管理人はつらいよ   
マンション管理最前線

かめ!? 



 
 それは、ある熱い暑い夏の日。子供たちは夏休みで朝からマンション敷地内で遊んでいました。

 「おじさ〜ん、カメがいた!」と駆け込んでくる子がいます。現場へ行ってみると、たしかにカメが一匹。マンションの敷地内をノソノソと散歩しています。「なんじゃこりゃ?」
 清掃員さんに聞くと、「ここはすぐ近くに池があるから、そこから変なのが来ることがあるのよ」と慣れていらっしゃいます。「そうか、じゃあ、池に戻すか」と思ってそのカメを見ると、なんか普通のと違うのです。いわゆる日本にもともといる草亀とか石亀でもなく、ミドリガメ(正式にはミシシッピーなんとか、というそうです)でもありません。念のため、図書館に行って図鑑を調べてみました。どうやら、アマゾン原産のなんか難しい名前の亀のようです。甲羅はガメラに似て、周辺がギザギザしています。(左のイラストは違いますよ)

 となると、無闇に池に入れることはできません。最近は変なペットを飼う人が増えていますから、おそらくそういうマニアでしょう。「亀預かっています」と掲示を出して、管理人室で保管することにしました。さて、エサが問題です。住民の中に部屋で亀を飼っている子供がいて、「おじさん、うちで使っている亀用のエサをわけてあげるよ」と言ってくれました。やさしい子だなあ。でも、そのエサを全然食べてくれません。数日経過しても、持ち主はなかなか現れず、その間エサはまったく口にせず、動きも鈍くなりました。「どうしたらいいの? このままじゃ死んじゃうかなあ」
 結局、生態系を乱すかもしれない悪い行為なんですが、近くの池にこっそりと入れてしまいました。どうもすいません。デモねえ、心情としてねえ、こうするしか。

 変なペットを飼っている皆さん。責任を持って死ぬまで面倒を見てください。絶対に捨てないで欲しい!(すべてのペットにいえることだけど)


 ついでに、もうひとつ。今度は寒い冬の日。「カエルがいた〜!」
 プレイロットの砂場で遊んでいたらカエルが出てきたそうです。発見した子供は「死んでる」と言ってましたが、わずかに動きます。どうやら冬眠していたみたいです。ここの砂場は、犬がよくフンをするので、不衛生で、遊ばさせる親はほとんどいません。そのため、今までぐっすり眠っていたのでしょう。でも、わんぱく坊主の手にかかって掘り出されてしまいました。かわいそうに。私が池のたもとまで持って行って、穴を掘って再冬眠させてあげました。





2003/5/17 追伸:まことに申し訳ありません。どうかお許し下さい。

 昨夜のNHKクローズアップ現代を見ていたら、亀の特集をやっていました。上の話の亀はアマゾンではなく、北米原産の「カミツキガメ」という獰猛な種類であることがわかりました。なんでもかんでも動くものにかみつくそうで、生態系を荒らすどころか、人間にもかみつくそうで、今、各自治体で捕獲作戦に出ているそうです。(どうりで普通のカメノエサは食べなかったわけだ) そんなこととは知らずに池に放してしまい。本当にすいません。かわいそうでも殺してしまわなければいけませんでした。私が見たのは15cm程度でしたが、大きくなると50cmにもなるそうです。
 飼い主はなんでそんな恐ろしいものを捨てたんでしょうか? ほんと、犬に限らずペットブームはろくなことではありません。多くの人(そして生き物)に迷惑かけています。



 2003/4