管理人は超つらいよ
マンション管理最前線
待機児童問題 & 夏の集会室を「談話室」に 有効利用しましょう |
2014/2 都知事選真っ最中に書いています。都知事選では各候補とも、「待機児童問題」を熱弁していますが、「保育園を作ります!」と無責任に言ってる候補の多いこと。
「横浜では、待機ゼロを達成しました。東京でもできます」と横浜を礼賛していますが、これも、横浜の知人に聞いてみると、手放しで喜べることじゃないらしいです。
「強引に、住宅密集地で、近隣に告知することなく、保育所を開園したために、開園後、子供の声の騒音や、送迎する親の駐車違反など、近隣と揉めている」
「”保育園に子供も入れたい”と思いながらも、”行政はあてにならない”とあきらめていた人たちをカウントしていない。だから、マスコミで、”横浜市は待機児童ゼロ”と発表されたら、入所希望者が手をあげて、また、待機児童が発生している」
とのこと。
また、保育園があったとしても、「働いてくれる職員がいないため、子供を受け入れられない」という問題もあるそうです。そう、保育士の待遇が悪いからです。ですから、都知事候補者が安易に「保育士をもっと育成します!」って言っても、「資格とっても、あの給料じゃ働けないよ」という人もいるわけで、演説は、絵に描いた餅になります。
かといって、「保育所はバンバン作る」「保育士の待遇ももっと上げる」といっても、問題は「お金」。そんなに潤沢な資金があるわけはないです。(議員と公務員は、超高待遇だけど)
そういうわけで、これから書く、「相互扶助」が大事ではないか? と思うわけです。
タモガミ候補者が唱える「ジジババと同居する3世代住宅をたくさん作ればいい」という案には賛成で、進めて欲しいですが、東京の住宅事情を考えると、「それで全部解決」は無理でしょう。
原発事故のあと、「節電」が声高に叫ばれたのをきっかけに、ご近所のマンションで実施された話です。
そのマンションには立派な集会室があります。集会室にはエアコンがあり冷房が効きます。トイレもあります。台所があってお茶を沸かすことも可能です。湯飲みなどの什器も揃ってます。そして、今回の企画実施に際して、住民有志の寄付でテレビも置かれたそうです。
夏の暑い時期。昼の11時から〜夕方6時まで、毎日、集会室を「マンション住民の憩いの場」として開放しました。
その発案者の狙いは。
「住民個々が、各自の部屋で、それぞれがエアコンを使って生活するよりも、1ケ所に集まって、1台のエアコンで涼むほうが、大幅な節電になり、それが、脱原発につながる」
「日頃、住民同士のつきあいが疎遠なマンション住民のコミュニティの場になる」
「高齢の一人暮らしの多いマンションなので、孤立化をさけ、孤独死の予防にもなる。安否確認にもなる」
「管理組合活動の啓蒙にもなる」(過去に管理組合で発行した「管理組合ニュース」を壁に貼って、読めるようにしていたそうです)
最初、「管理組合のお金で冷房費を使って、一部の住民に涼しい思いをさせるのは不公平ではないか?」と文句を言う理事もいたそうですが、「日本のために節電は大事です。」と説得したそうです。
また、管理会社サイドからは「集会室を汚されると、清掃員の仕事が増えて困る」という話もあったそうですが、管理組合から「ちょっと遅れたお中元という形で商品券2万円を清掃員さんに渡す」と約束し、管理会社側も了解したそうです。
そこの集会室はけっこう広いので、自分の部屋の中で狭い思いをするよりも開放感があるし、冷蔵庫もあるから、誰かが2リットルのペットボトルを買ってきて、コップに分けてみんなで飲んでいるそうです。これで、熱中症予防にもなります。テーブルも椅子ももともとあるから、新たな設備投資は不要だし。(ただし、椅子はパイプ椅子しかなくて、座り心地が悪いので、慣れた利用者は自宅から座布団を持ち込むらしい。座椅子も持ってくる人もいる) 集会室内には集会室専用の電話もあるから、家族が「おばあちゃん、夕食の準備が出来たから、早く戻ってきて」と呼び出すこともできるし・・・・ こりゃ、いいなあ。
一人暮らしの高齢者にとっては、とにかく、「誰かと会話する」ってことがストレス解消になります。
そして、実行した結果、今まで疎遠だった人とも、顔見知りになり、良好なコミュニティ形成に寄与したそうです。今年は、誰かが、ラジオ体操の放送を録音したラジカセを持ち込んで、毎日、午後3時になると、「おやつの前に体操の時間」ってことで、体を動かすこともやっているそうです。(広い集会室なので室内で動ける) 通信販売で売っている健康器具を持ち込む人もいるそうです。
また、誰かが、DVDプレーヤーを持ち込んで、テレビにつないで、「男はつらいよシリーズ」を毎日上映しているとのこと。
(「マッサージチェアを買ってくれ」って声も出たそうですが、とりあえず、却下だそうです。)
先日聞いた、新しい情報では、近所の「健康ランド」が、「お客さんが8人以上集まれば、マイクロバスで、どこにでもお迎えに行きます」というサービスをやっている」ので、それを利用して、夕方、マンションまで迎えに来てもらい、みんなで温泉に入りに行って、座敷で小さな宴会を開催し、カラオケを歌いまくった、なんてこともあったそうです。団体になると、いろいろ、有利なこともあります。
これね、いいアイデアですよね。一石二鳥、いや、4鳥5鳥かな? なんかとても楽しそう。皆さんもぜひマネしてください。
このようなアイデアがありました。
実際、マンションには、「まだまだ元気」「暇でしょうがない」っていう高齢者がたくさんいます。
これを、「保育」にも利用できないでしょうか? 集会室という場所&設備があるのですから、そこを「有志による託児所」として活用できないでしょうか?
いろいろな問題はあるでしょうが、暇な高齢者の力を上手に利用できないかな、と、現場で働く私は思っています。