管理人は超つらいよ   
マンション管理最前線

酔っ払いには困るよ



 左党の私には頭の痛い話題です。

 ある深夜、Cさん(女性の一人暮らし)の部屋をピンポンする人がいました。「こんな時間に誰だろう?」と、覗き穴からその男の顔を見ても知らない人です。何も答えずにいると、「おい、あけろ!」と怒鳴りました。どうやら酔っ払っています。「早くあけろ! 俺だ俺!」。俺俺詐欺ではないようです。部屋を間違えているようです。「ここはおたくの部屋と違いますよ」と答えると、「うるせい、開けろ。俺だ!早くあけねえとぶっ殺すぞ!」とますますひどく騒ぎます。そして、ドアを蹴ります。ドスドスいってます。Cさんはこわくなって、ひっこんでしまいました。

 あまりにうるさい音で、近くの部屋の人も続々と起きて、「何事か?」と、玄関ドアをあけて覗き見します。泥酔者はそれでも蹴り続け、わめき続けました。隣の部屋のBさんの旦那さんが、さすがに頭に来て外に出てきました。「おまえ、いい加減にしろ! 何時だと思ってるんだ! 自分の部屋に行け、バカ野郎!」と一発なぐったら、打ち所が悪くて、鼻血がドバ! 血に驚いた本人はあわてて逃げていきました。

 このまま、自分の部屋に行けばいいのですが、今度はこの人、また別の階に行き、別の部屋をピンポンして、「助けてくれ! 殴られた!」と騒いでいます。結局、十数軒の部屋を起こしてしまったそうです。当然、これだけの人が見れば、この泥酔者が誰だかはわかってしまいます。

 最初のCさんの部屋のドアが壊れてしまったため、弁償してもらおうと、管理組合に相談し、翌日夜、Cさんは理事長と共に、泥酔者Eさんの部屋を訪れました。あいにく、Eさん宅には当事者のご主人は不在で、奥さんしかいませんでした。完全に面が割れているのに、この奥さん、「うちの主人がそんなことをするわけはありません」と否定します。「でも、血だらけで帰ってきたでしょう?」「階段で転んでぶつけた、と言ってます」「???」。いくら話しても埒が明きません。犯行を認めません。こういう旦那だと奥さんもこういう人なんでしょうか? 目撃者はいくらでもいるのですが、本人が認めない以上、証拠写真もなく、理事長もあきらめて、組合会計で修理しました。

 ひどい奴がいるもんです。私もエレベーターで降りる階を間違えたことがあり、鍵が開かないので間違いに気づいたことがあります。でも、ここまでひどいことはしません。

 酔っ払いには困ります。「”酒の上のことで・・・”と謝れば、許してあげるつもりだったけど、あの態度には頭に来た」と理事長さん、オカンムリです。


2004/2