管理人はつらいよ
マンション管理最前線
植栽消毒剪定 |
このマンションには植栽がとにかく大量にあります。
築20年以上のため、植えた時は苗木でも、成長してずいぶん大きくなった樹木もあります。一部住民が勝手に植えた植物が、我が物顔にでかい面して伸びているのもあります。徹底的な剪定を行うまでジャングルのようだった場所もあります。
先日、このマンションが竣工した直後の敷地内の写真を見ましたが、樹木はちょろちょろしかなく、実にすっきりしていました。それが、今はこのようになろうとは、誰が想像したでしょう。樹木の手入れとは非常に大変なもので経費も莫大にかかります。「緑があると落ち着く」と人はいいますが、それも、きちんと整備されていなければジャマなだけです。
一番困るのは害虫です。椿がたくさんあるため、春にはチャドクガが大量発生します。この毛虫は毒があり、触れると腫れます。触ってはいけません。その他にも春と秋にはいろいろな虫がドヒャーと出てくるのでびっくりします。
あるときは、1階の専用庭から発生した虫が、左右に広がり2〜3階にまでのぼり、洗濯物にもくっついて大騒ぎになったことがあります。珍しい種類だったため、図書館に行って図鑑を借りて調べました。ちょっと特殊な虫で、そこの住民が植えていた、ある植物特有の害虫でした。とにかく5月頃はあちこちで虫がウジャウジャで、虫の苦手な私にはつらい季節です。
消毒は、春と秋の2回実施されます。年間予定表があるのに、会社の営業担当がいつも発注を忘れて遅れます。私も、虫がわき始めてから、「あれ? そろそろ消毒だよな」なんて思い出します。本当は湧き出す前に消毒しなければいけないのですが。
植栽の数が大量だということは、散布される消毒液も大量です。液は薄められていますが、人間にとってまったくの無害ではありません。そのため、事前の徹底通知が必要です。
「窓を開けないで」「洗濯物を干さないで」などの注意書きとともに掲示しますが、やはり皆さん読みません。昨年は消毒当日快晴だったため、洗濯物だらけになり往生しました。1軒1軒注意して回りました。なんのための事前通知なんでしょう。消毒の場合、マンションに隣接する家にも液がかかります。ですから事前通知は近隣にも出さなければなりません。といっても、「自治会に連絡すれば、それでOK」とか、「この地域専用の掲示板」のようなものがあるわけでもなく、やはり1軒ずつ挨拶にいきます。大きなマンションゆえ、アパート、一戸建て、商店・・・と周辺を20軒近くまわらなければなりません。
マンション内でも、駐車場の自動車や駐輪場の自転車にもかかるため、該当者にはあらかじめ「少しずらしておいて下さい」とお願いしておきますが、たいてい忘れていて、そのままです。しょうがないので気にせずかけまくります。
剪定は年に1回、秋に行われます。職人さんが5人ほど来て二日間くらいかけて行われます。特別の道具を持ってきますので、ジャンジャン切りまくります。桃太郎侍のようです。ガーデニングの好きな住民の中には、「だめだ、あんな荒っぽく切っちゃ」とご立腹の人もいますが、とにかく広範囲で大量ですから、そんな丁寧な仕事はできません。チェーンソーでガンガン行きます。切り捨てた草木はものすごい量になります。2tトラック2台くらいになります。落ちた葉っぱも強力な風を起こす機械で集めますが、完全には掃ききれず、剪定の翌日は清掃パートさんが大忙しです。1年間でずいぶん伸びるものだと感心します。剪定の後は陽が差し込み、マンション全体が明るくなります。
剪定のあと、おみやげがあることがあります。そう、ゴミです。今まで枝葉の陰で見えなかったゴミが、剪定によって、露出してしまうのです。空き缶が多いです。コンビニのレジ袋などもよく見かけます。剪定作業のあとは清掃が大忙しです。
緑を管理するのはつくづく大変だと感じます。