管理人はつらいよ
マンション管理最前線
非常に厳しい! by てなもんや三度笠 |
数ヶ月前に中古マンション(世帯数400の大きなマンション)を買った友人の家に、この前遊びにいってきました。このマンション、購入を検討している時に、「もうすぐ、防犯カメラが設置されますから、安全になりますよ」と不動産屋に言われて、「それはいいなあ」と思って買ったらしいんですが、防犯カメラが設置されてからすごいことになったようです。
普通、防犯カメラというのは、文字通り「防犯」、つまり空き巣とか自転車ドロボウとかの抑止効果として設置されるのが主ですが、このマンションでは、「住民の生活マナーの監視のためにつけられたのではないか?」 というくらい、マナー遵守が厳しくなったそうです。
「ゴミ出しのルールを守って下さい。防犯カメラで24時間監視中」
「迷惑駐車許しません。防犯カメラで24時間監視中」
「”台車”貸し出し中。ちゃんと返してください。防犯カメラで24時間監視中」
(このマンションでは、防犯カメラ設置と同時に、今まで住民から希望の多かった、荷物運搬用の台車を新たに購入し、住民なら自由に借りられるようにしたそうです。大きなマンションで駐車場から部屋までの距離もけっこうあるんで、なかなかいいアイデアです)
「自転車、バイクはきちんと決められた場所に置いて下さい。防犯カメラで24時間監視中」
「マンション敷地内は禁煙です。防犯カメラで24時間監視中」・・・・・・その他たくさん。
とにかく、なんでもかんでも、最後に「防犯カメラで24時間監視中」の文字が入ります。今までは、さほどうるさくなかったようですが、防犯カメラ導入をきっかけに、生活マナー向上委員会のような組織が作られ、とたんに堰を切ったように厳しくなり、上記のようなマナー掲示がいたるところに貼り出される様になったとのこと。(大きなマンションですから、それまでにいろいろ我慢することがあったんでしょう)
そして、この掲示、ただの脅しじゃなくて、マナー違反があると、役員が録画画像で違反者をわりだし、証拠画像を持って、その人の部屋に行き、始末書を書かせるそうです。画像が後姿だったりして違反者が誰だかわからない時は、証拠画像を掲示板に貼り、「こんな行為がありました」と警告するそうです。実際に、その警告掲示を見ましたが、厳しい文調で、ちょっとビビリました。
このマンション、ペット飼育禁止マンションなんですが、カメラ画像でペットを連れている姿を発見すると、証拠画像を突きつけて、飼育を禁止させたそうです。これはいいことだな。
その他、「マンション内でのチラシ配布一切禁止」だそうです。私のマンションでは「サラ金とかピンク関係のみ禁止」なんですが、ここではジャンル関係無しにすべて禁止です。「そんなこと言ったって、どうせ、管理人さんの勤務時間外に配ってるんでしょ」と普通思うのですが、管理人がいなくても、その場に居合わせた住民が、「あんた、この文字が見えないの? このマンションではチラシ配布は禁止なのよ」と怒るそうです。大部分の住民に浸透させているとはすごい。「じゃあ、住民が居合わせないような深夜に配るのかな」と思ったら、そういう場合は、「この配布員が違反して配ってました」と、その人の顔がわかる現場写真を貼り出して、警告するそうで、ポスティングマンには恐れられているそうです。私の友人は、「これじゃ、蕎麦屋の出前メニューとか、ピザ屋のチラシも投函されなくて、不便だよね」と言ってました。
「ある程度、厳しいマンションだということは聞いていたので、”いいマンションだなあ”と思っていたけど、ここまで厳しいと、なんか息苦しいよ」とも、友人はこぼしていました。確かに、私の感覚としても、ここまで厳しいのは「組合さんがちゃんとやってくれて、うらやましいなあ」と思う反面、「そこまでするか? なんかの拍子に爆発する住民がいるんじゃないか?」と心配になってしまいました。
400世帯くらいある大きなマンションだと、お互いに顔を知らない住民もたくさんいて、「同じ屋根の下に住んでいる人同士で監視しあうのは嫌だな」という感覚は薄いのかもしれません。エレベーターもいくつもありますから、顔を会わせないで済む人もいるでしょう。オートロックじゃないので、出入口がいくつもあり、こそこそ出入りすることも可能です。”他人は他人”なのかもしれません。
ところで、このマンション、防犯カメラ導入のためにお金がかかり、それまで安かった駐車場料金が一気に3倍に値上がりしたそうです。それを知らずに購入した友人は、「いきなり3倍に値上げ? 以前が安すぎたかもしれないけど、そりゃないよ」と嘆いていました。事前リサーチが足らなかったようです。
2004/9