管理人はつらいよ   
マンション管理最前線

鉄部塗装工事が始まります @


プレイロットの遊具も塗ります


 当マンションでは、6年毎に鉄部の塗装工事をしているそうです。前回のことは私はいなかったため何も知りません。つまり、「今回が初めての経験」ということです。そんなわけで、今(2005/5)実施している鉄部塗装工事のことはすべて初めての事ばかりで、右往左往、バタバタしています。

 まず、業者の決定作業から、面倒でした。当マンションでは、大きな工事類は、「管理会社を通さずに、業者と直接契約を結んで、(普通なら1〜2割を手数料としてとる管理会社の儲け分をなくして)、工事コストを下げる方法」をとっています。「6年前と12年前に塗装工事を行なった、J社に今回もお願いしよう」、ということに理事会内部では考えていました。前回と同じ、というのが一番楽ですから。ただ、理事の中には、素直でない人もいるわけで、「他の業者にも見積もりを出させて比較するべきだ」という意見が出たため、しかたなく、他の業者にも声をかけることになりました。そんなわけで、管理会社(株式会社飯加減)のフロント君に対して、「おたくで知っている業者を紹介してよ。見積もりださせてよ」ということになりました。

 こういう、いわゆる「当て馬」(声をかけられるが、実際には絶対に注文はもらえない)は、よくあるケースのため、会社側もやる気がありません。(一銭の金にならないのに、面倒な事務作業が増えるだけですから) いちおう、業者から連絡がありました。「それじゃ、見積もりを作るからさ。前回J社が作った見積書を見せてくれないか」という要望でした。本当は、見積もりというのは現地に行って、「メーターボックスの大きさは何平方、それが240個あるから・・・・」というふうに、塗装を行なう箇所を全部調べて積算するのですが、どうせ注文をもらえない工事に、そこまで手間をかけられないので、「前回の見積書を見せろ。仕様はそこから写すから」となった次第です。しかし、6年前という昔のことゆえ、飯加減のスタッフも当時の社員が退職し、かつ、書類の保管もいい加減で、「工事料金の銀行払込書」は残っているんですが、仕様が細かく書かれた見積書はなかったようです。もしかして、マンション内の集会室の書庫にでもあるかなと思って、現理事長と当時の理事長に尋ねてみても、「うちの書庫にはないみたいだなあ。飯加減さんところにないの?」という始末。結局わかりませんでした。「J社の見積もりがいずれ出るから、その仕様書の金額部分だけ消してコピーして渡せばどう?」ということになりました。

 ところが、このJ社も、数年前にゴタゴタがあったらしく、「ベテラン社員のほとんどが退職。今は、まるで別の会社のようになってしまった」という社内事情で、「6年前の書類が見つからないので、あらためて積算の調査に来た」と、担当者がやってきました。「実質上、別の会社じゃ、”前回と同じ業者の方が安心”とはいえないんじゃないの?」と思いつつ、組合さんからは「J社でいく」と言われているので、マンション内を細かく案内して、鉄の部分はどこなのか? 屋上はどうなっているか? ・・・・」、細かく説明してあげました。
 数週間後、見積書が出来たのですが、ド素人の私や役員が見ても、「うちの世帯数とメーターボックスの数が合致してないじゃないか? おいおい、建物の階数が違うぞ」など、積算ミスがいくつかあって、”やり直し”になりました。その後、正確?な見積書ができあがり、前回(6年前)とほぼ同額の工事費が算定されました。

 さて、ここでハプニングが起きました。J社の見積もりが出れば、これで業者は自動的に決定できるはずなんですが、当て馬のH社が、がんばってしまいました。J社の金額より安い金額を出してしまったのです。管理会社の手数料(表面的には出さないが、実際はちょっともらう)を加えても、J社より安いということは、H社ががんばったと同時に、J社が「世間相場よりも高い価格をつけた」(工事関係はここのところ、値下がりしてますからね)ようです。
 理事会の幹部は、「これはまずい。予定が狂った」と慌てて、J社に対して、「もう少し安くしないと、お宅に発注できないぞ」とハッパをかけて、H社より安い金額をJ社に出させて、最終的にJ社に発注が決まりました。なんか官製談合みたいですけど、結果的に安くなったわけですから、よいことなのかもしれません。

