管理人はつらいよ   
マンション管理最前線

 荷物預かり


  
 最近のマンションにはいろいろな付加価値製品が組み込まれていますが、「これはいい」と思うのは、宅配ロッカー。設置場所や初期費用、日常メンテ費用(年間12万円くらい)の問題で、簡単には設置できませんが、かなり便利なものです。

 さて、当マンションには、そんなものはありません。となると、管理人が預かるのです。業務仕様書にも記載されている大事な業務です。
 私が前任者から業務を引き継いだときには、「荷物預かります」という掲示は出ていませんでした。「預かってもらえる」と知っている業者の時は預かり、知らない業者のものは断っていたようです。つまり、「面倒だから」です。たしかに面倒な仕事ですが、契約事項でもあり、私になってからは、「預かります(でもなま物はだめです)」という貼り紙を作りました。
 貼り紙があれば、当然、すべての宅配業者が預けに来ます。預けに来れば預かります。でも、これがいけませんでした。「うちは、いつも昼間は留守だから、管理人さんがいる時間には取りにいけないのよ。なんで勝手に預かるの」とお叱りを受けました。ごもっともです。そう、なんでもかんでも預かってはだめなのです。
 そのため、「預かって困る方はあらかじめお知らせ下さい」という掲示をしましたが、申告されたのは、たったの2軒だけでした。拒否の申告がないのだから、他の部屋の分は預かるわけですが、そのうち何軒かは「なんで預かるの」と叱られます。「だったら、先に知らせておいてよ」と心の中では思いつつも、「次回から気をつけます」と謝り、「預かってはいけない部屋リスト」を徐々に作っていきました。結局、怒られなくなったのは2年ほど後です。新入居の人にも必ず聞いておきます。ペケの人は全体で1割程度になります。

※このアンケート方法がまずかった。やるんであれば、「預かって欲しい人は申告してください。申告のない場合は、”預かってはいけない”と判断します」とすれば、管理人的には楽だったのに。
 

 荷物を預かると、業者さんは「不在票」」(管理人に預けました)を各ポストに入れてゆきます。たいていはそれを見た住民があとから引取りに来ます。しかし、不在票を不要チラシと間違えて捨ててしまう住民もいます。また、中元・歳暮の繁忙期は、その時だけ短期バイトをしている、「慣れない配達員」も多く、不在票を書くのを忘れるとこもまれにあります。そうすると、「なかなか引き取りにきてくれないなあ」とクビを長くして待っています。あまりにも日数がたつと、手紙を入れたりするのですが、「何よ、今頃。急ぎの荷物だったのに」と、ものすごく怒られることもあります。それに懲りて、現在は、「101、502宛荷物預かり中」という掲示板を作って、知らせることにしています。

 今は、通信販売全盛ですから、預かる荷物の数が多いです。大きさ、重さもいろいろです。箱を見ただけでは重さはわからないため、「はいよ」と受け取ったときに、あまりにも重くて(宅配業者は力持ちだから見た目には軽々と持っているように見えた)、”カクン”とギックリ腰になったことがあります。これは参りました。本当なら労災です。でも、次の日も出勤しました。(奥の部屋でずっと寝てましたが) それ以後、受け取るときには必ず「これ重い?」と聞いています・

 中元・歳暮の繁忙期、管理人室は荷物でいっぱいです。完全に倉庫状態です。不況の今でもこうなんですから、昔の景気の良かった頃はかなり大変だったのではないでしょうか? 軽ければいいのですが、最近の傾向として「安いけど重い、大きい」(缶ビールとか)というのが人気があるようで、こっちは大変です。(名古屋の管理人さんはもっと大変かな?) なかなか取りに来ない人がいるとあふれてしまうので、この時だけは、掲示だけではなく、電話をかけたりします。でも、時々、「こんなにもらってもしょうがないから、管理人さんにもおすそわけ・・・」と、コーヒーを一瓶もらったり。こういうのがあるので、ちょっとうれしいです。
 この時期は、アルバイトの配達員がたくさんいます。当然見知らぬ顔です。こういう人って、「フラミンゴ便ですが、荷物預かってくれませんか?」とはっきりいってくれればいいのに、いきなり「いいですか?」(何がいいんだよ)、「402です」(402がどうしたの?)、というのもいれば、カウンターに荷物を置いてこっちを見るだけで何もしゃべらない人(おい、なんだよ? あんた誰?)もいて、だいたい推測はつくものの、なんだかわからない輩が多いです。「ありがとうございます」のお礼も言わない者もいます。バイトとはいえ、最低の教育はして欲しいなあ。それから、各業者につき、タオル1本ずつくらいの挨拶はあっていいんじゃないの? こっちは、ずいぶん協力してるんだから。


2003/5