管理人はつらいよ
マンション管理最前線
チラシ撒きにもテクニック |
マンションの管理人室にいて、一番付き合うことの多い相手は、「チラシまき」の人です。「一切合切、どんなものでもチラシまきは認めない」という厳しいマンションもあるようですが、ここは「ピンクやサラ金など、公序良俗に反するもの以外はOK」「ただし、集合ポストだけ」というルールなんで、たくさんのチラシが撒かれます。
いろいろなチラシまきを見ていると、けっこう頭を使っているものも見受けられます。効率的な配布方法、受け取った人間へ印象を深める方法があるようです。
「玄関の新聞受けに半分露出して入れる」・・・これが一番目立つ方法です。紙がヒラヒラしていれば、嫌でも目に付きます。ただし、投函後に新聞が入れられると、中にストンと落ちて効果が半減します。でも、新聞受けに入れることはここでは禁止です。ですから、この種のチラシまきは、管理人が帰ってから、こそこそとやってきて行なわれます。
集合ポストに入れる場合も、ただ単に薄い紙切れをポンと投げ込むだけでは、まったく見られずに捨てられる可能性が大です。そこで、ここでもやはり、ポストの口から紙の端っこが飛び出ているような入れ方にする人がいます。でも、これは郵便配達人にとってはジャマです。郵便配達が終わってから撒きましょうね。
また、おなじ紙切れでも目立つようにと、紙を一度二つ折りにしてから戻して、折り目がついて曲がった状態で投函する方法があります。ポストの中では平坦ではなく、少し折り目が浮き上がった状態になるため、他のチラシにまぎれて捨てられるようなことにはならず、多少なりとも住民の目に触れます。
また、何百もある集合ポストの場合、投函する順番も、人それぞれで面白いです。部屋番号どおりに撒いていく人。端から端へ縦一列ごとに順番に撒いていく人(”N”の字を書くように)。 縦2列ずつ撒く人。それとは反対に、横方向に一列ずつ撒いていく人もいます。動く距離は長くなるのですが、これが一番早いそうです。
投函するスピードもベテランになると速くなり、初心者と比較して3倍くらい早いです。初心者のお兄ちゃんの場合、だらだらと「遅いなあ」と思わせる人がいます。うまい人は1枚1枚をつまんで投函するのではなく、手裏剣シュッシュみたいに、手のひらで1枚を滑らせて投函していく技があります。業界用語で「ハットリくん」と言います。
なお、配布禁止のマンションでは、管理人のいない隙を狙って、複数の人間がで「せ〜の」という感じで、あっという間に配布していくこともあります。
このように、よ〜く見るとけっこう面白い物です。