管理人はつらいよ　　　
マンション管理最前線

　占拠などという大げさな言葉を使いましたが、要するに、「共用部分に自分の物を置く人がいる」ということです。マンション内では困った問題です。

　共用部分には、廊下や階段など、「明らかに、みんなで使う場所だ、と理解できる」共用部分と、バルコニーや駐車場など、「専用使用が認められている」共用部分があります。」

　ベランダやルーフバルコニーは、自室と直結し、囲いもできているため、「自分だけのもの」と思われがちですが、正確には共用部分です。火災などの非常時は、避難通路としての役割も果たします。また、部屋によっては避難はしごなどの緊急避難施設が設置されています。しかし、住民の中には、「植木をぎっしり置いている」「物置がわりに使用して、物がいっぱい」「避難はしごの上に物を置いている」「避難ハシゴが降りてくる場所に、物干し竿がある」など、緊急時に支障が起きる使い方をしている人が多数いらっしゃいます。

　このマンションのように、比較的狭い部屋が多い場合、「物置がわりに利用する」人の率が高くなります。高齢者が多いと、植木も多くなります。悪質なケースとしては、ベランダの手すりにも植木鉢を並べ、「地震でも起きれば下に落ちるのでは？」という、大変危険なことをしている人もおり、困っています。こういう人は、いくら説明しても、「自分のベランダをどう使おうと勝手だろう」と反論なさいます。エアコンの室外機やＢＳアンテナなど、社会的通念として「置いても構わない」物もありますが、避難通行に明らかに障害となるものは、撤去して欲しいです。当マンションの中には、ベランダに立錐の余地がないほど植木を置いている人、洗濯物を干すことも不可能なほど物を置いている人がいます。（どう見ても粗大ゴミなのに、なんで捨てないのだろうという物もあります。机とか）

　廊下に物を置くケースもかなり目立ちます。特に、建物の端に位置する部屋の場合、「自室前の廊下は自分たちしか通らない。だから、他人に迷惑をかけない。だから、何しようが自由」と思っている人が多く、植木鉢に限らず、自転車やダンボール箱まで置いています。アルコ−プのように専有部分とされているならともかく、あくまでも共有部分である廊下に物を置いてはいけません。新聞配達の人も大変です。また、廊下に自転車を置くと言うことは、エレベーターに自転車を載せるということで、エレベーターを利用する他の住民の迷惑になっています。
　
　それから、「ありがたいような、困るような」微妙なケースもあります。マンション内の”土”の部分に勝手に、植物の種を蒔く人がいるのです。なかには、家庭菜園にしている人までいます。きれいな花など咲けば、殺風景なマンションに彩を添えて、喜ぶ人もいます。規約的には違反なのですが、おいそれと撤去させるわけにはいきません。しかし、草ではなく梅や椿などの樹木を植えられると、このマンションのように２０年もたつと、立派な大木になってしまい、邪魔になることもあります。何事もほどほどにして、植えた人は、木は成長して大きくなることを忘れずに、最後まで自分で責任を持って管理して欲しいと思います。地中の根っこが巨大に成長して地下に埋まっている水道管を破壊することもあります。

　当マンションには大物住民が１軒います。この人のベランダには避難ハシゴがありますが、完全に封鎖されています。植木がぎっしりなのです。手すりにも置いています。以前、この植木から害虫が大発生して問題になったこともあります。廊下にも植木がぎっしり。他の住民が廊下を歩く際にも支障がある状況なんですが、注意すると、すぐに逆上して暴力に訴えるため、誰も止めようとしません。触らぬ神に・・です。
　先日は自室前の廊下に鉄パイプを立て、衛星アンテナを無断で設置しました。（ベランダが植木でいっぱいのため、ベランダにアンテナが設置できなかったようです）　さすがにひどいので、この時ばかりは管理組合が「裁判所に訴える」と脅して撤去させましたが、その時も大きな声で叫びまくりで、取り付く島がなかったです。この人に関しては「出て行ってもらおう」という意見が多く、そろそろ裁判になるかもしれません。でも、この人の奥さんが優しい人で、他の住民にいつも謝ってばかり。それにほだされて強く言えないということがあります。もっとも口だけ謝って、何もしてくれません。奥さんがしっかりして旦那さんの暴挙をやめさせてくれれば一番なんですがねえ。
　

　こういったことに関する苦情も、みんな管理人のところに来ます。嫌になります。