管理人はつらいよ   
マンション管理最前線

 役員報酬って必要だと思います 


  
 当HPは管理人が書いていますので、「そういうことは組合さんがやって欲しい。こちらの仕事ではない」という主張がよく出てきます。私が言うことをすべて組合さん(実際は理事会役員さんということになるでしょう)が実行するとしたら、けっこうな仕事量になるかもしれません。となると、「無報酬の役員なんてやってられない」と思う人もたくさん出てくるでしょう。

 一般的な話ですが、特に、マンション管理組合の中での理事長の役割と言うのは、突出しています。もちろん、マンションによって運営方法が異なるため、一概には言えませんが、おそらく、組合全体の仕事量のうち、8割以上が理事長一人に集中しているのではないでしょうか? 「なんでもかんでも管理会社任せ」「預金通帳も印鑑も管理会社にお任せ」という組合なら、理事長といえど仕事は少ないかもしれませんが、今はそんなことはないでしょう。「仕事が大変、責任が重い、そんな理事長には誰もなりたがらない」というのはどこの組合でも共通した悩みです。

 リベート収入が期待できる理事長なら、やりたがる人もいるでしょうが、普通はみななりたがらないです。真面目な人がなったら、確実に生活の一部を犠牲にしますから、そんな役割が”無報酬”というのはおかしいです。私も、勤め人の住民が理事長になると、電話でのやり取りが増えますが、理事長が使用する電話料金というのもけっこうなものになるはずです。他のマンションでは、「小口現金の制度がないために、理事長が資料をコピーしたりする費用も自腹」というところもあります。通信費だってバカにならないのに、コピー代も自腹じゃ、やってられないでしょう。

 国が制定している標準管理規約には、「役員報酬を出していい」という条文があります。 しかし、実際に支給しているマンションは1割にも満たないそうです。日本人の感覚の中には、おかしな美徳感覚があり、「自治会の役員とか、マンションの役員とかはボランティア、無報酬が当たり前」と思っている人が多いです。(「ボランティア」というのは、”自発的”という意味で、本来は無報酬を指す言葉ではないんですがね) その一方で、「理事長だけが汗流して働いているのに、他の役員は何もしない。不公平だ」という意見もよく聞かれます。公平にするためにも、報酬を出せばいいんです。現在のように、「持ち出し」「自腹切る」ような理事長業務というのはおかしいです。電話だって、「会社の固定電話を私用で使うわけにいかないから、自分の携帯を使う」わけで、料金はけっこう高いです。自治会役員は無報酬といいますが、高齢者で固定化してしまった自治会の中には、「会議費」と称して、「宴会」をやっている自治会も多いですよ。自治会には町内会費の他にも、自治体からの補助金がけっこう入ってきますから、流用しようと思ったらいくらでもできますから。たいして実効性のない仕事をしても、「俺は無報酬で地域のために働いている」というおじいちゃんが、せっせと宴会してます。

 ちゃんと組合が運営されるためには、役員には報酬を出すべきです。「理事長 月額3万円 他の役員 月額 5千円」くらい出してもいいんじゃないでしょうか? うちの副理事長さんなんて、月額10万円の仕事をしてますよ。そのかわり、ちゃんと仕事をしない人にはお金を出さないようにします。理事会に1回も出席しない役員がいますが、そんな人には出す必要はありません。働いた人には働いた分だけ出す。当然じゃないでしょうか? お金をもらうことで、義務感や責任感を過剰に感じる必要はないですが、ある程度責任感を持って、業務遂行してもらえればいいと思います。とにかく、「持ち出し」は最低限避けるべきです。


2004/9