管理人は超つらいよ   
マンション管理最前線

 駐車場 


 20年以上前に建てられた街中のマンションで、駐車場が100%完備というところは皆無だと思います。ここでも、世帯数約200に対し、駐車場は40弱しかありません。慢性的な不足に悩まされています。

 今建てられているマンションは、かなり駅に近くても駐車場が50%以上完備というのが目立ちます。100%も珍しくありません。これだけ自動車保有数が増えていますから、当然でしょう。

 当マンションでも、実際の自動車保有率は推定で90世帯以上あるのではないでしょうか? 幸い、近くに何箇所か民間の駐車場があるので、皆さんそこを利用されています。最近は地価の下落で民間駐車場もだいぶ安くなっています。といっても、やはり愛車は目の届くところに置いておきたいものです。当マンションの駐車場の空き待ちは現在50名です。

 規定としては、「利用権は居住する限り永遠」「賃貸は利用できない」となっています。過去の歴史からみると、駐車場が空くのは、年に1〜2件、計算上では待ち番号30の人は15年以上待たなければなりません。他のマンションでは、「今のままでは不公平だ。何年かに一度抽選をして入れ替える」などの方策が考えられているようですが、ここではいまのところ文句は出ていません。その理由は、「マンション内駐車場の利用料金が12000円と、近隣駐車場の相場の9割程度のため、金額的な利点が少ない。(マンション内は価格改定が行われていないのに、周辺は値下げされているため)」「近隣で駐車場を借りることが容易」だからだと思われます。


<大型車は困ります> 
 ここの駐車場はすべて平地です。機械はありません。古いためか、1台分の面積はさほど大きくありません。カローラクラスにちょうどよいような設計です。使用細則には「小型車に限る」となっているのですが、今はお金持ちが増えたのか? 3ナンバーの大きな車や背の高い車が増えています。事務所兼用で居住している人は、バンを置いていたりします。(管理規約的には”住居専用としての利用に限る”マンションなので、本来は商用車はないはずなのですが)
 ランドクルーザーなんかを置かれると、両脇は大迷惑です。車庫入れも非常に難しくなりますし、ドアを開くときもちょっとしか開けられず、出入りもカニさん歩きです。当然前後もはみ出します。私個人の考えとしては、規約を遵守してもらい、新たに具体的に「幅○○、長さ○○以下の限る」という項目を加えるべきだと思います。また、「駐車中はドアミラーはたたむ」という一文も欲しいです。(平置きなんで高さはかまいません) 日産テラノが2台並んでいるところなんか、片方の人は、後方のハッチバックから出入りしています。

<車庫証明書類関係も管理人が作っている>
 駐車場を利用開始する際や、新車に買い換えたときなど、警察に提出する車庫証明書類(正確には、車庫証明を作成するための、駐車場利用証明書)が必要になることがあります。理事長印が必要なため、私が書類作成の手伝いをしなければなりません。

<登録した車以外とめないで>
 管理人は巡回時に駐車場もチェックします。「おかしな車がとまっていないか」「不審な人物はいないか」見ています。ここの駐車場はきちんと契約書が作成されており、その後車種の変更があった時も、届けを出してもらうことになっています。ですから、本来なら駐車している車はしっかり把握できているはずですが。ある中小企業の社長さんは、登録車両はスパシオなのに、毎日のように違う車がとまっています。それも大きいのばかり。セルシオだったり、パジェロだったり、クラウンだったり。事情はわかりませんが、コロコロ変わってはこちらも管理できません。また、時々、届出なしで車を変える人もいて困っています。(車庫証明関係はディーラーが全部処理しているようです)

