管理人はつらいよ
マンション管理最前線
立体駐輪場はペケ |
どこのマンションでもそうなんですが、自転車置き場が足りません。当マンションでも、しかたなく、非常階段の下とか、通路の端とか、共用部分に置いているのが実情です。1部屋=1台分の置き場しかないのに、2台・3台・4台〜最高6台所有している部屋があります。これはファミリーマンションの宿命かもしれません。(設計もおかしいんだけど、1台分しかないことを承知で部屋を購入したのに複数台所有する人もおかしい) 都心のマンションでは高額な駐輪費(1ヶ月1台2000円とか)を設定して、数を抑制したりしているようですが、ここではただ同然の駐輪費のため、気にせずどんどん買います。自転車本体もずいぶん安くなりました。近くのスーパーへ行けば、9800円で買えます。
自転車に乗らない高齢者が多いため、その空き部分を貸し出していますが、それでも、マンション全体で60台ほどが本来置いてはいけない共用部分に置かれています。
管理がめちゃくちゃなマンションでは、エレベーターーに自転車を載せ、自分の部屋の前に置く人がいるそうです。現代は治安が悪くなり、「駐輪場から自転車が盗まれる」被害が多く、自室前に置きたがる人が増えているようです。しかし、エレベーターに載せることによる弊害も大きく、もちろん区分所有法や管理規約違反でもあり、これは絶対にやってはいけないことです。幸い、当マンションでは、こういう人は少ないです。
自転車置き場の不足は以前から問題にあがっていましたが、先日の理事会で、「収容台数を増やすために2段式の駐輪場に改造したらどうか」という意見が出たそうです。これを翌日聞いた私は、「やめたほうがいいですよ」と反対しました。2段式駐輪場の欠点を良く知っているからです。
(「そんなこと誰でも知ってる!」と言わずに、まあ聞いてください)
=2段式(立体式)駐輪場の欠点= (設計者は何を考えてるんかいな?)
◆上段は使いにくい
昔よりは軽くなったとはいえ、まだまだ自転車は重いものです。機械としても「軽く持ち上げられるように」工夫はされているようですが、小さな子供や小柄なご婦人、高齢者にとって、自転車を上段に持ち上げて入れるのは大変な作業です。「面倒」「大変」「疲れる」「危険」ということで、上段の利用率は低くなり、なんのために立体式にしたのか意味がありません。特に最近流行の「電動自転車」は非常に重いため、上段には置けません。
上下で利用しやすさの差が出るため、「不公平だ。定期的に入れ替えろ」と言った声も出て、維持管理も大変です。
◆標準のものしか置けない
2段式駐輪場における自転車というのは構造上の問題で限られます。24〜26インチのママチャリを基準に考えられているため、それ以外のものは置けない(置き難い)ことが多いのです。子供用自転車、折り畳み自転車(これも最近激増)、オフロードタイプでタイヤが太いもの、タイヤの細いロードレーサータイプ、27インチの自転車(大柄な人にとっては乗り心地がいいため、これも激増中)、こういったものには向きません。無理やり置くと、倒れて落ちたりします。危険です。台の左右の間隔が固定されているため、ハンドルが幅広のものや、バックミラーをつけていたりすると、隣とからみあいます。
◆カゴはだめ
下段には、「後部にカゴのついたもの」は置けません。置くと、上段の自転車が出し入れできなくなるためです。上段の台がカゴにぶつかってしまい、下まで下ろせないのです。子供用の補助椅子も同様です。
◆前輪に鍵がついていると大変
鍵をかけてから、台に押し込むため、困ります。回らないタイヤを無理やり押し込む必要があります。
◆けっこう壊れる
重い自転車を置くためか、長年使用していると台が壊れます。特に自転車が左右に振れる時、大きなヒネリの力が加わり、痛みます。
◆掃除がしにくい
ギチギチに機械が置かれているため、奥のほうに入って掃除できません。レールの中に入った汚れもとりにくいです。上段のレールに頭をぶつけることもあります。
◇「台座にチェーンで固定できる」「台座に利用者の部屋番号を書ける」「台風でも倒れない」といった長所もありますが、やはり欠点のほうが多い設備です。
そんなわけで、理事長さんに対し、「安易に導入しないほうがいいですよ。後悔しますから」と進言しました。
といって、現状も良くないわけで、本当に難しい問題です。管理人として頭を悩ませるのは、「不安定な自転車が多いこと」。具体的に言うと、スタンドが片方にしかついていない、自転車を少し傾けることによって置くタイプが増えていることです。マウンテンバイクはほとんどそうですし、ママチャリでもこのタイプが増えています。
左のタイプのスタンドは置いた時に垂直に立つため、風にも多少強いですが、右のような片側にしかスタンドがついていないと、傾けて置いているため、すぐに倒れます。こういう自転車が並んでいると将棋倒しが起こります。(13台倒れていたことがありました。直すの大変だった) 左のタイプでも、子供用の椅子をつけたり、カゴをつけたり、重心が上のほうに行くと倒れやすくなります。
風が吹き続けているときは、元に戻してもまたすぐに倒れるため、放置しておくしかないんですが、「管理人がほったらかしている」と非難する人もいるわけで、なるべく倒れにくい自転車に乗って欲しいものです。流行の折りたたみ式自転車は、スタンドが小さいのに、重心が上のほうにあるため、すぐに倒れます。
自転車問題の解決方法は、
「安いからといって安易に買わない」
これが大切です。「子供が3人いるから3台必要」とか、よくいいますが、3人全員が同時に乗ることなどほとんどないはずです。兼用する癖をつけましょう。
イタリア映画の傑作「自転車泥棒」を家族みんなで見てください。物の大切さを学びましょう。
2004/7