管理人はつらいよ   
マンション管理最前線

 特別清掃 


 
 実はこの業界には清掃に関しては「通常清掃」「特別清掃」の2種類があります。

 我々管理人や清掃パートさんがやっている日常の清掃は、「通常清掃」です。「特別清掃」とは、月に1回とか2ヶ月に1回とか、ある程度の日数・年数をおいて、定期的・非定期的に行われるものです。別に人を雇うわけですから、通常の清掃費以外の出費となります。人件費は安いですが、ピンハネする管理会社だとけっこうな高額になります。

 定期的な特別清掃は、玄関ホールや共用廊下、階段などを高圧水で洗浄したり、ポリッシャーといわれる特別な機械で洗ったり、ワックスをかけたりするものです。これは、皆さんもよく見かけるのではないでしょうか? 清掃専門業者がバンに3〜4人乗ってきて、1日で作業します。大雨がふったりすると中止することがあります。

 非定期的な特別清掃というのは、「機械式駐車場が汚れてきたから、そろそろ掃除しようよ」とか「背の高い照明器具の傘が汚れてきたので、専門業者を呼んで掃除してもらう(管理人にはできないため)」など、特殊なものです。

 ただし、当マンションでは特別清掃を実施したことは一度もありません。2階以上の部分に共用の水栓や電源コンセントがないことも原因です。これでは、業者が来ても機械が使えません。そんなわけで、共用廊下の清掃といっても、「ゴミ拾い」「鉄道チリトリと箒での清掃」というレベルで水を蒔いてゴシゴシデッキブラシでこすって汚れを落とすことはしていません。ですから、「こんな程度でいいだろう」という清掃でおしまいです。「完全にきれいになった」ということはありません。我々としては、何か中途半端ですっきりしないため、せめて年に1回くらい特別清掃をして、すっきりきれいにしたいと思っているのですが、物理的&金銭的な理由もあり、また、住民側も特に要請しないため、実施せずに今までに至っています。

 まあ、清掃パートさんが通常以上に熱心に日常清掃をやってくれているからかもしれません。でも、側溝に泥がたまったり、高いところにある電灯がすごく汚れていたり、「自分たちがやるのは大変&危険(万一ケガしても何の補償もない業界です)」「でも、わざわざお金を払って別の業者にきてもらうのもなあ?」と悩むところです。

 マンションによっては、住民有志が集って「年末の大掃除」「夏の草刈」など、人海戦術できれいにする行事を行なうところもあるようです。そういうことをやれば、いつまでもマンションをきれいに維持できます。これも特別清掃でしょう。
 


2004/10