管理人はつらいよ
マンション管理最前線
無関係 儲かりません |
知ってる人は知ってますが、管理会社の「儲けどころ」というのは、毎月の管理委託費ではなく、大規模修繕工事をはじめとする各種工事です。
現在、「管理委託費は半減できる」とか週刊誌で特集されていたりしますが、そのような低額で管理委託を受ける管理会社が存在するのは、「損して得取れ」、つまり、「日常の管理委託ではたいしてもうからないが、工事で儲けられるから大丈夫」、という皮算用があるのです。こういう会社にとって、いざ管理を始めたら、組合さんが予想以上にしっかりもので、「工事類はいっさい管理会社に任せず。自分で発注する」なんてことになると、全然もうからなくなってしまうのです。
そんなわけで、こんな時代なのに、「管理費委託費を増額してもらえませんか? でなければ、契約更新できません」と管理会社の方から言ってくるケースが発生するのです。これはそんなに珍しいことではないようです。今、熾烈な管理委託契約の取り合い戦争が勃発しており、すごい安い委託費で契約している組合がたくさんありますから、工事の発注方法いかんで、このような事態が起きることは想像に難くありません。
実は、当組合もそうで、工事は、ほとんどが組合からの直接発注です。管理会社にも見積もりを取らせますが、これは「相場を知る」ためだけのもので、当て馬にすぎません。どうしたって、管理会社は手数料で稼ごうとしますから、「直発注」と「管理会社経由発注」では、”直”のほうが安くなるのは当然です。
さて、問題は、「住民のほとんどは直発注だということを知らない。管理会社経由だと思っている」ということです。つまり、我々(管理員&管理会社)は何の関係もないのに、「あの工事の仕方はなんだ!」とか「職人の態度が悪い」といった苦情の受け口になってしまうのです。これはたまりません。
それに、工事の準備(事前掲示とか駐車車両の場所の確保とか)とか、工事中の各種調整作業だとかの仕事のかなりの分を管理人に押し付けられます。確かに、管理委託契約書の中には「外注業者の工事の立会い」といった項目はありますが、「手伝い」とは書いていないし、管理会社的には「自分ところで受けた仕事だから立会いする」といったつもりの契約です。本当は我々は何の関係もないのです。手伝う義理はないのです。
しかし、「工事の際にはどうしても在室してもらわないと困る」(例えば、鉄部塗装工事の際に、玄関ドアを塗るときなど)ケースでは、「賃貸の部屋で昼間は留守。オーナーに連絡を取って鍵を借りる」といった面倒な仕事も私の仕事にされてしまいます。「工事の資材を共用部分に置く。このため、周囲にトラロープを張って、立ち入り禁止にする」といったことまでやらされます。
「ほっとけばいいのに」と思うかもしれませんが、工事業者はこのマンションのことを良く知らないわけでして、十分な準備や安全措置をしないため、事故につながる可能性があります。そういったことを未然に防ぐには、どうしても管理人が動かなくてはなりません。業者っていうのはいい加減な輩が多いですし。なんか事故が起きれば、「管理人が悪い」「管理人が危険性を認識していたはずだ」と言ってくる住民が絶対にいますので、事故は起こしたくありません。
先日あった工事では、後片付けが悪く、かなりのゴミが散乱し、私と清掃パートさんで掃除しました。
結局、工事の仕事量の数パーセントは管理人がやっているのに、一銭ももらえません。まあ、もちろん、管理会社経由の仕事でも、管理人の懐には一銭も入らずに大変な仕事を押し付けられますが、会社自体は儲かりますので、何時の日か、一時金支給なんてのがあるかもしれません。(無理か?)
こんなやり方ですから、工事費は安く済みます。管理人をただ働きさせるのですから当然です。でも、これじゃ、管理委託費を安く抑えている管理会社はやっていけませんので逃げるわけです。
いずれにしろ、「管理人にやらせてしまえばタダで済む」という考え方、あらためて欲しいです。強制労働じゃないんですから。こういった管理方法は「半自主管理」とか言われますが、だったら、発注だけでなく、そのあとの補助作業も組合さん自身でやってほしいです。
一般的に、管理会社経由で各種工事をさせる場合は、管理会社は「事務手数料」の名目で「10〜20%」の料金をもらいます。これを、「何もしないで、下請けに丸投げのくせに、手数料なんか取るな!」って指摘する、ど素人役員がいますが、「何もしない」なんてことは上記のとおりないわけで、10%手数料は当然もらうべき、って私は思うけどなあ。