管理人はつらいよ   
マンション管理最前線

 体質? 財閥系企業M

エレベーター会社の独占性
 
点検中です

 

 M◇自動車といえば、欠陥自動車を作り続け、殺人まで犯した極悪企業として有名です。あの無責任・無反省な企業姿勢は、もはや”体質”としか言い表せません。(欠陥隠ししている最中に「まじめ、まじめ・・・」というCMを流していた厚顔無恥ぶりもすごいです) そして、体質というのは同じ財閥系企業にも共通のものでしょうか?

 M◇エレベーターも、いい企業とは思えません。先日、エレベーターの天井に、ある特定個人を誹謗する落書きが書かれました。ペンなどで書いたのならいいのですが、金属か何か先の硬い物で彫った落書きです。シンナーなどで消せる物ではありません。「これはまずいなあ。なんとかしないと。交換するしかないなあ」 M社に問い合わせると、「あそこはフルメンテナンス契約の範囲外ですから、もし、交換を希望されるのなら実費負担していただきます」「あ、そう。ところでいくらかかるの?」「○○万円ですね」「え? そんなに高いの?」

 費用が高額のため理事会に諮りました。「あの部分は他にもいたずら書きがあって、もうボロボロだから交換するのにはいい機会じゃないかな?」「ところで、なんでそんなに高いの? どこか他の会社に頼めないの?」「他で安くやるところもないわけではありませんが、他社にやってもらうと、今後その部品がもとで何か起きても、M社は”自社製品じゃないから”といってメンテをしてくれなくなるんです。エレベーター会社は独占企業ですから、なんでも高いんです」「そうか仕方ないなあ。じゃあ、M社に注文してよ」 ということで高額な費用には困りましたが、発注しました。

 発注はしたものの、「古いエレベーターで、同じ部品の在庫がないために、受注生産になるので日数がかかります。2ヶ月くらい待ってください」とのこと、とにかく待つ事にしました。落書き部分には警察の防犯標語ポスターを貼ってごまかしました。

  その2週間後の定期点検の日。いつもどおりに係員が来て、「じゃあ、点検します」「うん、よろしく」と点検が始まりました。(この時、係員の数がいつもの1名ではなく2名だったことに気づきませんでした。) ところが、終了時間になっても、点検が終わりません。「まあ、遅れることはよくあるからなあ」と思ってしばらく放っておきましたが、ずいぶん待っても終わりません。現場に行って聞いてみると、「すいません。作業に手間取って」「何か特別な故障でもあったの?」「いや、あの、例の注文いただいた部品が早く手に入ったので、今日の点検の時に取り付けてしまおうと思って、作業を始めたのですが、思っていたより、難しくて。まだ1時間以上かかるかもしれません・・・・・ すいません」とのこと。

 「おいおい、2ヶ月のはずがそんなに早く入手できたの? それはいいことだけど、なんで事前に教えてくれないのかなあ? エレベーターの停止時間をこれ以上延ばせないよ」 と会話しているそばから、住民が「いつまで止まってるのよ。まだエレベーター使えないの?」、新聞配達が、「管理人さん、予定の時間を随分すぎてるけどエレベーターまだ乗れないの?」・・・・ うわあ、苦情が続々です。それに追い討ちをかけるように、高齢者デイサービスから帰って来た足の不自由なお年寄り住民が現れて、「え? まだ止まってるの? もう点検終わってるはずでしょ? 私どうすればいいの?」「ごめんなさい。私が9階まで非常階段をおぶって上がりますから・・・」などと四苦八苦状態です。おまけにこの日は大雨。泣きっ面にスズメバチです。

 5分10分の遅れならなんとかなりますが、結局2時間の遅れになりました。夕飯の買い物帰りの奥さんたち、学校帰りの子供たちからも苦情たらたらです。住民の皆さんは、M社に言うんじゃなくて「管理人さん何やってるの?」「管理会社しっかりしなさいよ」と叱りますので、当方の面目まるつぶれです。
 
 あんまり責め立てられるので、私も切れて、M社の係員に「おまえなあ、部品交換するなら事前に連絡しろよ。そうすれば、こっちもそのつもりで点検時間をあらかじめ長く変更して予告掲示できたのに。”○時までに終わります”といっておいて、終わらないのは、マンション管理上、まずいんだよ。一流企業がそんな、社会常識のイロハも知らないのか? 」と怒りました。

 その夜、M社の上司がマンションを訪れ、理事長さんに事情を説明し謝罪したようです。でもね、一番つらい思いをしたのは管理人なんだから、管理人がいるときに謝罪に来いよな。財閥系企業だからってえらそうにするな! と私は思った次第です。

 どうも、「きちんと連絡しない、報告しない」というのはMグループの体質のようです。

 エレベーターというのは、「大手数社で独占している」「一度そのメーカーのエレベーターを入れたら、ずっとその会社と付き合わなければならない。」「おいそれと簡単にエレベーターを交換できるものではない」という、”独占性”が非常に高い業界です。メンテ費用も非常に高いです。エレベーター3台のメンテ費用で管理人一人雇えます。たいしたことしてないのに、ずいぶん高いお金をとります。これも「独占」「競争がない」ためです。今、独立系のエレベーター会社が攻勢をかけてますが、大手にはなかなか太刀打ちできないようです。「バカ安」にするために手を抜いていたりして、信頼性もイマイチとのことです。まだまだ、この業界の寡占状態は続きそうです。

 それにしてもM社、この他にも日頃から「今日点検に伺う予定だったのですが、よそで事故がありました関係でいけなくなりました」とか、”年次点検検査済み報告シールの更新を忘れる”とか、とにかくいい加減なところがあります。

 係員の質によるのでしょうが、今年度の担当者は特にひどいです。まあ、M社に限らず、T社やH社なども似たようなものらしいです。別のマンションではT社のエレベーターで、こんなことがあったそうです。そこの管理人さんの話をかいつまんで紹介します。

****
「役所に提出する法定点検の書類ができあがりました。目を通していただいて、理事長さんのハンコをお願いします」と、書類を渡されました。が・・・。パラパラとめくってみると、本来は何も書かれていないはずの、紙の裏面に「緊急出動記録」とか、「故障報告」といった、私には意味のわからない文章が書かれています。「ねえ、これ何。役所への提出書類って、裏面はないはずでしょ。去年と違うの?」と聞くと、「え? 何ですか? ちょっと見せて下さい。・・・・・・・  ・・・・・」「あ!!! すいません! ごめんなさい! コピーを間違えました」との答え。事情を聞くと、この会社では経費節減のために、コピーは両面使うことになっているそうです。これ自体はよそでもよくやっていることで珍しいことではありませんが、役所への検査報告書という大事な書類に、裏紙を使うなんて言語道断です。これって、顧客情報の流出事件と同じですよね。
****

 はい、完全に「流出」です。規模が大きくなれば新聞沙汰です。やはり、独占にあぐらをかいた殿様商売の弊害ではないでしょうか? 一種、公務員的な体質じゃないでしょうか? 
 エレベーター点検というのは有資格者がやるものですから、「アルバイトがやったため、不手際を起こしまして・・・」というような性格のものではないです。みな正社員のはずです。正社員の教育をきちんとできていない会社ということです。

 この不況の時代にあんなに高い料金を取るなら、それなりの仕事をして欲しいです。20階30階といった高層マンションで「エレベーター停止」なんて不祥事起こしたらどうするんだろう?

 


2004/10