管理人はつらいよ   
マンション管理最前線

 水道メーター 



   マンションの各部屋にはそれぞれ、その部屋専用のメーターボックスがあり、その中に水道メーターも入っています。たまに、端っこに位置する部屋なんかでは、1個のボックスの中に2個のメーターが入っていることもあります。この場合、「実は、設計図面と実物が、左右反対に設置されていて、気がつかずに、隣の部屋の水道料金をずっと払っていた」なんていうトラブルが発生することもあります。

 50世帯以上のマンションの場合、新しい建物では、「
水道メーター集中検針盤」という装置が設置されています。(東芝の特許製品らしく、市場占有率100%だそうです) マンションによっては、目立たない場所にあることもあり、住民の人でもその存在に気がついていない人がけっこういます。オートロックマンションの場合は、当然オートロックの外側にあります。この装置があると検針員は、各部屋までいって、メーターを見ることはありません。この装置1ケ所だけで全室の水道使用量が簡単に、デジタル数値でわかります。実に便利な装置で、検針員いわく、「非常に助かります」とのことです。

 ただし、この装置にも盲点があります。「しょせんは人の目で見ている」ということです。何か電子的なケーブルをつないで、検針装置に直結させてデータを転送しているわけではありません。あくまでも、数値を目で見て、それを検針装置の端末に入力するのです。その際に間違えることがあります。
 真四角で単純なマンションの場合、部屋番号がきれいに順番に並んでいますが、当マンションのように構造が微妙に複雑なマンションの場合、部屋番号がきれいに並んでいない場合があります。当マンションでは、水道検針盤では、○○3、○○4、○10、○11、○12、○○5・・・・・」のように並んでいます。これは、部屋番号の順番よりも、水道管の配置構造上近い順番で並んでいるからです。我々管理人は構造がわかっていますから、難なく理解できますが、パッと見では難しいです。昨年末、水道メーターをまとめて交換(たしか、使用有効年限が8年なので、周期的に交換が必要です)したあとに、新しい検針員に変わったのですが、この人が、○10号室と○○5号室を間違えていたことが、この前わかりました。集中検針盤も古くなって、番号が少し汚れていたせいもありますが、4号室の次は5号室と思い込んでいたことが原因です。4号室の人が「長期入院していたのに、なんでこんなに水道を使ってるのよ」と苦情を言ったことにより、調査した結果判明しました。
 人間がやることというのは完全ではありません。

 ところで、水道メーター自体も信用できないことがあります。(そういえば、以前、水道メーカー数社が談合で逮捕されました。みのもんたの会社もからんでました。公共機関=水道局がからむと、こういった不正が多く発生します。社会保険庁もひどい役所だしねえ)

 検針員が管理人室にやってきて、「○○号室の×田さんだけど、急に家族が増えたとかある? 使用料が3倍以上に増えているんだけど・・・」と言ってきました。この住民はちょくちょく顔を合わせる人ですが、生活スタイルが変わった様子はありません。しばらく後、この料金が引き落としになったのでしょう、×田さんが管理人室にやってきて、「管理人さん、これ見てよ、水道代が3万円超えてるわよ。これおかしいわよ。ちょっと調べてよ。なんとかして・・・・」とまくしたてられました。なんで水道代のことまで管理人に文句を言うのかわかりませんが、こちらもある程度事情がわかってますので、水道局に連絡を取りました。「もしかすると、メーターが故障しているかもしれない。別の物に取り替えて、今までのものは検査に回します」・・・・「検査してみましたが、何も異常はありません。部屋では漏水もないようだし、何が原因かはわかりません・・・」とのこと。×田さんは、「故障じゃないなら、なんで3倍なのよ。こんな料金払えないわよ。なんとかしてよ・・・」と怒ってます。
 この一件、なんとも面白い決着を見ました。水道局側が「ふだんは1万円で、今回は3万円ということですから、
中をとって2万円で手を打ちませんか?」と言って来たそうです。アメ横でバナナ買ってるわけではないのに、「中をとって」とは驚きました。公務員がそんなこというとは?。 結局2万円で落ち着きました。メーターを変えて以来、その後は正常の数値に戻っています。

(やはり、前のメーターが故障してたんじゃないでしょうか?)


2004/6

水を大切に