来、ずっと同じ管理会社が管理してますが、そういうのはよくないと思います。馴れ合いになって、良い管理ができないと思います。」と発言したそうです。その後、「他の管理会社ならこうする。もっといい」「あの管理人は働かない」とか、嘘も交えながら、「現管理会社は良くない」ということを、ずっと主張したそうです。
うちのフロントマンも、「これはまずい」と、「そろそろ予定の時間ですから・・・」と切り上げさせたそうですが、出席した住民には、当社のかなり悪い印象を与えてしまったかもしれないそうです。
うちの会社はいい加減ですから、非難される点も多々あるので弁解はできないですが、「根本的には組合がだらしない」という面もありますし、「この委託費なら、この程度の管理で十分のはず」という点もあります。コストのことを考えないなら、「もっときれいに清掃できるはず」とか「こういうサービスもできるはず」と言った意見は自由に言えます。
そして、困ったことに、このCさん、総会のあとにも、とにかく、他の住民を見つけるために、「ねえねえ、○○さん、今の管理会社ってひどいのよ・・・」ということを話します。これが真実であれば、私たちも素直に反省しなくてはいけないのですが、困ったことに大部分が嘘なのです。このCさん、口からでまかせばかり言うんです。「管理会社が、通帳も印鑑も両方持っていて、好きなように引き出しているのよ」なんてことも言っているようです(ウソです)。参るのは、このマンションの住民はマンション管理に無関心・無知な人が多いため、この嘘を信じてしまう人が多いことです。「あの管理人は屋上で昼寝している」とか、私の悪口もずいぶんいいふらしているようです。(屋上の様子をどうやって見るんだよ? 一般住民は上がれないのに)
うちのフロントもさすがに困って、「いい加減なこと言わないで下さい」と抗議したそうですが、「あたし、そんなこと言ってないわよ」と否定します。「でも、あなたから話を聞いたDさんから、あなたの発言内容は聞いてますよ」「そんなの、空耳よ。なによあんた、録音テープでもあるの? 証拠もないくせに、いい加減なこと言わないでよ。名誉毀損で訴えるわよ」と反撃してきました。他住民の複数の証言があるので、彼女が嘘をいいふらしているのは間違いないのですが、なかなか認めません。
「いったい、Cさんは、なんの恨みがあって、あんな言動をするんだ」とフロントも不思議に思いました。私のほうでも、アンテナを張って、情報を得るようにしたら、真相らしきものがわかってきました。
”Cさんのご主人、以前の仕事をリストラされ、別の会社に再就職した。その会社は中堅のマンション管理会社。どうやら、このマンションの管理を、その会社で受注できることになったら、多額のボーナスが出るらしい”という感じです。噂話なので真実かどうかわかりませんが、Cさんと親しい住民から、うちの清掃員が聞きだしました。(100万円ですって。それじゃ、必死だなあ)
社員であるご主人自らが動くのは怪しいので、奥さんが代理に動いているようです。
「リプレイス(管理会社変更)を狙ってるのか? となると、向こうは本気だな。これはまずい」と、当社では考えました。このマンションのように、やる気のない組合では、悪いやつが理事長に立候補して理事長になれば、自分の好き勝手にできます。管理会社変更も、それなりの安い金額を提示すれば簡単でしょう。まずいです。
そんなわけで、当社「飯加減」も自衛策に出てきました。といっても、実質は我々の労働強化策です。とにかく、「今の管理会社はよく働いていることを多くの住民に知らしめることが必要」という策です。
○「朝早く出勤しろ」
「このマンションは、規定の時間より早く来て働くことを美徳と感じる人が多いから、いつもよりも早く出勤しろ」、とのことです。なんか新入社員みたいですね。そして、今までは、朝一番は、「ミーティング」「本社との電話連絡」「留守電のチェック」「管理員ポストのチェック」などをするのですが、「そんなことはあとまわしにしていいから、すぐに着替えて、玄関ホールの掃除をしろ」との指示です。朝一の時間帯は、子供たちの通学時間にあたるため、多くの住民が玄関ホールに集まっています。(犯罪予防のために集団登校をしている) そういった、人が多数いるところで、「管理会社はがんばって清掃してますよ」ということをアピールしろ、という意味です。こういう手法は、「より多くの住民に好かれたい。評価してもらいたい」と考える管理人がやる手で、私も知っています。「そんなことまでして、住民に評価してもらわなくてもいい」と思っていたのですが、とうとう自分がやらされることになりました。
朝イチ以外にも、住民が比較的多く出入るする時間帯というのがあるのですが、「そういう時間帯に清掃業務を集中しろ。とにかく、多くの住民に見てもらえ」「そういう時間帯には管理室で事務なんかやるな」とのことです。
○「とにかく、明るく元気に挨拶しろ」
前職が流通ですから挨拶は得意なんですが、それでも足りないそうです。まあ、たしかに、こっちが挨拶しても反応にない人に対しては、あまり一生懸命挨拶しないようになったきたのは確かです。「むこうが気がつく前にこっちから挨拶しろ」とのことです。
○「プラスポイントの会話は、住民に聞こえるように」
管理人と清掃員は、「東棟5階の廊下にゲロがあります。掃除しておいてください」といった連絡をしあいますが、「そういう会話は住民に聞こえるようにやれ」とのことです。いろいろ仕事をしていることをアピールするためだそうです。
○「管理会社がやったことをわかるように」
今までは、実際は管理会社がやったことでも、「管理組合がやったこと」として発表していることが多かったです。そのため、住民の中には「ここの組合は熱心だな」と誤解している人も多いです。昼間勤めていて昼間の実情を知らない人は信じてしまいます。例えば、市役所の広報は、本来は組合の役員が配布しますが、実際は私がボランティアで配布しています。そういうことがわかるようにアピールしろとのことです。
なんか、とにかく、せちがなくなってきました。疲れるなあ。
こういう卑怯な手を使う管理会社にリプレイスしても、ろくなことはないと思いますよ。管理人の質も大幅にダウンするでしょうし、後悔するはずです。でも、負けないようにがんばるしかないか。
ここの管理も赤信号です。
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