管理人はつらいよ   
マンション管理最前線

 マンション その存在の矛盾 




 「なぜマンションを選んだのですか?」という問いに対し、かなりの人数で「隣近所のわずらわしいつきあいが嫌だから」という答えが返ってきます。たしかに、両隣にどんな人が住んでいるのか知らない人も大勢います。

 しかし、それはたんまりと高額な管理費を支払って、なんでもかんでも管理会社まかせにしているマンションでなら可能ですが、そうでない場合は、むしろ一戸建てより隣近所との付き合いが必要になります。地元の町内会は任意参加ですが、マンションの管理組合は強制参加です。区分所有法で決まっています。マンションを買った時点で、組織の一員です。そして、生活は共同生活です。何か物事を決めるのも理事会を開いて審議されます。理事会役員も何年かに一度はまわってきます。(シカトする人もいますが) 
 大きな修繕には皆でお金を出し合います。修繕方法も好き勝手にはできません。基本的には多数決です。玄関扉だって、自分の好きな色に塗ったら怒られます。規約に違反してペットを飼う人に悩まされることもあるでしょう。エレベーターには大勢の人が乗り、嫌でも顔をあわせなければなりません。自分のポストの周りには他人のポストが並んでいます。

 総会に出ることも必要だし、各種のアンケートにも答えなければなりません。建て替えなどとなったら、しょっちゅう会議が開かれるでしょう。おそらくろくに目を通していないでしょうが、管理規約・使用細則など、わずらわしい細かな規則で、本当はがんじがらめの生活なのです。

 こうやって考えると、「人付き合いの嫌な人間」「自由に暮らしたい人間」がマンションに住むのは無理なのです。無理なのに住んでいるから、日本中でいろいろな問題が起きているのではないでしょうか?

 「分譲マンション=わずらわしい近所づきあいをしなければならないもの。いろいろと縛られる集団生活」と考えを改めて下さい。分譲業者も、調子のいいことばかり吹聴しないで、生活の実態を教えてから、売るべきです。


2003/7
たまには真剣な文章も書きます。