管理人はつらいよ
マンション管理最前線
文盲の清掃員さん |
役者の早乙女太一という人がいます。若手のホープで、大活躍中です。
今、この人が、芸能ニュースで、「文盲ではないか?」と取り上げられています。漢字がほとんど読めないそうです。小さな頃から、旅役者として、日本全国を転々として、ろくに学校に行ってなかったからだそうです。台本は、全部ひらがならしいです。
そういえば、漫才の内海桂子さんも、「ほとんど学校に行ってないため、昔は、字が読めなかった」と言ってたのも思い出しました。
さて、今回の主人公は、いっしょに働いている清掃員のおばあさんの話なんですが。
以前より気にはなってたんです。有給休暇の申請も、出勤簿への記入も、全部、私に任せていたのです。まあ、私としては、「日頃、天候の厳しい屋外で一生懸命働いておられる清掃員さんなんで、こういう雑務くらいは私が手伝ってあげよう」と思ったので、別に、押し付けられても、「いいですよ」と請け負っていたのですが。
そんなある日、会社のほうから宿題が出まして。
「会社として、個人情報保護の認定を取るので、全部署全スタッフからレポートを提出してもらう」というものです。今までも、似たような「宿題」というのはあったのですが、どれも、私が清掃員さんの分も代筆していました。
ただ、今回のは社長が非常に厳しくて、「代筆は一切禁止。必ず本人が書くこと」という但し書きがついてまして。担当フロント君からも、「いつも代筆してるのは、ばれてますからね。今回は、絶対に、個人個人で書いて提出して下さい」と念を押されてしまいました。
そういうわけで、清掃員さんに、「今回はどうしても代筆はだめなんですよ。申し訳ないですが、適当で、いいんで、”私の個人情報保護への取り組み”という題で、レポートを書いてください」とお願いしました。当然、「嫌よ、いつもどおり、代わりに書いてよ」とか「最低賃金で働かせておいて、こんな面倒な仕事までやらせるなんて、ほんと、ひどい会社よね」とか、いろいろ反対されたんですが、私も社長命令に背くわけにもいかずに、「こんな内容で書けば大丈夫ですよ」と口頭で「模範解答」みたいなのを教えて、無理してお願いして、書いていただきました。
そして、3日後に、そのレポートが完成したのですが・・・・・
なんと、ご自分のお名前以外は、ほとんど、「ひらがな」だけでした。漢字がないんです。あっても、間違ってます。そう、「男はつらいよ」の寅さんが書く手紙みたいな感じでした。
そして、「実は私、子供の頃に家庭の事情で学校に行けなくて、漢字がほとんど書けない」ということを告白なさいました。私としては、「そうか。それで今まで、かたくなに、文字を書くことを拒否してきたのか?」と理解した次第。まあ、清掃だけしている分には、漢字が読める必要はないですからね。
ちょっと調べてみたら、日本人の「識字率」というのは、99.8%だそうで、100%じゃないんです。まあ、精神障害の人もいるので、どういう計算なのかはわかりませんが、率から言えば、500人に1人は、文盲ってことになります。その「500人に1人」が目の前にいたって、別におかしなことじゃありません。
そんなわけで、今後は、掲示板に貼る書類も、「なるべく平易な言葉で書こう」と思いなおした次第です。