管理人はつらいよ   
マンション管理最前線

 理事長なのに  (なんか資格ないの?) 


 
  普通、社会の中で何かしらの”役職”につく人というのは、それなりに適性とか資格とか人望とか・・・なにかしらあるものです。学校の学級委員はたいてい成績優秀者がなるし、議員は立候補してなります。町内会長は地元の名士がなるし、役人には公務員試験があります。

 なんの資格もないのに、くじ引きで決まってしまうというのは管理組合の理事長くらいじゃないでしょうか? そのマンションの代表となる重要な人物を決めるにしては極めて乱暴な手法ですが、大部分のマンションでは、「1年ごとにクジ引きをして決める」ことになっているようです。
 
 管理人からすると、できれば理事長というのは、ひとかどの人物になって欲しいです。それが贅沢だとしたら、せめて、「管理規約や使用細則を守って、管理費もきちんと払っている人」になってもらいたいです。

 過去の理事長さんですが、違法駐車を繰り返す人がいました。もちろん他住民から苦情が来ますから、何かしら管理人のほうから苦情を言わなければいけません。相手は理事長ですから、なるべく低姿勢に”お願いする”かたちで注意をします。それでも、何度言ってもやめてくれません。最後には、「いまどきのマンションはなあ、一部屋1台分どころか、2台分駐車場あるところもあるんだ。来客用駐車場だって当たり前のようにあるんだ。ここがおかしいんだ。だから、駐車したっていいんだ。”救急車が来たときに困る?” うるさいなあ。そん時はうちの車にぶつけてどかしてもらったっていいよ!」てな按配で切れます。めちゃくちゃな理論です。こんな人が理事長じゃ、他の人の駐車違反を注意できなくなります。

 マンション内の共用水栓に、勝手に自分の持ってきたホースをつないで洗車する理事長もいました。「理事長、ここでは洗車できないんですよ。まずいですよ」と小声で注意すると、「日頃、無報酬で理事会活動してるんだから、これくらいいいだろ」とおっしゃいます。(ハンコ押すしか働いてない人ですが) 「そういうわけにはいかないですよ」「だったら、俺が管理規約を変えて、駐車場利用者が水を使えるようにしてやる!」とおっしゃいましたが、面倒な手続きをこの人がするわけもなく、何も変わりませんでした。

 管理費を滞納する理事長さんもいました。このマンションでは軽微な滞納については理事長にしか連絡しないため、他の住民に知られることはなかったのですが、やはり、理事長が滞納してたら、かっこつかないです。「理事長、3ヶ月以上滞納すると理事会の議案に載ってしまいますから、気をつけて下さいね」と念を押しておきました。でも、総会前には、「この”未収金”っていうのはなんのこと?」なんて聞いてきます。「管理費払わないことですよ」と教えてあげました。

 自転車を5台所有する理事長さんもいました。駐輪場からあふれた4台は通路に鎮座してます。それも、端の方に寄せてくれればいいのに、通路をふさぐように置くので困ります。

 とにかく、「ルールを守らせる立場」にある理事長自身がルールを破るようでは、管理会社は非常に困ります。他の人に注意しても効き目がありません。

 ルールは守るけど、理事会に出てこない理事長も困ります。「明日までに署名捺印しておいて下さい」と頼んでも、来週になってしまう理事長もいます。
 本当は、管理組合の役員というのは2〜3年続けて同じ人がやったほうが継続性があっていいいんですが、上記のような理事長の場合、「1年任期でよかった」と思ってしまうわけです。

 たしかに役員報酬制度のない組合では、「理事長なんて、無報酬でやってられるか? こっちは忙しいんだ」とみんな思って、なりたがないのが当たり前です。

 でも、やっぱり、「誰でもいい」という役職ではないと思うんですけど。 


2005/1


あなたが適格者だ