管理人はつらいよ   
マンション管理最前線

学級崩壊



  小学校の教師をしている知人と話す機会がありました。学級崩壊の話になりました。中学の教師というのは校内暴力等、多少の心構えがあるのですが、小学校の教師というのはそういった免疫が弱く、いざそういう事態になると、なにもできなくなるそうです。「4年の2学期、転校生が1人やってきた。この子供が反抗的で手に負えない。授業中に突然教室を出て行ってしまうこともある。注意をしてもきかない。今は、体罰は許されないから、言葉で”そんなことはやめなさい””言うこと聞きなさい”と指導するしかない。そのうち、”何をやっても許される”と勘違いした他の児童がその転校生を追随するようになった。あっという間に学級が崩壊した。初めての経験でおどおどするしかなく、何もできなかった。」といってました。

 これって、子供だけのことではありません。マンション内の大人の社会でも起きます。他マンションの話ですが、中途転入してきた人が、どうしようもない悪人でした。「迷惑駐車お構いなし」「共用廊下に自転車や物置まで置く」「バイク置き場のないマンションなのに大型バイクを購入し、勝手に置く」「自転車は1軒=2台までなのに5台も置く」「ペット禁止なのに犬を飼う」「ゴミの出し方を守らない」・・・、とにかく他人に目立つ迷惑行為をします。しかし、この家のご主人、ヤクザのような風体のため、誰も面と向かって注意できません。管理会社も杓子定規な注意を数回しただけ(それ以上の対応を管理会社に求めるのは筋違い)。理事長や役員も「怖い」「あとで仕返しとか何かあったら困る」と尻ごみして、やめさせることはできません。管理人も「いちおう注意はしましたが、”うるさいんだよ。個人の勝手だろ!”と怒鳴られてしまったため、それ以上は何も言えませんでした」(そりゃそうです。命張って注意する義務は無い)とのこと。

 こわいのは、住民の民度が低いマンションだと、「みんなであの人の迷惑行為をやめさせよう」とはならずに、「あの人が許されるなら、私だって許されるはず。じゃないと不公平でしょ」(不公平を履き違えている)と、他の住民も迷惑行為を始めてしまうことです。その結果、「犬だらけ」「廊下には物だらけ。安心して歩けない。火災時はおそらく全員焼死」「ゴミ置き場はゴチャゴチャ」「管理人は赴任してもすぐに逃げ出す」etc.... という、いわゆる”スラム化マンション”になってしまいます。一部の善良な住民は黙って耐えるしかありません。敷地に余裕が無く、かつ部屋の面積が40〜60uの「ファミリーで住むには中途半端に狭いマンション」では、室内に荷物を保管するスペースが小さいため、私物を外に出したいですから、こういったことが起き易くなります。

 最初の”芽”の段階で摘み取ることが肝心です。結局は、その時の理事長さんの資質しだいです。



2004/4