管理人はつらいよ   
マンション管理最前線

 ガーデニング 


  管理人という仕事、世間から隔絶された孤独な仕事のようですが、けっこう流行には敏感です。敏感といえば、ビン・缶。そう、ゴミを見ていると、よくわかります。例えば、「発泡酒はやはりアサヒだなあ。でも新作クリアブルーは売れてないなあ」「キャットフードはやはりシーザーか」なんていうことを考えながら、日々の業務に当たっているため、まるで小売店に勤めているがごとく、どんなものが売れているのかわかります。そう、ゴミは世の中の縮図です。

 さて、流行といえば、マンション内で目立つのがガーデニング、つまり園芸。玄関前やベランダに、たくさん植木鉢やプランターが並んでいます。ここのマンションの共用廊下はそんなに広くないため、アルコープになっていない玄関先にこのようなものを置くのは、ジャマです。管理規約違反ですし、消防法上も違反です。最近は、窓にひっかけるタイプの植木鉢が多く、足元でなく目線に入ってくるため、いっそう邪魔に感じます。
 ベランダのガーデニング、これが問題です。隙間なくぎっしりと植物を置いている人がいます。自分の洗濯物を乾かすにも支障があるくらいです。ベランダというのは、非常時に避難経路となる場所です。植木がぎっしりでは通行できません。また、手摺の上に植木鉢を置くのも流行っています。「針金でしっかり結び付けているから落ちない」とはいうものの、心配です。なかには、何もせずにチョコンと手摺の上に乗せているひどい人もいます。物干しの金具にひっかけるのもあります。地震で落っこちたり、ちょっとしたはずみでぶつかって落とすこともあり、大変危険です。このマンションは1階のベランダ周囲は植え込みになっているため、人が通るわけではなく、人間の頭に落下することはありませんが、危険には変わりありません。手摺に乗せていて困るのは水遣りです。かなり注意してやっても、階下に水がこぼれます。下で布団でも干していたら大変です。「○○さんの植木なんとかしてよ!」と管理人室にどなりこんできます。(直接文句は言わずに管理人に来ます) 度を越したガーデニングは、木が大きくなりすぎて3mくらいになり、当然ベランダからはみ出します。階上の部屋のベランダ前まで侵食する例もあり、布団を干す時も障害になっているはずです。葉っぱも落ちますし、虫が湧けば、その被害も受けます。

 夏に消防設備点検があった時に、点検業者から指摘されたので、全体をよく見回してみたら、けっこうな世帯数でガーデニングが流行っています。増えています。緑が地球環境にいいのは承知してますが、場所と程度を心得て欲しいです。
 


2003/10