管理人はつらいよ   
マンション管理最前線

 駐車場トラブル 


 以前も書いたことですが、駐車場に「3ナンバー車」が増える一方で本当に困っています。

 ここの駐車場はカローラクラスを基準に白線が引かれています。ですから、それ以上の大きさの車を置かれると、前後がはみ出したり、左右の間隔が異常に狭くなって、ドアが開けづらくなり、車の乗り降りが大変になります。

 しかし、問題は、”駐車場使用細則”に、置ける車の大きさの制限や規格が記載されていないことです。「自家用車に限る」と規定されているだけで、これでは、理論上は自家用ダンプカーだってとめられます。まあ、「白線からはみ出さない」とか「区画線内にきちんとおさまって隣の車に接触しない。ドアを開け閉めできる余裕がある」などは”誰だって考えればわかる
常識である”ことから、規則には載せなかったのだと思います。しかし、この”常識”が通用しないのが、マンション問題のつらいところです。

 大きな車が増えたことによって、駐車場内での接触事故が増えてきました。ドアを開けたときに隣にぶつけて小さな傷をつけたり、車庫入れが難しくなったために隣の車にガガガガガと線状のキズをつけたり、トラブルが発生しています。特に自分が小型車で常識を守っている人が、隣の大型車にキズを付けられると頭にきます。そして、管理人室に飛び込んできて、わめきちらします。直接相手(加害者)には言いません。「こんな仲介役も管理人の仕事なんだろうか? 関係ないよね」と思いながらも、一応、「どんなキズなんですか?」と見に行って、事故の状況を説明してもらいます。そして相手先にそのことを伝えます。素直に認めて謝る人もいれば、「なんだよ、うちの車がぶつけたっていう確たる証拠があるのか!」とつっぱる人もいます。どっちにしろ管理人が怒られます。

 そんなこともあって、組合さんに相談して、以前、説明書類を全戸配布したことがあります。「今後、新たに駐車場を利用する方、及び車を買い換える方は、なるべく3ナンバーは遠慮して下さい。ドアが開けられなくなったり、接触事故が起きたりと、トラブルのもとになっています・・・・。また、自衛策としてドアの縁にクッション材をつけるなどの対策をお願いします・・・」という内容でした。

 こうやってお願いをしているのですが、その後も3ナンバーは増え続けています。駐車場利用車両の変更を受け付けるときに、私が嫌な顔をして、「え? 3ナンバーなんですか? ちゃんと入りますか?」とか聞くのですが、「なんだよ、他の人だってみんな3ナンバーの大きいのに乗ってるじゃないか? それに規則にはそんな規制はないだろう!」と怒られます。「でも、あそこは両隣も3ナンバー車ですから、下手するとドア開けられないですよ。私知りませんよ」「おまえには関係ない。こっちの勝手だ」と言って、結局無理やり置くんですけど、しばらくすると、やっぱり、「傷つけられた!」といって騒いでます。私から言わせれば、「自明の理」「自業自得」なんですが、文句は管理人に来ます。不条理です。

 思えば、もともと3ナンバー車は”贅沢品”として高額な物品税がかけられていたのに、消費税導入の際に物品税が廃止され、3ナンバー車が一気に安くなってから、3ナンバー車の売り上げが激増しました。僕は増税反対論者だけど、贅沢品への物品税課税は復活して欲しいなあ。だいたい、ベンツのワゴン載ってる人が、ドア開けられないからと、ハッチバックから出入りしているのは、おかしいですよ。カッコ悪すぎ。
 
 小型車でも室内がゆったりしている車種はいくらでもあるのにね。変な見栄を張るのはやめましょう。狭いマンションに住んでいる人にセルシオは似合いません。

(この点、機械式駐車場は明確な入庫制限が規定されているのでいいですねえ。でも、やはりどこでも3ナンバー車が増えているため、「3ナンバー車は不可」という機械式駐車場は人気がなく、駐車場利用希望者はいるのに、駐車場が埋まらなくて空が出ているマンションもあるそうです。)

 「贅沢は敵」という標語、復活させたい。


2004/11