管理人はつらいよ   
マンション管理最前線

 管理組合の財政 


  日本国の財政は、独裁自民党と、「公金はすべて僕のもの=公僕」公務員によって食い荒らされ、大幅な赤字が続いています。事実上破綻状態です。

 マンション管理組合も、収入と支出があり、財政というものがあります。”何をするにも先立つ物はお金”ですから、財政は重要です。しかし、組合員さんは、「そんなこと、私には関係ない」という人が多く、無関心になりがちで、多くのマンションで財政が破綻しています。それは高額な費用がかかる大規模修繕の際に明らかになることが多いです。修繕しないわけにもいかないため、その結果、「大幅な管理費・修繕積立金の値上げ」「高額な一時金の徴収」などが行なわれます。といっても、このご時世、値上げによって「管理費が払えない。=滞納」「一時金なんてとてもそんな余裕はない=滞納」ということが起きがちで、「のんびり暮らせると思っていたのに、こんなひどい目にあうとは。老後はどうしよう。蓄えがなくなる一方だわ。トホホ」という住民が多数出てきます。

 今は国の指導もあり、分譲マンションを売り出す際に、そんなにおかしな管理費の金額設定(やたら低い)はないのですが、10年くらい前までは、ひどいのがありました。

 特にM不動産さんの分譲マンションの管理費は、異常に安く、70平米のファミリータイプの部屋でも、「管理費 2000円 修繕積立金 3000円 =計 5000円」などという金額で、モデルルームの営業マンは「管理費が安いですから、月々払うローンも楽ですよ」と宣伝して、売ろうとしてました。買うほうは、内訳よりも、「トータルで毎月いくら払うのか?」しか考えてませんから、すぐに騙されます。(私はそれに引っかかった口です)

 逆に、D京さんは、「うちは、管理費も修繕積立金もよその業者よりも高いです。これは、良い管理をするからです。そして、来るべき大規模修繕にきちんと最初から備えているからです」と訴えて、「安心だから金を出せ」という売り方でした。

 ところが、Mのマンションは、当然そんな低い金額で維持していけるわけはありませんから、第一回の大規模修繕の時にパニックになります。お金が足らないからです。「修繕積立基金があるから修繕できるはずだろう」と思っていても、実際問題、修繕ができないのです。そこで、大幅値上げ、一時金徴収が行なわれます。ある程度、組合役員がしっかりしているところでは、築2〜3年の時点で、会計書類を見た役員が、「おいおい、これじゃ全然貯金(=修繕積立金)が増えていかないぞ。大規模修繕なんて無理だろう?」と気づいて、その時点で値上げが実施されます。早めに気づけば、”突然の巨額な一時金徴収”は避けることが出来ます。Mは特に安い設定ですが、他の業者でも総じて、「第一回大規模修繕を実施すると、スッテンテンか赤字になる」という管理費の設定をしているので、
いつかは必ず値上げになります。

 ならば、D京はどうなのか?というと、ここはもともとボッタちゃんで、管理委託費が高すぎるんです。私もいくつかD京のマンションの管理状態を知っていますが、最低限のことはやって体裁を整えてはいますが、たいした仕事はしません。管理員の質もよいとはいえません。給料も安いし、「管理人に分譲マンションの営業をさせる」などといった無茶なことまでやらせていて、とてもとても優良管理会社とは思えません。修繕工事も組合側のチェックがないと、ふっかけた金額を提示してきますから、最初から高い管理費を払っていても、やはり他と同様に赤字に陥り、さらなる値上げが必要になるのです。

 リゾートマンションなどでは、管理費等が8万円などという、とんでもない金額になってしまったところもあります。滞納者続出で、管理費が集らず、そのためにさらなる値上げ、などという悪循環も生じています。その結果、部屋を所有し続けることのできないオーナーが、「売却価格はただでもいいから、買って」というような信じられない状況も出現しています。「タダといっても、管理費が8万円じゃ、買えないよ」と、タダでも売れないという、不思議な現象です。労働省の外郭団体が1円で保養施設を売るのとは話が違いますよ。

 さて、振り返って、私の勤務地マンションを研究してみましょう。このマンション、住民マナーはともかく、財政に関しては優良マンションです。ここを研究すれば、「どうすれば、安定した財政を維持できるか? 安心して住めるのか?」がわかるのではないでしょうか?

 今、”健全”といわれる「管理費+修繕積立金(以下”管理費等”と称します)」の相場は、築年20年だと(年数がたつほど痛むため、高くなる傾向がある)、「60平米の部屋で、25,000円〜30,000円」ほどだと言われています。それが、ここでは平均して15,000円です。ずいぶん安いです。中古マンションを仲介する不動産業者というのは、「管理費等が高い時は、その話をせずに部屋の本体価格のみで商談する。管理費等が安い時は、そのことをセールスポイントにしてアピールする」といった販売戦略をとります。ですから、ここの場合は、「管理費安いですよ。管理体制も良好ですよ」といった文字がチラシに躍ります。たしかに、近隣マンションと比較して、ここほど安いところはありません。実際は、安いところはあるんですが、そういうところは貯金が少なく、「いずれ値上げになるだろうなあ」と予想されます。ここのように、貯金も必要十分あって、将来的に管理費等の値上げをしないですむ予定のところは珍しいです。) 


 
<健全財政の理由> (竹中大臣、参考に)

