管理人はつらいよ   
マンション管理最前線

”マンション”という用語 


 
  日本ではみなさん当たり前のように「マンション」という言葉を使いますが、本来英語の「マンション」というのは、まったく別物です。ご存知のように、「広大な敷地にゆったりとした庭。そこに建つ大邸宅」が本当のマンションです。
 私は以前、出向で海外勤務をしたことがありますが、そのときに不用意に「日本でマンションに住んでいる」と言ってしまい、実情を説明するのに苦労した覚えがあります。こんなうだつの上がらない男がマンションに住んでいるなんて、相手からしたらおかしな話ですから。

 ずっと昔、共同住宅がポツポツできてきた頃は、アパートと言っていたはずです。「同潤会アパート」なんていうのがありました。昭和30年頃に、公団が分譲共同住宅を作り始めた時に、マンションと言い始めたようです。日本人というのは、奥床しく謙遜するのが美徳なのに、こんな言葉をつける神経は信じられません。この頃は、市営や県営の賃貸の場合を「団地」といって、分譲を「マンション」と言い分けていた気がします。戦争に負けて貧乏になった日本人が、ウサギ小屋とはいえ、借り物ではない自分の家(部屋?)を所有することは、「マンション」に匹敵するうれしさだったのでしょうか? マイホームを買うことも「自分の城を買う」などとおおげさにいいます。でも、やっぱり変です。すでに市民権を得て法律にも記載されている用語とはいえ、修正すべきだと思います。
 だいたい、マンション自体、超豪華なもののはずなのに、「高級マンション」とか「豪華マンション」というのはいったい何なんでしょう。

 ところで「3K」職場では、イメージだけでもよくしようと、職種をカタカナ語に変えることが流行っています。清掃員も「クリーンスタッフ」と言い換えています。(でも、募集の時だけで、現場ではやはり「清掃員」です) 管理人も「マンションマネージャー」と言い換えたこともあったそうです。(すぐにポシャッタそうです) そういえば、管理人はフランス語では「コンシェルジュ」といいます。一流ホテルで立派そうに座っている人もコンシェルジュです。私もコンシェルジュと自称しようかなあ? 管理人室はコンシェルジュルーム!?(「部屋」のフランス語は知らない)

 ある管理会社のHPを見ていたら、”管理人=フロントマネージャー”と呼称していました。この業界では、”フロント=営業社員”なのに、これじゃ、”管理人=営業部長”になっちゃうけど。
 


2003/4