管理人はつらいよ   
マンション管理最前線

 私物の携帯電話 


 
 公衆電話が減りましたね。ほんとめっきり減りました。昔はマンションの1階に公衆電話があるところもありましたが、そういうところもどんどん撤収されています。このマンションにも建設当初はカード式電話があったそうです。でもまあ、これだけ携帯が普及すると、経費的に置けないわけで、仕方ないのかもしれません。

 ところで、私もえらそうに携帯電話を持っています。Tukaの一番安いコースのもので、「ただ、持っているだけ」「話せりゃええやん。電話やし」みたいなものですが、それでも家計の負担になり、今のような極貧状況では「手放そうか? どうしようか?」悩んでいます。もともと電話って好きじゃないんで、欲しくて買ったものではありません。昔、寂しい場所で交通事故(ひき逃げ)に遭った時に、誰も助けてくれず、救急車も呼べずにひどい目にあったことがありました。ようやくやってきた救急隊員に、「なんで携帯で119しないの? え、あなた、今時、携帯持ってないの?」とバカにされたことがあり、それがきっかけで買いました。当時すでに全国各地で「公衆電話」の撤去が始まっており、片足引きづりながら公衆電話を探しまわった、つらい経験が「そんなに必要じゃないけど、万一に備えて買うか?」と思わせました。

 今働いているマンションの周囲も公衆電話がどんどんなくなっており、公衆電話を使おうと思うと、一番近いところでも、300m位歩きます。といって、管理人室の電話を私用に使うことはできず、仕方なく、通話料金は高いものの、家族への電話など、自分の携帯を利用します。

 さて、管理人業務と私物携帯電話の関わりです。これは規則としてあるものでもなく、会社というか社会のコンセンサスがどうなっているのか、よくわからず、自分の価値判断でやってます。

 当サイト読者の方で、営業マンの人とかいたら聞きたいのですが、社用で外回りが多い人というのは、「営業用の携帯電話」みたいなものを会社側から貸し与えられているのでしょうか? それとも私物の携帯を使っているのでしょうか? もし、私物のものを使用する場合は通話料金はどのようにしているのでしょうか? きちんと支給されますか? それとも自腹ですか?
 仲の良い不動産屋営業マンに聞いてみると、「会社から携帯は与えられない。その代わりにテレホンカードが与えられる。しかし、実際問題公衆電話がほとんどなくなっているため、そのテレホンカードを使うことはない。私物の携帯を使って電話をかけ、受信もしている。だから、会社にも顧客にも自分の携帯番号を教えている。ちょっと嫌なのだが仕方ない。それにもし電話機を支給されても2台持つのはかさばって嫌だ。テレホンカードは自己申告すれば、かなりの枚数もらえるので、それを金券ショップに持ち込んで換金して、私物携帯電話の支払いの足しにしている」と言ってました。なんかややこしいことしてますね。「でも、最近、テレホンカードを買い取ってくれない金券ショップが増えているので困っている。会社に対しても、支給方法をかえてくれるよう交渉中」とも言ってました。まあ、それでも、なんらかの形で支給してくれるだけ、まともな会社かもしれません。株ム加減はなんでもかんでも”自腹”ですから。

 管理人業務というのは、けっこう管理人室を離れていることが多いです。そのため、電話が管理人室の固定電話にかかってきても出られないことがよくあります。留守電にセットはしてますが、急ぎの用の時はやはり困ります。それに、私の場合、組合会計の仕事もかなりしているので、銀行に出向くことがしばしばあり、その時は「業務のため外出」という札を出して、出て行きます。仕事の内容によっては1時間以上管理人室をあけることもあります。

 そんな時になにかあっても困るので、「外出中」の札を出している時は、同時に「緊急連絡は管理員携帯へ 090-*******」と書いた手製の札もあわせて貼っておきます。これは会社から指示されたことではなく、自発的にやっていることです。携帯の場合、発信者の番号が表示されますから、そんな変な使い方をされることはないと思うので、あえて番号を公表しています。(非通知拒否設定にしてます) ずいぶんたちますが、いたずらはありません。

 管理人は年寄りが多いといっても、高齢者でも携帯の所持率は上がっており、けっこうみんな持っているようです。私の場合は、あえて自発的に「なにかの時は携帯に」としているのですが、管理人によっては「自分のプライバシーに関することには業務は一切関与させない」という人もいます。会社側から「緊急時に備えて携帯番号を教えてよ(マンション管理の場合、台風で電気トラブルが発生したり、夜間休日でも何かあるもんです)」と言われたり、組合の理事長から、「管理人さんの携帯教えてくれない? 管理人さん、管理室にいることが少ないから、いつ電話かけても留守なんだもん」と言われたりするケースが他ではあるようです。(組合がケチで管理員室にエアコンをつけてくれないような場合、夏場はずっと外に出ている管理人さんもいます)
 こういう要請があっても、「私物ですから」とすっぱり断る人が少なくないようです。たしかに、「激安給料でこきつかわれているのに、そのうえ、私物の携帯を使わせろ、なんて虫が良すぎる。いない時はいないんだ。それに勤務時間外に束縛されたくない」と思うのは当然です。

 とはいえ、「たまたま管理人が外出中で管理員室にいない時に緊急重大なトラブルがあり、管理人に連絡がつかなかったために多大な被害が発生した。そして対応が遅れたために被害が拡大した。(火災報知器がいたずらにより作動してパニックになった。誰も止める方法を知らなくて、警報が鳴り続けた。緊急消火装置が作動して薬液が全量噴出してしまった。そのために500万円の損害が出た。など)」といった問題が発生すると、組合さんとしても、「勤務時間内はいつでも管理人さんと連絡が取れるようにしたい」と考えます。そんなわけで、管理人さん専用の携帯電話を持たせたりするところもあるようです。(ただし、法人化されていない管理組合の場合、組合名での携帯の契約ができないために、理事長名で契約したり、プリペイド式携帯を購入したり、いろいろ苦心されているようです。理事長は年毎に変わりますから、支払方法とか大変だと思うんだけど。)

 そんな経費をかけるなら、その分のお金の何割かを管理人に渡して、「これあげるから、管理人さんの私物の携帯を使わせてくれないかな?」としたほうがいいのでは?と、私なんかは思ってしまいます。

 どういうふうにしたら、みんなが納得して、かつ便利なのか? 他のマンションの状況なども聞きたいです。

 個人的なアイデアとしたら、コードレスフォンのアンテナ出力をもっとアップして、かつ、子機の形状をもっと小さくして、管理人が巡回中にその子機を携帯するようにすれば、「マンション敷地内での巡回中の留守」はなくなるような気がします。外出時は無理だけど。

 まあ、とにかく、私の場合、「私の携帯にかけてもらって構いませんよ」という考えなので、それが一番ですけどね。「私物だから」云々よりも、「あの時、電話に出てくれなかったから、こんなことになってしまったよ」というほうが嫌ですから。


2004/10


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