管理人はつらいよ
マンション管理最前線
市長キレル |
当市では昨年から、ゴミの分別方法が厳しくなり、多くの混乱が発生しました。 そして、1年以上たった今も、新方法が浸透しません。
マンションでは我々がものすごく苦労しています。
一戸建ての住宅街では、集積場所の前の家が被害者になっています。違反ゴミは収集してもらえないため、路上に放置されます。しかし、悪い奴は「捨てたらもう関係ネエよ。散らかろうがどうなろうが」という考えですから、当人は平気です。でも、近隣の家は大変です。特に風が強い日はゴミが散乱し、それが車に轢かれて、袋が破けて、めちゃくちゃになり、ごみだらけになります。自治会がしっかりしている地域では、役員が集積場をパトロールしたり、有志が集まって、後始末をしたりする奇特なところもあるそうですが、そうでないところは、たいていほったらかし、集積場の前の家の住民が実際は処理しています。
そんな状況のため、清掃局職員に対して、「厳しいこといってないで全部持って行きなさいよ。残されると困るのはこっちなんだから。あたしはきちんと分別しているのに、なんで他人の不始末をあたしが尻拭いしなけりゃなんないのよ」とブーたれる人もいます。ごもっともです。局の上の方は「違反ゴミは警告シールを貼って放置」と命令しますが、住民からの罵声にさらされる現場の収集員は、「ここは風の強い地域だから、しょうがないから持って行ってやるか」と温情をだしてしまう人もいます。そんなこんなで、職員個々によって対応が違ったりして、「隣町は、みんな持って行くのに、なんでうちの町は厳しいの?」という不公平な事態も発生し、とにかく混乱が続いています。
このような状況下、市議会では、「これだけ厳しい分別を、当市民に強いたのは無理だったのではないか?」という市長への批判が出ました。これに対して、市長がきれてしまい、「当市の市民の公共マナーの低さにがっかりした。学習能力のなさにもあきれた」と口を滑らせてしまいました。森元首相ならすぐに問題になりそうな発言ですが、当市の住民レベルの低さをよく知っている市議はうなづくだけで、「暴言だ!」と非難する者はいなかったそうです。
まあ、たしかに、私もよくわかりますが、ここの市民に公共マナーを訴えても全然だめです。ないんですから、そういう思想が。新興住宅地にありがちな空気ですよ。特に当マンションの地域は最低です。「他人の迷惑」なんていう概念そのものがありません。自分だけよければそれでいいんです。ほんとひどいです。
ゴミの違反なんて、市の広報で実名出して報道して欲しいですよ。マンション内で名前出したりすると、管理会社に文句がいって、管理人がクビになりますから。(こういう連中は、自分が悪いことをしたのに、なんでも、他人のせいにして、管理人が悪いことにして、事実無根の誹謗中傷を匿名で管理会社の上層部に電話しますから、ほんと悪質です。「管理人が女子学生のお尻を触っていた」などというウソを平気でついたりします。でも、会社の方は信じちゃうんですよね。参ったもんだ)
管理人が取り締まるんじゃなくて、警察や市が取り締まって欲しいです。タバコのポイ捨てだって、「禁止条例」が施行されたというのに、誰一人注意を受けたことはないそうです。条例作ったって、警察が取り締まらないと無意味です。ですから、ポイ捨ては全然減りません。我々の仕事も減りません。
役所、しっかりしろ! 頼むぜ。ゴミ袋に名前書かせるのが一番だよ。
(管理人の中には、「面倒な再仕分け作業をするよりも」という理由で、清掃局作業員に袖の下を渡して、「燃やしちゃってよ」と頼む人もいるそうです。もちろん自腹で。お金持ちの管理人もいますから。マナー違反ゴミのために何時間も、契約外労働をさせられるよりも、そのほうがずっと楽かも。契約書には「ゴミ置き場の整理」「ゴミ収集時の立会い」としか書いてないんです。違反ゴミの尻拭いなんて項目は無し。)