管理人はつらいよ　　　
マンション管理最前線

　どこのマンションにも、「どうしようもない不良住民」がいます。

　こういう住民は、「管理人なんて、どうせバカしかいない」と思ってか、なんか悪いことをしても、「何よ、そんなこと法律で決まっているの？　そんな法律聞いたことないわよ」とか言って、悪行を認めません。ある家族の話ですが、ここの家族は全員不良住民で、悪行もあまりにも数が多いので、こちらも頭に来て、一度、根拠となる法律を全部調べ上げ、「あなたがやった○○はすべて、きちんと法律で禁止されていることです。△法第＊条・・・」と説明してあげたことがあります。その時は、相手もギャフンとして、「この管理人、いったい何者？」みたいな、恐れる顔でこちらを見つめ、逃げていったのですが。

　こういう人というのは、自分からは法律論をかざすくせに、それで反論されると、「法律なんか関係ないわよ」と開き直ってしまいます。それに、恥ずかしい目にあった仕返しをしたいのか、ここのところ、奥さんがやたら噛み付いてきます。

「ゴミ置き場にゴミが残ってるわよ」（収集車が来た後に出した人がいるんです）　
「蛍光灯が切れて2日間たつのにほったらかしなの？　何してるのよ」（さっき交換しました。切れたとわかった時にすぐに教えてくれれば、もっと早く交換できます）
「風が強いせいで、自転車が倒れたままよ、なんで直さないの？　うちの子供がつまずいたらどうするのよ」（まだ、強風が続いていますから、今自転車を立てても、また倒れます。風がやんでからでないと意味がありません。それに自分の自転車くらい自分で立てたらどうなんですか？　なんでもかんでも管理人の仕事ですか？　だいたい、お宅の子供はもう高校生でしょう。そんなんでつまづくような運動神経なら暴走族できないでしょう？）
「ペットフードの袋を廊下に捨てる人がいるの。取り締まって」（あなたの犬がマンション内でオシッコするのはいいんですか？）
「広場で遊んでいる小学生がうるさい。注意して」（毎土曜、玄関ホールに友達集めて、騒いで、その後ゴミをほったらかしにしているのはお宅の息子でしょう）
　こんな調子です。それに、せこいのは、苦情の最後にいつも「主人が言うのよ」と付け加えることです。どうやら、自分自身はガミガミオバサンではないと主張したいようです。

　立場上、カッコの中の言葉は胸に秘め、口答えせずに、「ハイハイわかりました。」と向こうの言うことを聞いてはいますが、実にストレスがたまる仕事です。バカを相手にするのは。

　しばらく続くのかな？　は〜　やんなっちゃった。（牧伸二）

2004/1