管理人はつらいよ   
マンション管理最前線

 ISOの取得って? 意味あるの?? 



金かかりすぎ

  

 これを読んでいる皆さんの会社もISOシリーズの認証をとってますか? 今回は、経済評論家ぶって、ISOを論じてみます。
 どこかのサイトでは、ISOを「USO800シリーズ」と評していましたが、まさに言いえて妙だと思いました。私も以前の会社でISO9000シリーズの取得に関わったことがあります。今は、このマンション管理業界でも次々と取得する会社が現われています。「取って当然」のような雰囲気です。ただし、実際に関わった人間から見ると疑問符だらけです。あの雪印もISO14000シリーズ取得を大々的に喧伝していました。そして、多くの人命を奪う超極悪非道企業、JTも「ISO14000シリーズ取得!」といっています。なんじゃこりゃ?

 品質管理に関する9000シリーズ。大企業の中には「うちは自社の品質管理基準があるから」と、ISO導入など相手にしないところがあります。当然だと思います。今まで、自社できちんとした品質管理ができなかった企業がISOを取るのです。しかし、その内容はかなりお粗末なものです。とにかく書類書類、紙の山です。(同じ、”かみのやま”なら山形の温泉のほうがいい) ひたすらマニュアル化します。まるで、相手が人間ではなく、ロボットであるかのように、経験や技量というものを無視して、どんな初心者にでもできるかのごとくマニュアル化をします。悪いことではありませんが、例えば机の上を雑巾がけするのに、右から拭こうが左から拭こうが、そんなことまで決めなければならないのでしょうか? なんかバカバカしくなります。ISO14000シリーズは環境に関するものですが、環境を大事にする企業が大量の紙の山を作って、何が環境なんでしょうか?

 
お金もずいぶんかかります。小さな会社ではなかなかできません。手間もすごいです。専任のスタッフが必要になります。この不況下、そんなことをする余裕は零細企業にはありません。入札条件に「ISO取得」を入れている自治体などもあるようですが、「品質の見極めのできないど素人が、安直に資格要件に取り入れているだけ。このために本当は優秀でも、ISOをとる余力財力のない小さな企業が弾き飛ばされる」のではないでしょうか? けして、いいことではないように思えます。

 認証団体の職員を接待する会社もあります。実地試験する事業所も、事前に知らされています。試験のないところでは、いい加減にこなしています。マンション管理業界でも、「清掃分野」だけでISOを取得しながら、あたかも全社全分野で取得したかのように宣伝するところがあります。清掃として取得しても、清掃オンリーのスタッフに適用され、「実際には清掃が半分」の管理人でも一切関係なかったりします。

 先日は、「ISO14000シリーズ取得!」と大きく書かれた某大企業のトラックが路上駐車をしていて、ドライバーはエンジンも切らずに1時間ほど眠っていました。その間、汚い排気ガスを周囲に撒き散らしています。こんなものなのです。ISOは世界的な認証制度ですが、取得企業のほとんどは日本だそうです。こういうものをありがたがる習性が日本人にはあるようです。(お菓子などの「モンドセレクション」も、申請するのは日本企業だけらしいです。)

 私には、お土産屋で売っている水戸黄門の印籠を、高い金を出して買って、「ひかえおろう!」とやっている裸の王様にしか思えません。

 まあ、取らないよりは取ったほうがいいのかもしれませんが、そのために莫大な経費を使って、その分、従業員の給料を減らすのはやめて欲しいです。



 2005/2 追記

 最大手ビールメーカーK社は、「日本で1,2を争う環境志向企業として有名です。工場見学に行くと、「当工場からのゴミをゼロにしました」と大きく書かれた看板を目にします。「さすが、K社」と、普通の人は思うでしょう。
 先日、その工場に勤務する人と一杯やる機会がありました。(飲んだのはA社のビールですが) 彼曰く、「ゴミを100%なくすなんて無理ですよ。たしかに、当社はものすごい力を入れて分別再利用を促進していますが、ゼロにはできません。やはり、何割かは焼却処分されています。しかし、焼却する場合、”ただ、燃やすだけでなく、その余熱を何かに利用している(例えば温水プールに利用したり)焼却施設”で燃やすのです。すると、これはゴミではなく、”燃料”ということになります。このカラクリで、表面上はゴミゼロを謳っているのです。実際は、無理ですよ」と、実情を教えてくれました。マンション管理人同様、ゴミについては悩んでいるようです。

 「やっぱりね」と私は思いました。ISOを真に実践するのは大変です。


2007/1 追記
 腐ったケーキを作り続け、「3歳の子供が腹を壊す程度だから(たいしたことはない)」と言い切る
極悪企業「不二家」。ここも、ISO認証企業です。最悪なのは「ISO認証に支障があるため、賞味期限切れ材料の廃棄に関する基準を公式に作れなかった」という弁解。これじゃ、ISOが逆効果になってます。本末転倒の話です。ばかばかしすぎるぞ、ISO!


初稿2003/5