 
○駐車場収入が大きい
・・・ここの駐車場はすべて平置きです。ですから、機械式駐車場のように高額な建設費はかかっていないし、維持管理費は、ほぼゼロです。ですから、駐車場利用料がダイレクトに100%、修繕積立金へ加算されます。管理費会計には一切回していません。
 駐車場を借りられる人と借りられない人の不公平を少なくするために、利用料金は近隣駐車場相場の約8〜9割くらいに設定されていて、最近流行の「無料」とか「1000円」といった”バカ安”というわけではなく、そこそこの金額です。台数は少ないといえ、合計金額はかなりのものになります。支出ゼロの収入は大きいです。機械式駐車場を持つマンションでは、「維持費がかさんで、逆に組合会計のお荷物になっている」ところもありますから、平置きサマサマです。また、台数が少ないので、空が生じることはなく、満杯です。

○管理委託費が安い
・・・今は「管理会社同士の競争激化」、「情報化によって、管理会社のボッタクリ体質が露呈し、組合側がお金にシビアになった」ということで、委託費もずいぶん下がりましたが、「株ム加減」は昔からずっと、安いのです。「あこぎに稼ごう」と思わない会社の姿勢はえらいです。(当たり前のことだけど、この業界では珍しい)
 
管理人&清掃員人件費もすごく安いです。
 そのかわり、フロントマンはあまり働きません。総会資料なんかも組合サイドで作成します。「なんでもかんでも管理会社に任せたい」と思うなら、やはりそこそこ高額な管理委託費を払わないと無理です。特にマンション管理は、会計を除き、機械化しにくい、合理化しにくい仕事ですから、手間=人件費がかかります。その点、”半自主管理”とまではいかないものの、”3割自主管理”の、ここの運営では、管理委託費が安くできます。「自動車は走ればいい。無駄な装飾はいらない。カーナビもいらない。シンプル軽自動車でいい」みたいな割り切り方をすれば、委託費は安くできます。
 分譲会社系列の管理会社は、競争もなしに自動的に管理契約をもらっていますから、高額になりがちです。それに、建物の不備を見つけても親会社に気を使って黙っていたりします。ろくなことはありません。飯加減は独立系ですから、その点違います。

○工事料金は相見積もりで安く
・・・細かなものは管理会社に任せることが多いのですが、大きな工事に関しては、管理会社が関与しない、組合直接発注の方式を取っています。マンションの支出で大きいのは工事ですから、ここをきちんと締めることが肝心です。「管理会社のピンハネがない」「複数業者を競わせて、安くする」ことによって、「管理会社が持ってきた見積書はすぐに採用」といったマンションとは格段の差が出てきます。ただ、管理会社を経由しないぶん、監督が不行き届きになりがちですから、工事に対する住民の厳しい監視が必要です。

○無駄を省く ケチ精神が大切
・・・細かなことも「塵も積もれば山」です。白熱電球を蛍光灯型電球に変更するだけでもマンション全体としたら、かなりの節約になります。ポイントは、「これは無駄なんじゃないか?」と考えることです。漫然と決算書を見て、何も考えないようでは節約の精神は生まれません。
でも、「管理人室に冷房なんかいらないよ」と考えた昔の役員さん、必要なものにはお金をかけて下さいね。

○心配性がお金を貯める
・・・「防犯カメラ設備導入しませんか?」とか「宅配ロッカー設置しましょうよ」などなど、マンションにはいろいろと付加価値をつけたくなるものです。私としても管理する上でプラスになることは、お金がかかることでも勧めます。でも、なかなか採用してくれません。「かなり潤沢な貯金があるんだから、これくらいいいのでは」と思うんですが、貯金はいくらあってもいいものなのです。
 それにマンションというのは、思わぬところでお金がかかったりします。保険でカバーできるものもありますが、できないものもあります。「台風でテレビ視聴設備がだめになった」「貯水槽に繋がる太い水道管がどこか地中で破裂した。掘り起こして、管を交換した。」「階段から飛び降り自殺した人がいたので、すべての階段に鉄柵を設置した」「パーキングタワー内の泡消火装置が誤作動し、泡が全部噴出した。詰め替えに400万円かかった」などなど。どんな”事故””臨時出費”がかかるかわかりません。いざという時のために備えてお金はいくらあっても足らないのです。「余裕ができたから、あれを買おう、これを設置しよう」とお金を使うと貯まりません。(でも、防犯カメラはいまや必需品ですね)

○スケールメリット
 これも大きいです。200世帯超という規模は、何をするにしても1軒あたりのコストが安くなる数なのかもしれません。たしかに、管理人1名配置するにしても、50世帯のマンションと200世帯のマンションでは、4倍違います。世帯数の少ないマンションで管理人を40時間勤務させるのはコスト高になります。エレベーターも金食い虫ですから、1台あたりの世帯数が多ければ多いほどコストは安くなります。(待ち時間は長くなるけど) その他、いろんなことで、「どうやるならまとめてたくさんやるほうが安い」というものが多いですから、大きなマンションのほうが有利です。
 ただし、巨大すぎると、「役員が40人もいて理事会運営がやりにくい」などの弊害もあり、でかけりゃいい、というものでもありません。

○しっかりした役員がいる
・・・これが一番ですね。こわいのは、「役員が無関心」「やる気なし」「他人事だと考え、自分が払った管理費という意識がない(税金に似てます)」「過去の記録を残しておかない」ということです。幸い、当マンションでは副理事長がしっかり管理していますので、大丈夫です。やはり、誰か一人でも献身的に働いてくれる人がいないと、マンションはうまくいかないと思います。(この人には報酬を払ってもいいくらいです)





2004/9

 ちゃんと将来のことまで考えて計算しましょうね。