 J社に決まったあと、「理事会役員と打ち合わせ会」みたいなものが何回か行なわれ、私も参加させられました。残業なので嫌だったのですが、初めてだし、おおがかりな工事のことゆえ、参加しないのも、あとで自分が困ると思い、参加しました。
 最新のマンションは、鉄の部分が非常に少なく、「メーターボックスと玄関扉の枠、それから機械式駐車場くらい」といった状況で、「鉄部塗装なんて3日で終わるよ」というところもあるようです。新しいところは、手すりもアルミ製ですから、塗装の必要はありません。しかし、ここのように古い大型マンションで、かつ、廊下の柵も、ベランダの柵も、外階段も、敷地境界線のフェンスも、公園の遊具も何も、ほとんど鉄でできているマンションでは、何千万単位のおおがかりな工事になります。足場も組むそうです。「前回もすごい大変だったわよ」と奥さん連中からも聞きました。

 「前回はどういう状況だったのだろう?」と思ったのですが、この管理人職、日報作成も義務付けられていないため、過去の記録がありません。「業者が作った工事写真帖があるだろう?」と思って、書庫を調べてみるとありました。でも、「ベランダ部分 塗装前塗装後」みたいな、部分の写真ばかりで、工事期間中に駐車場をどうしたのか? みたいな、工事の運営面での資料がありませんでした。業者の担当者も、「ここは初めて」&「過去の記録はないに等しい」という状況で、なんかみんな初心者で、はたしてうまくいくのか心配です。

 
 打ち合わせで問題となったのは駐車場です。「足場を設置するため、それから、駐車場の一部を資材置き場にするため、駐車場が使えなくなるところがある」とのことです。この他に、工事業者の車両も入ってくるため、その駐車場所も考えなくてはなりません。なんとか、空間を利用しても、どうしても、4台分、どこか外部に置かなければならなくなりました。前回は、2台分を外部の駐車場に避難させたそうです。なぜ、今回と前回とで台数が違うかというと、前回は、軽自動車がけっこうあったために、足場を組む部分には軽自動車をもってきて、位置を交換するなどして、なんとかなったケースがあったからだそうです。今回、今の車はほとんどが3ナンバー車(みんなお金持ちです)で、ずらさなくてもすでに白線からはみ出している車両も数台あり(ここの駐車場はもともと5ナンバー用に設計されている)、軽自動車はゼロのため、場所を交換すればいい、というわけにはいきません。
 前回は、すぐ近くに大きな月極め駐車場があり、かつ、マンション居住者の中に、その駐車場の経営者と知り合いがいて、「日割り計算で利用させてもらえた」ということです。ただし、今回は、その駐車場はすでになくマンションが建っています。別の新しい避難場所を探さなくてはなりません。「管理人さん。悪いんだけど・・・・」 「え? 私が探すんですか? そんなの私の仕事じゃないですよ。それに今回の工事は当社発注ではないですから、管理会社は関与しない話ですよ。そういうのは工事会社がすべき仕事じゃないですか?」「駐車場の借り上げのことは工事の契約には入ってないから、J社に断れたんだよ。そういわずに、どこか近くで借りられるところないかな? 探してみてよ」と、またしても、契約外の仕事を頼まれた次第。会社のフロントに相談しましたが、「じゃ、悪いけど管理人さんのほうで探してよ」と逃げられました。

 しかし、周囲に空き駐車場はあるものの、「1か月だけ? だめだよそんなの。月の途中から、翌月の途中までだと、2ヶ月分の契約になるよ。それに、敷金礼金不動産手数料がかかるから、実質25日間の利用でも、6か月分の料金を前払いしてもらわないと」「エ? そんなに? 困ったなあ」
 その後、理事長と話をしましたが、「相当な金額になっちゃうね。それだと、月極めで契約するより、20分=100円の時間貸しを利用した方がトータルでは安くなるかなあ?」「そうですね、そうかもしれませんね」「でも、毎日、どこのコインパーキングがあいているのか探すのも大変だしなあ」「それもそうですね」「どこか、日割りで利用できるところない? もう1回探してよ」「はあ? はい」 という話。
 再度探しにでかけたわけですが、どこの駐車場も、「日割り? だめだよ」と断られました。そして、途方にくれて、昼休みにラーメンを食べている時に、近所の顔見知りの管理人さんと鉢合わせ。この件を話すと、「じゃあ、うちに置きなよ」「え? 何それ?」「いや、うちのマンションの駐車場ってさ。機械式の2段式で高さ制限があんだよ。これだと、背の高いファミリーカーとか置けないからさ、利用者が減って、今、空きがあるんだよ。組合でも、”空きのまま、ほったらかしできないし、どうしようか?”と悩んでいるところだからさ、短期間でも利用してくれる人がいれば嫌な顔はしないはずだよ。俺から交渉してみようか?」  ということで救いの女神(じいさんだけど、ほんと、いい人です)が現れて、この問題は解決しました。背の低い車を選んで、約1ヶ月、ちょっと離れたマンションの駐車場に置いてもらう事になりました。

 なんか、準備段階ですでにクタクタです。
 


2005/5
Aへ続く