管理人はつらいよ　　　
マンション管理最前線

　この仕事をしていると、ほとほとタバコが嫌いになります。

　私も昔(小学生時代）はタバコを吸っていたことがありますから、喫煙者の気持ちがわからないでもありません。でも、タバコはやっぱりだめですよ。今のような無秩序状態なら「全面禁止」しかないと思います。テレビＣＭを見てください。携帯灰皿使ってるぶさいくな男が、｢ポイ捨てしない俺って、いい人」なんていってます。ポイ捨てしないのは当然のマナー。それを「いい人」だと思う、ＪＴの神経、信じられません。我々、清掃業界の人間がどれだけタバコによって迷惑を受けているか、ＪＴの社員は研修として管理人を経験して欲しいです。

　連休で３日間掃除をしないと、マンション内いたるところでタバコの吸殻だらけになります。いくら、「ポイ捨てはやめましょう」とポスターや自作掲示物を貼ってもだめです。マンションでもこんな状態ですから、駅の周辺など、もっとすごいです。誰かが掃除しているから、吸殻の海にならずに済んでいるのです。

　晩秋は要注意です。ポイ捨て(蛍族も含む）されたタバコが落ち葉に引火することがあります。このマンションでも過去数回ボヤ騒ぎが起きています。ボヤでも、１１９すると消防車が出動しますから、大騒ぎです。そして、そんな大騒ぎを起こしても、当の本人は構わずポイ捨てを続けるのです。

　私たちもプロです。捨てられたタバコの銘柄、何センチ残して捨てられるか、を全部記憶しています。どこにどのタバコが捨てられる傾向があるかも知っています。ですから、ボヤ騒ぎまで起こしても、その人は反省せずに捨て続けているのもわかります。だいたい犯人もわかっています。しかし、確たる証拠がないため、本人に注意することができません。もっとも、ポイ捨ての現場を見て注意しても、「あ、わりい。」とか言うだけで、次の日も捨てます。結局、｢悪いことをしている」とは思わないのです。よく、「路上じゃなくて、側溝に捨てているからいいだろう」という人もいますが、側溝だって、結局は我々が掃除するのです。とにかくこういう輩は、ボヤじゃなくて１棟燃えないと気がつかないのでしょう。

　蛍族はけっこういます。トラブルも多いです。ポイ捨ては言語道断ですが、灰が下の階の洗濯物につくこともあります。上や横の階は煙の被害です。(とにかく風向きによって、どこにでも流れていきます）　苦情も管理人によく来ます。はっきり犯人が特定されていたら私のほうから注意します。損な役回りですが仕方ないです。嫌われたり、逆切れされたりします。「じゃ、、どうやって吸えばいいんだ」と言われると、「業務用の大きなビニール袋がありますから、それをかぶって吸って下さい」とか、「煙を吸うのは自由ですが吐かないで下さい」と答えています。（ひどい管理人だ）

　”マナー”とかいいますが、喫煙者にマナーを求めるのは無理です。だって、喫煙者のほとんどは未成年のうちから吸っている人たちでしょう。つまり法律違反承知で吸い始めた人です。そんな”前科者”にマナーを教えたって無理に決まっています。

　ですから、全面禁止しかありません。もしくは、路上にガソリンをばらまいて、そこで吸うのなら結構ですよ。気持ちよく天国にいけると思います。

2003/5