管理人はつらいよ   
マンション管理最前線

 管理人はみのもんた? 


 

 
管理人って、実は結構忙しいんですけど、ちょっと見には暇と思われるのか、住民が世間話をしにやってくることがよくあります。

 今日は、あるおばあちゃんがやってきて、「今日はガスの工事とかやってる?」「どうしたんですか?」「ガスが使えないのよ。今から昼ごはんのしたくをしようと思っていたのに」「工事なんかないですよ。とまってるはずはないんですけどね」「でも、台所もお風呂も使えないわよ」「元栓調べてみました?」「元栓って? どこにあるの?」「メーターボックスの中にあるじゃないですか?」「あそこって、鍵がないとあかないじゃない? うち持ってないわよ」「いや、鍵はマンション購入時に全員に配布されましたから、持ってるはずですよ。それに昨年の春に、”鍵を紛失した、もらっていない人は、組合でまとめて購入しますから申し込んで下さい”って回覧板回ったでしょう? その時に申し込まなかったんですか?」「知らない。忘れた」・・・・。(こんなのばっかり)

 「まあ、とにかく私が行きますから、ガスメーターを見てみましょう」 ・・・・  「あれ、マイセーフが作動してますね」「何それ?」「地震とかガス漏れがあった時に、自動的にガスを止める装置ですよ。朝の料理のときとかに、とろ火でずっと火をつけていたりしませんでした。長時間使用すると、ガス漏れと勘違いして作動することがありますよ」「あ、そう。じゃ、どうすればいいの? ガス屋さん呼ぶの?」「いいえ、自分で直せますよ。ここに説明書がぶらさがってるでしょ。これ読んで自分で直せます」「めんどくさいわね。あなたやってよ」「いいですよ。じゃあ、今復旧させますから、ちょっと待っていて下さい」

 ガス会社のマニュアルに従い、復旧させました。復旧まで待機時間があるので、マイセーフの内容をきちんと説明して、次回からは自分だけで直せるようになってもらおうと思ったのですが、このおばあちゃん、それには耳を貸さずに、「うちの嫁ったら、あたしにご飯食べさせないようにガスを止めたに違いないわ!」てなことを言い始めました。「そんなことないですよ」と否定したんですが、その後、ずっと、「嫁の悪口」を聞かされました。(寒風吹きすさぶ屋外で。このおばあちゃんは北海道出身なので寒さに強いようですが、私はしんどいです)
 そういえば、ここのお嫁さんには「姑の悪口」をずっと聞かされた覚えもあります。仲が良くないようです。

 このマンションは”100平米以上””3世帯同居可”といった広い部屋はないんですが、いくつか、3世帯の部屋があります。嫁姑の問題はままあるようです。中には、婿養子に入って、奥さんの母親と同居しているご主人もいて、その人も土曜になるとよく愚痴りにきます。愚痴があるのはこっちなんですが、住民の愚痴を聞くのも仕事みたいです。別の人は昼下がりに、「夫がずっと単身赴任でいないのよ。子供もいないし。独りじゃ寂しいわ。」てなこと言ってくる人もいます。たしかに昼メロの時間ですけどね。”健康相談”もあります。神経痛の話を延々1時間聞かされます。まあ、私もあちこちガタが来てますから、まるっきり興味のない話でもないですけど。

 家庭内のこと、個人的なことには口を挟まないようにしてますし、聞きたくもないんですが、邪険にもできず、とりあえず、聞いた振りして相槌だけ打ってます。ですから、何を聞いたかあまり覚えてません。どっちにしろ、こういう人は同じ事を何度も言ってきますのでそれでいいんです。

 このマンションみたいに狭い部屋だと、”もともと他人””好きあっていっしょになったわけではない”二人(嫁と姑)がいっしょに暮らすのは大変です。2世帯住宅ならいいかもしれませんが。まあ、暇な時は相手をしてあげましょう。

 みのもんたは、愚痴を一人聞けば200万円くらいもらえるそうですが、我々はただ働きです。いいなあ、みのもんた。



2005/1