管理人はつらいよ
マンション管理最前線
図面 パンフレット |
マンションにとって、最も大事な資料というのは竣工図面です。これは、マンション建物のもっとも基本となるものですから、絶対に確実に保管しておかなければなりません。「図面どおりに工事していない」ことは実際たくさんありますが、そういった不正の根拠となるのも図面があったればこその話であり、とにかく図面がないと話になりません。新しく管理人になる人、そして新たに組合理事長になる人にいいたいのですが、まず、「どこに竣工図面(設計図面)があるか」確認して下さい。
分譲会社系列の管理会社の場合、「管理会社で保管している」ということがありがちですが、それはやめましょう。図面は組合の貴重な財産です。組合内で保管すべきものです。
工事会社などが、「ちょっと貸して欲しい」と言うことがありますが、きちんと借用証を書いてもらって貸して下さい。また、図面は大きすぎるために、扱い方が悪いとすぐに破れます。丁寧に扱いましょう。
★ワンポイントアドバイス=図面は、普通、管理室とか集会室に保管しますが、それらの部屋は、一階です。台風などの万一のことを考えて、浸水してもいいように、なるべく高い位置に保管しておきましょう。書棚の一番下は危険です。
まあ、竣工図面というのは、あるのが当たり前の資料ですが、この他にも「あると便利な資料」があります。分譲時に配布された図面やパンフレットです。新聞の折込広告なんかもあるといいです。
というのは、当マンションは、部屋のタイプが10種類以上ある複雑なマンションのため、部屋の造りが同一ではないのです。「トイレの裏の○○が・・・・」と言われても、簡単に理解できません。その度に部屋の構造を見るために図面を見ることが必要ですが、竣工図面は専門家でないと読みこなせない細かすぎる資料ですし、「ちょっと部屋のつくりだけ知りたい」という時に、あんな大きな重いものをひもとくのは大変です。そんな時は、分譲時に配布されたパンフレット内の図面のほうが都合がいいのです。中古を扱う不動産屋も、チラシの図面作りのために、「分譲時のパンフレットないですか?」と頼んできます。車庫証明書類を作る時も、マンション敷地の平面図が必要ですが、これも、竣工図面よりもパンフの図面のほうがわかりやすいです。(竣工図面は大き過ぎてコピーとるのも大変) リフォーム業者も見取り図としての図面を求めてきます。けっこう使うのです。
私が赴任した際、この図面がなかったため、当時の役員に頼んで、個人で保管しているのを借りて、全ページコピーさせてもらいました。といっても、このマンションは全部で3回分譲されたため、「第一期販売パンフレット」だけでは、全室網羅できないため、三期分のパンフレットを集めました。
また、パンフレットや折込チラシの中には、竣工当時の情報がたくさん入っています。こういうのは、年数が古くなるほど貴重です。「当時、隣にはどんな建物があったのか?」「建て替え前の小学校はこんな建物だったのか」「竣工当時の管理会社はなんというところか?」「当時の管理費や修繕積立金はいくらだった?」「買い物はどこそこまで行っていたんだ」とか、いろいろです。また、「広いタイプの部屋には、ユニットバスも広い物がついてるんだ」「オーブンレンジが組みこまれている部屋もある」「この部分は植栽でなくて、ただの空き地だったのか」「ガスストーブ用に各部屋にガス栓がついてるんだ」「駅からマンションまで、徒歩○○分として宣伝していたんだ」「当時は管理人室でクリーニングの取次ぎをやっていたのか」・・・・いろいろな情報が満載です。
竣工図面を保管するのは当たり前ですが、組合として、このようなパンフレット類も、管理人室内に保管しておくと便利なはずです。新築、もしくは築浅のマンションなら、分譲会社のほうで、まだ余り分を保管しているかもしれません。何部かもらっておくといいです。
追記
掲示板に書き込みがあったため、追記します。
新しいマンションでは、設計はコンピューター(CAD)で行なうため、図面もデジタルデータになっているそうです。これだと、大きな図面集がなくても、CD−ROM1枚で済みます。「紙がボロボロになってしまった」という悩みも、「工事会社が図面を送って欲しいといってるけど、こんなでかいのどうやって発送しようか?」といった困惑もなくなります。保管も楽だし、簡単にコピーして送ることができます。便利なものですね。
その他の書類もPDF化して、パソコンに入れているそうです。確かに、マンション管理関係の書類というのは、きちんと保管すると膨大な量になります。特に年数の経過したマンションでは、保管場所も問題になっています。集会室がない、管理員室が狭くて書棚も置けない、ようなマンションでは、書類保管用に外部にトランクルームを借りているところもあるそうです。(その時の理事長宅に保管する組合もあるそうです)
PCに保管できれば、収納スペースは劇的に小さくなりますし、極端な話、組合員全員に組合関係の書類のすべてを配布することも可能です。う〜ん、便利ですねえ。でも、当マンションには、PCすらありませんから、そんな話は当然ありません。
(デジタル化するのって、ひとつのビジネスになるかもしれませんね。)