<駐車場料金は貴重な収入>
 現在作られるマンションの駐車場の料金というのは、500円とか1000円などというものもあって、驚くほど安いです。しかし、ここは12000円。高くはないですが、けして安くもありません。周辺地域の駐車場が値下げしているので、「変更したら」という声もないことはありませんが、そう簡単にはいきません。住民の方はあまり気にしていないかもしれませんが、駐車場の利用料というのは、管理組合の貴重な財源なのです。特にここのように平地で駐車場の維持管理費がゼロに近いマンションでは、支出がほとんどありませんから、ほとんどが収入になります。ここでは、「修繕積立金会計」へ組み込んでいますが、十分な修繕ができるのも駐車場料金のおかげなのです。長期修繕計画も駐車場収入が安定に入ってくることを前提に立案されているため、安易に値下げすることはできません。

<機械駐車場のコスト>
 ”マンション管理上の落とし穴”ともいえる重大な問題です。幸いここはすべて平置きなんで関係ないのですが、私が居住するマンションの駐車場は、すべて機械式駐車場です。平地はありません。

 ”落とし穴”というのは、メンテナンス費用が非常に高額だということです。私のマンションでは、30台駐車できますが、年間のメンテ料金が150万円もかかっています。これは定期メンテだけの料金です。金属機械ですから、20〜30年も持ちません。耐用年数がくれば、機械全体を取り替えることになりますが、これは莫大なお金がかかります。ある計算によると、「取替え更新費用も含めて、トータルコストを考えると、用地コストをゼロとしても、維持費に、1台あたり毎月10000円はかかる」とのことです。 それでも、1台あたり19000円の料金を徴収しているため、収益はなんとか確保でき、修繕積立金の蓄積に寄与しています。(土地代を考慮すると、もうけはゼロかもしれません)

 しかし、最近のマンションを見ると、駐車場が異常に安すぎるのです。これは、最初の安い料金で気を引き、マンションを完売させようという分譲会社の策略です。機械式駐車場で利用料が5000円程度だとしたら、駐車場維持費に関する会計だけで赤字です。赤字が出たら、他から補填しなければなりません。本来、「貴重な収入源」「利用料は修繕積立金に参入する」であるべき駐車場が、逆に「お荷物」「管理費会計の赤字の元」になるのです。つまり、「駐車場を使用していない住民が、駐車場利用者のために、お金を援助している」ということになります。
 こういうマンションは、数年後確実に駐車場料金が大幅に値上げされています。購入時の料金が生涯保証されることはありません。まして、最近は車上狙いなどの犯罪も増加し、「駐車場へ監視カメラをつけて欲しい」など、維持コストは増える一方です。

 神戸の震災マンションでは、次のような悲劇も起きています。建て替えする際、新マンションには大規模なパーキングタワーを作り、住民以外にも駐車場を貸して、そのお金を建て替え費用の返済にあてようとしたのです。しかし、震災後地価は大暴落し、駐車場料金も値下げが続きました。決めていた料金では利用者が集まらず、空きだらけ。最初の皮算用は見事にはずれ、建設費の返済に困っています。 空きだらけでもタワーの維持管理費用はさほど変わりません。また、機械式だと、最近流行の背の高いRV車が置けないという欠点があります。

 機械式駐車場には注意が必要です。


2005/12 追記  屋内型の機械式駐車場の場合、機械本体の他にも、「屋内に駐車場機械があるために、別途必要になる消火設備」にも莫大なお金がかかります。消火薬剤の交換にもものすごいお金が必要なんです。

<暖気運転はやめて>
 屋内にある駐車場の場合、そこはある程度密閉された空間です。それなのに、冬の朝など何分も駐車場内で暖機運転をする人がいます。当然その空間は排ガスだらけ、空気は汚れます。ご自分は車内で優雅に音楽なぞを聴いていらっしゃいます。駐車場が住民の通路になっている場合、最悪です。少しは周囲の迷惑を考えましょう。高級車に乗る人ほどそうです。高級車ほど暖機運転は不要だと思うのですが。どうも、どなたも車の中に入ると、まわりのことを考えなくなるようです。


2003/4