管理人はつらいよ　　　
マンション管理最前線

　
　ちょっと昔の話ですが、Ｈ社の不祥事の話で突然思い出したので記しておきます。

　どこのマンションにも一人や二人いると思います。「組合活動にまったく協力しない人」　もちろん、当マンションにもいます。

　この人、とにかく、組合のこと、共同生活に関することには”シカト”を決め込みます。総会なんか出席はもちろん委任状も出しません。アンケートなんか絶対答えません。回覧板はいつもこの部屋でストップします。自転車の駐輪費も払いません（こっちが何度も訪問してやっと払ってもらいます）。室内の消防設備点検も実施できません。
　ほんと、困った人です。ものすごく仕事が忙しくて、いつも留守というならわかるんですが、昼間もブラブラしていることが多く、姿はよく見かける人です。部屋にいても居留守をしますから悪質です。

　ただ、この人は、騒音を立てたり、ゴミ出しのマナーが悪かったり、というような「直接的に他人に迷惑をかけること」はしません。つまり、「俺は特に誰にも迷惑はかけていない。一人にさせてくれ」という人のようです。だったら、戸建に住んで欲しかったです。

　さて、この人（Ａさんとしましょう）、つい先日、部屋の中をリフォームしました。かなり、お金をかけて大々的にリフォームしました。業者が４日間も通ってきて工事してました。ユニットバスも交換し、システムキッチンも取り替えたようです。廊下の絨毯もきれいになりました。
　ところが、工事が完了した約一ヵ月後、事件は起きました。

　　


　ある土曜日の夜（管理人はすでに帰宅）、炊事や洗濯、お風呂、と水を大量に使用する時間帯です。縦につながる部屋でパニックが起きました。そう、１階から４階までの部屋がほぼ同時に、排水口から雑排水が逆流するという事件が起きたのです。特に１階の部屋はひどかったようで、大量に排水が噴出してきたようです。洗濯機の防水パンから噴出した水（泡まみれの水）は、脱衣所全体を汚し、あふれた水は廊下にまで達しました。台所もベチャベチャです。
　１階の部屋は当時留守でしたが、２〜４階の部屋も１階ほどではないものの、逆流が起き、住民が大騒ぎ。理事長に報告し、「なんとかしてくれ！」ということになりました。理事長は、同じ縦の列の部屋での事故のため、「どこかで排水管が詰まったのだろう」（正解）と推測し、この列の部屋全部に連絡し、水の使用をやめてもらいました。ちょうどその頃、３軒の部屋で同時に洗濯をしていたそうで、噴出した泡の正体は洗濯石鹸だったようです。

　さて、「困った。どうしようか？」と悩んだ理事長は、管理会社に連絡しました。そして、私が呼び出されたわけで。私が到着した頃、ちょうど、１階の部屋の住民も帰宅したところで、大騒ぎしていました。実はこの１階住民が例のＡさんなのです。「せっかくリフォームしたばかりなのに！！！」と大慌てです。状況を把握すると、どうやら、１階住居の下のどこかで排水管につまりが生じているようです。Ａさんは、私の顔を見るなり、「管理会社は何やってるんだ？　おまえらのせいだ！」とか、大勢の住民が集ってきた中で私を罵倒して騒いでいます。

　しかし、このＡさん、前回の「雑排水管清掃」をやってません。理事長の話では、「この人には、毎年困ってるんだよ。おそらく５年はやってないだろう」という話です。清掃の時は、「絶対に実施してください」と手紙を書いたり、電話したり、会えば直接話したり、かなりの労力を費やして、やってもらえるようにお願いしても、「うるさい、関係ない。俺は汚い水など流していない。詰まることなどない」、「そうはいっても、水道管はみんな繋がっていますから・・・」「うるさい！」「留守なら私が鍵を預かりますから・・・」「いやだ、おまえになど預けるか！」という答えです。

　そんなわけで、「Ａさん、５年も清掃をしなければ、排水管が詰まることもありますよ。今回の事故はあなたのせいですよ。あなたが清掃を拒否するから、２〜４階の人も迷惑をうけたんですよ。どうするつもりですか？」　「うぐぐ。。。。」という会話になりました。

　さて、このまま放っておけないため、夜間でも来てくれる水道業者に連絡し、すぐに高圧洗浄を実施しました。特殊な機械ですから、料金がかなり高いです。しかし、月曜まで待つわけにもいきません。緊急出動を依頼しました。
　結局、解決したのは夜１１時でした。やはり、毎年清掃していればまったく問題がなかった箇所に、詰まりがあったようです。縦につながる部屋の排水が全部集る場所ですから、１階住居の高圧洗浄は絶対に毎年やらないとだめです。緊急出動費用はマンション保険でなんとかなりました。幸い２〜４階の部屋は室内もさほど汚れないで済みました。部屋がめちゃくちゃになった当のＡさんは、「組合へ弁償する費用が保険で出て良かったですね。でも、あなたが原因＝加害者ですから、自分の部屋の被害は保険は出ませんよ。自業自得ですよ」と言っておきました。いい薬になったことでしょう。

　消防器具点検もそうですが、排水管洗浄の未実施は大きな事故につながり、他人に迷惑をかける可能性が大です。「誰にも迷惑かけてないだろう」というのは通用しません。絶対に全戸実施しなくては。

　その後Ａさんは、排水管清掃だけは渋々やるようになりましたが、その他のことは相変わらず「シカト」決め込んでます。（緊急出動費１０万円もＡさんに払わせておくべきでした。自分の腹が痛まないと、学習しませんね）


　雑排水管清掃、なめたらいかんざき。