管理人はつらいよ　　　
マンション管理最前線

裏雷オヤジ

昔々、私なんかが子供の頃、どこの街にも「こわいオヤジ」が一人はいて、私のような悪ガキはしょっちゅう怒られていました。
　こういうオヤジというのは、別に親戚でも知人でもなんでもないんですが、「バカやろう！　そこで立ちションするな」とか、公共のマナーをその地域の子供たちに教え込む役割を担っていたのではないでしょうか？
　こういった雷オヤジ、今はいなくなりました。そのせいか、街では、平気でタバコを吸いながら歩く中学生がいます。いまこそ、「雷オヤジよ現れてくれ！」と待望したくなる時代です。

　さて、当マンションですが、雷オヤジがいるんです。でも、頭に「裏」がつくんです。なぜ、「裏」かというと、悪ガキ本人にはいわないんです。誰に言うのか？って、それは管理人に言うんです。

　「おい、管理人。○○○のガキが自転車で二人乗りして、マンション内を走ってるぞ。おまけに後ろには女の子を乗せてるぞ。いいのか！」　（わたしゃ、関係ないですよ。自分が目撃したのなら、自分で言ってよ）
　「おい、管理人。中学生が、子供用の遊具で遊んでるぞ、いいのか！」（別にいいんじゃないですか）
　「おい、管理人、裏庭で小学生がサッカーやって遊んでるぞ、ボールが誰かの家のベランダに飛び込んだらどうするんだ。おまえが注意しろ」（サッカーはまずいなあ。じゃあ、注意しますよ。でも、あなたが先に注意すれば）
　「おい、管理人。×××のガキが、2丁目のマンション工事現場の中に入って遊んでるぞ（土曜日で工事は休みだった）。おまえが注意しろ！」「ちょっと待ってください。マション外のことは関係ないですよ」「何言ってるんだ、マンション住民の子供だぞ。おまえが叱れ！」（あんたが現場を見たなら、その場で叱れよ）

　このマンションは悪ガキが多いですから、裏雷オヤジが怒ることも多く、そのたびに、「おまえが注意しろよ」と私が怒られます。この人、私が「業務外出中」や「日曜日で出勤していない」時は、理事長のところに行って、文句言ってるそうです。

　まあ、悪い行為を怒るのは必要なことですが、この裏雷オヤジさん、酔っ払って、近所の家に立ちションしたりして、時々怒られているような人なんです。自分が悪いことしちゃだめですね。それに、酒癖の悪いのは有名らしく、酒が入ると、今度は子供ではなく、大人に向かって「おまえ、今、タバコをポイ捨てしたろ！　この犯罪者め」と文句を言ったりして、時々、逆に殴り倒されたりするそうです。奥さんが苦労してます。
　（ポイ捨ては犯罪です）

2005/5