管理人はつらいよ   
マンション管理最前線

 ペット訴訟 悪質な不動産会社訴えられる 


 
<愛犬家と嫌犬家、マンション分譲会社を訴える

 
2004/6/17の新聞にこんな記事がありました。マンション管理上,見過ごせない事例なので、記事を分析してみたいと思います。

 
 大分県の分譲マンションでの話です。

 この新規分譲マンションは当初、「ペット禁止」ということで販売を開始しました。しかし、なかなか売れないために、不動産会社が勝手に「ペットOK」と変更して完売を目指しました。(ペット可のほうが売れるからね) この際、最初に購入した人にこの変更を知らせませんでした。

 このようにして売られたマンションですが、入居後、当然のごとくトラブルとなり、管理組合発足後の最初の総会で、窮余の策だと推測しますが、「一代限り飼育可」という条件とし、住民の了解を得ようとしました。
 しばらくして、あるペットが死亡した際、その飼主が要望したのでしょう、その後開催された月例理事会で、「特例として、新たに飼っても構わない」という決議が行なわれ、許可がでたそうです。そして、飼主は新しい犬を購入しました。しかし、その年の管理組合総会で、「特例は認められない」と翻り、その飼主はペット飼育を禁止され、泣く泣く手放したというわけです。

 この一連のトラブルに対し、「ペット飼育禁止だからこのマンションを購入した人(現在の新築分譲マンションはペット飼育可能のほうが多いため、きちんと禁止しているのは少数派であり、この点を重視して選択する人はかなり多いと思われます)」は、「約束と違って、このマンションではペットが飼われている」と分譲会社を訴え、泣く泣く手放した飼主も、「ペット飼育OKと言われたから購入したのに、2代目以降禁止では話が違う」と、これまた、分譲会社を訴えました。

 相反する両者が、同様に不動産会社を訴えたということで、注目を浴び、新聞にも大きく紹介されたと思います。

 当サイトの中でも触れていますが、本当に不動産会社というのはひどいです。いい加減です。ウソを平気でつきます。責任を取りません。禁止なら完全に禁止、OKならOKにすべきで、販売途中で方針を変えるなど言語道断です。慰謝料バンバン請求して、業界全体に猛省を促すべきだと私は考えます。

 本来は、マンションみたいな狭い空間では、ペット禁止が当然だと、個人的には思います。買いたい人は、土地を1万坪くらい購入して、敷地内で自由に散歩させられるくらいの条件を整えてから飼って下さい。それが、本当の愛犬家だと思います。狭いところで動物にストレス与える、汚染された空気を吸わせる飼主は、むしろ動物虐待家ではないでしょうか?

 ところで、マンション管理の面から、この訴訟を見てみると、「月例理事会で特例を認めた」というところがひっかかります。これほどの重要な案件では、「管理規約」または「使用細則」の変更ということで、総会の特別決議が必要なはずで、組合員数の四分の三以上の賛成(普通決議だとしても過半数)が求められます。それなのに、少数の役員だけでこんな重大な問題を決めるのは区分所有法違反であり、無効です。その無効な決議を信用して、新たに犬を飼った人、あなたは無知です。管理会社も何をしていたのでしょうか? なんかもっと詳しく事情を知りたい事件です。



2004/6



いい加減なこと言って売るな!