管理人はつらいよ   
マンション管理最前線

テレビが消えた!



 東棟の部屋から電話がかかってきて、「テレビが急に映らなくなった」とのこと。すぐ部屋に行ってみると、たしかに何も映らず、砂嵐状態。ビデオは映るためブラウン管の異常ではない様子。アンテナ端子をいじったり、いろいろするが直りません。「NHKだけだめ」、という状況ではなく、アンテナがすっぽり抜けたような症状です。「私にはわかりませんね。ちょっと様子を見てください。だめなら電気屋を手配します」と言って、いったん引き上げました。管理人室に戻ってみると、留守電に「テレビが映らない」というメッセージ。そして、また電話が鳴って、やはり「テレビが映らない」。これが次々ときます。管理人室に直接やってくる人も。ある、ひとつの「縦系列」の部屋が全滅なのです。

 困った。う〜ん、なんでだろう? ・・・・・・・・(ない頭をひねりまくり)・・・・・もしかして?

 実は今日、東棟の最上階でリフォーム工事が行われているのです。早速、工事現場へ行ってみました。部屋の中を覗くと、なんと壁を取り払う工事が行われていました。(申請書には、「内装工事」としか書いていなかったのに) そして、その壁の中にはテレビアンテナのコンセントがあり、アンテナ線はちゅうぶらりん。
 「何やってるんですか?」「いやあ、あとから、こっちの壁に配線して直すから・・・」「それどころじゃない。今、下の階は全室テレビが映らなくなってるのに」「え? すいませ〜ん。じゃあすぐに一時的に結線します。でも、この後、完全に工事が終わるまでは、また外さなければなりませんが・・・」

 このマンションでは、アンテナ線は屋上のアンテナと増幅器から、各住居へ降りてきます。上層階から下層階へ1本の線でつながっているため、どこかで線が切れると、その下の階はすべてテレビが消えてしまうのです。このため、最上階で切断した影響で、その回路の線を使用しているすべての階下の部屋が切れてしまったわけです。なんと人騒がせな工事でしょう。売買によるリフォームのため、部屋の所有者は現在おらず、仕方なく、私が階下の部屋全部に事情を説明しに行きました。留守の家には手紙を残しました。「工事が終了するまでは、切ったりつないだりするため、また消えますが、ご勘弁下さい・・・」と。
 
 大掛かりな工事は、他人への影響も考えて行って欲しいです。

 ちなみに、上から下に配線されている関係で、10階と比較して1〜2階は、やはり電波が弱いそうです。


2003/5