管理人は超つらいよ
マンション管理最前線
制服で通勤する管理人を襲った悲劇 |
どこのマンションの管理人も、作業服という制服を着ていると思います。
そして、普通、自宅を出る際は、一般的な「私服」ででかけ、マンションに着いてから制服に着替えます。着替える時間も労働時間です。
私、昔は、前の会社をリストラされたのを隠してたので、ちゃんとスーツを着て家を出ていました。まあ、今は、ラフな私服ですが。
この「制服」というのは、管理人の仕事を始めてから、初めて着たものでした。私としてはけっこう気に入ってまして。というのも「気分の切り替えがしやすい」からです。
マンションに来て、作業着に着替えることによって「さあ、これから仕事モードだ」「ここにいる間は、社会の最下層人間の扱いを受けるが、それは我慢しないといけない」という気持ちになります。そして、終業時、私服に着替えることによって、マンションのことは全部忘れて、一人の人間に戻ります。「変身!」と言ってもいいくらい、頭の中を切り替えます。こうやって、家の中に、仕事のストレスを持ち込まずに済むわけです。
駅とマンションの間の道で、知り合いの住民から声をかけられることもありますが、基本、無視します。仕事をしたくないので。コロナの時代、マスクしているので、気づかれにくくなり、この点はありがたいです。
そういう人もいる一方で、自宅を出るときから制服を着用し、それで電車に乗って通勤して、マンションに着いて、そのまま仕事をする人も少数ながらいます。
「着替えるのが面倒」
「そのまま洗濯機に入れればいいから洗濯しやすい」
「私服を着なくて済むから、頭も使わなくていいし、洗濯物も減る」
「作業服はポケットが多く便利」
なんていう理由があるようですが、中には「制服が好き」なんていう人もいます。
(そういえば、マンション住民の中にも、今は定年退職して無職なのに、会社員時代の作業服を着て生活をしている人が2名ほどいます。この人たち、外来者から「管理人」と間違われるので、こっちとしては迷惑なんですけどね)
さて、そういう「通勤時も制服を着ているK管理人さん」のお話。
Kさんのマンションでは、2日後に「消防設備点検」があり、そのため、「仲介不動産業者から、空室になっている部屋の鍵を預かり、管理人が部屋のドアをあけて、消防業者に立会い、点検をする」ってことになってました。
部屋の鍵というのは非常に大事なもののため、管理室の中には置けないと考えました。(※そこの管理室には鍵のかかる保管庫がなかった)
そのため、「肌身離さず持っていよう」と考えて、作業服の胸ポケットの中に入れておきました。
そして、仕事が終わって自宅に帰る時も、作業服のままの人ですから、鍵もいっしょに持ち帰るわけで・・・・・・
しかし、駅のエスカレーターで、右側を駆け下りていく若者にぶつかって体勢を崩した際に、どうやら、鍵を落としてしまったようです。
我々のように「勤務時間だけ制服であれば、探す範囲が狭く、見つかる可能性も高いですが、通勤経路で落としたとなると、「どこで落とした?」と場所を絞り込むのも大変だし、誰かに持ち去られる可能性も高くなり、なかなか発見できないもんです。
結局見つかりませんでした。消防点検もできませんでした。
そのため、管理会社が弁償することになりました。その部屋の玄関ドアの鍵をまるまる交換です。工事費込で3万円かかりました。点検も別日程でやり直しになったので、その分、業者に料金を支払いました。Kさんは管理会社から大目玉を喰らいました。
制服で通勤するって、こういうリスクがありますから、要注意です。