管理人はつらいよ   
マンション管理最前線

古紙回収




 資源を大切にするために、古紙回収は非常に大事な作業です。

 当マンションはちょっと特殊です。一般的には古紙回収は、子ども会役員が行ったり、自治会役員が行ったり、理事会役員が行うもので、管理人がタッチするものではありません。しかし、ここでは、ほとんどの作業を管理人一名が行なっています。

 このマンションでは、2種類の古紙回収を行っています。

@町内会主催 奇数月
Aマンション管理組合主催 偶数月

 町内会回収は、町内会の役員が行ないますが、管理組合主催回収は、管理組合でやるものなのに、組合役員は実際には何もせず、管理人ただ1人で行なわなければなりません。過去の管理人さんたちも、文句をいいながらもやってきたそうです。はっきりいわせてもらいますが、たった一人で2トン近くにもなる古紙を扱うことは超重労働で、管理人業務多数ある中で、最高に疲れる仕事です。

 「回収日以外は出さないで下さい」という掲示もあります。しかし、待ってくれません。そして、玄関ホールに勝手に置いていくのです。人間というのは、ネットの掲示板と同じで、無記名だと好き勝手なことをします。
「新聞と雑誌を混ぜないで」と書いてあっても平気で混ぜる。
「専用の回収袋に入れて下さい」とお願いしても、それは使わずにスーパーのレジ袋などを使う。(新聞の角ですぐ破れてしまうし、きちんと入らない) 
「紐で縛って下さい。ガムテープはだめです」でも、ガムテープべっちょり。(ガムテープが混じると再生処理ができません) 縛ることもせずに袋に入れただけのものもあります。横にすればすぐに中身がこぼれます。雑誌などは、何にもせずに、そのまま置いていく人もいます。

 こういう、マナーの守れないものが多数あり、管理人が全部、それを直します。中身をきちんと分別しなおし、袋に詰め替え、紐でしっかり縛ります。そして、玄関ホールに放置できませんから、物置に移動して一時的に保管します。(この物置がマンションの裏庭にあるため、遠くて困ります) 本当は、「勝手に置いても、管理人は始末しませんよ」と、放置しておきたいのですが、そうすると「みっともない。整理しろ。放火でもされたらどうする」と他の住民から苦情がきます。新聞の場合は、犯人を割り出すことは難しく、注意することもできません。こういうのが1週間に10袋はあります。大きな物置でも、すぐに満杯になります。新聞だけでなく、雑誌や書籍、ダンボール、郵便ポストから直行で捨てられたチラシ類もありますから、整理作業は大変です。また、古紙回収を実施していることを知っているはずなのに、古紙をゴミとして出す人も大勢います。ゴミ集積場から、取り出して、これも物置に入れます。

 町内会の回収は日曜日のために、立ち会うことはなく、多少楽です。しかし、管理組合主催の回収は、何から何まですべてやらなければなりません。「回収の日程表」を作成し掲示するのも管理人。業者を手配するのも管理人。回収当日にトラックに積み込むのを手伝うのも管理人。 回収伝票をもらって、集めて、集計して、役所に届けて、資源リサイクル報奨金をもらう手続きをするのも管理人です。

 回収の時は、前日から作業を開始します。そうしないと間に合いません。玄関ホールに「ここには新聞」「ここには雑誌」「ここにはダンボール」と位置を、決めます。裏庭の物置に入れておいた古紙を、台車に積んで持ってきます。何往復もします。紐が緩んだものは締めなおします。ダンボールはある程度まとめて、紐でくくります。前日だと、もうすでにフライングで出す人がいます。そういう人は出し方がいい加減ですから、すべてチェックして、分別しなおし、梱包しなおします。縛る紐は組合さんに買ってもらいますが、すぐになくなります。住民の人もご自分ではきちんと結んでいるつもりでも、すごくゆるゆるだったりします。これでは、トラックに積んだときに崩れますから、そういうのも、管理人が梱包しなおします。(二重に締めないとだめです) ガムテープ使用のものははがして、紐でやり直します。時々、ものすごい細い紐で縛っている人がいますが、これは持つと手が切れます。作業には軍手が不可欠です。 

 前日作業時に注意しなければならないのが、雑誌。持ち去る人がいるのです。雑誌はきれいにしばって置いても、夜のうちに抜き取られたりして、翌朝はメチャメチャです。雑誌だけは、一晩だけであっても物置に入れておきます。

 当日朝、山のような古紙が集まっています。この中にはいい加減な梱包のものが当然あり、収集に来る前に全部直します。そして、きちんと整理したものから、道路際に出します。業者さんがトラックにすぐに積み込めるようにです。この時、雨が降りそうだとこわいです。急に「今日は雨だから明日に順延します」なんてことがあります。せっかく全部移動したのに、またもとの玄関ホールに戻すのはごめんです。(誰も手伝ってくれないし。「ご苦労さん」とは言ってくれるけど)

 これだけ、きちんと準備しておくと、業者さんも簡単に積みこめます。駐車違反の時間も短くて済みます。古新聞というのは角砂糖のようなものです。きちんと、新聞店が配布している回収袋にいれると、きれいに積み込むことができます。しかし、折らずに元の大きさで重ねる人もいますし、大きなビニール袋の中に投げ込むように詰める人もいて、おかしな形になると、積み込むのも大変です。上手に重ねていかないと、運送中に崩れることもあるので、皆さん、回収袋を使用して、きちんときれいに折りたたんで、直方体を作って下さいね。

 ほんと重労働です。腰に来ます。老人管理人には無理です。


 一番頭にくる事は、これだけ苦労して資源を回収したのに、すぐ次の日に、ゴミ捨て場に古紙が出されることです。いったいこの人は何を見ているのでしょう? なぜ昨日出さなかったのか? 普通ゴミとして出したら燃やされて灰になるだけです。再生はできません。モラルのなさに落胆します。


2003/5/20

森林資源を大事に